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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu203.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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米国との合意の再交渉を求めた日本の新政権に対し、ゲーツ国防長官
は総理大臣に屈辱を与えた。米国の対アジア政策は間違っている。
2009年11月6日 金曜日
◆きしむ日米関係、ほくそ笑む中国 11月6日 宮家 邦彦
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2080?page=1
迷走を続ける日米安保関係について、中国政府は今も沈黙を守っている。これまで何度試みても微動だにしなかった日米同盟が、ようやく、しかも日米双方の事情から混乱し始めた事実は決して小さくなかろう。今回は、最近の日米間の確執を中国の立場から検証してみたい。
日本で報じられなかったワシントンポストの報道部分
日本の大手マスコミは10月22日付ワシントンポスト紙の記事を大きく報じた。同紙が引用した「米国はこれまで対アジア関係で日本を『不変要素』と考えてきたが、現在最も困難(the hardest thing)なのは中国ではなく、日本である」との米国務省高官の発言が注目されたからだ。
予想されたこととはいえ、米政府内の対日懸念の大きさを象徴するこの発言は日本側安保関係者に少なからぬショックを与えたようだ。しかし、同記事の本質は同盟関係に関する日米間の確執の深刻さを伝えることだけではない。
記事を書いたのはワシントンポストの元北京特派員で、中国語にも堪能な敏腕記者である。筆者は8年前の北京駐在時代に知り合った。中国人を配偶者に持つ中国専門家ながら、ジャーナリストとしてのバランス感覚の高さには大いに敬服したものだ。
彼の記事の中で日本のマスコミが報じなかった部分を一部抜粋してみよう。
○オバマ政権は、もし日本の新政権が中国の台頭に対応する米軍再編計画に関する合意を反故にすれば重大な結果を招くと警告した。
○基地再編計画は、中国海軍に対抗すべくグアムの米軍基地を増強し、中国と北朝鮮の強力なロケット部隊を相殺すべく米軍のミサイル防衛能力を向上させることにより、増強を続ける中国軍事力と対峙するために練り上げられたものだ。
オバマ政権の対日政策批判
日本ではほとんど報じられていないこの部分こそが、ワシントンのアジア安全保障問題専門家の「常識」である。この友人は中国の軍事的脅威について比較的穏やかに書いているが、米国の反中・保守派ともなれば、その対中批判はさらに手厳しい。
例えば、10月30日の米フォーブス誌では中国批判で有名なゴードン・チャン氏がオバマ政権の対日政策を次のように痛烈に批判している。普天間移設問題は米国の対中軍事戦略と直結しているのだ。
○最近中国は米国の衛星を攻撃し、米国防総省に対するサイバー攻撃を行い、今年には南シナ海の米海軍艦船が曳航中のソナー装置を切り離し、盗もうとする「戦争行為」すら犯している。これら不当な行為に対し米国は公の場で何も発言していない。
○これとは対照的に、米国との合意の再交渉を求めた日本の新政権に対し、ロバート・ゲーツ国防長官は総理大臣に屈辱を与えた。・・・米国の対アジア政策は基本的に間違っている。
沈黙を守る中国
当然ながら、中国側も米軍再編問題を日米の対中軍事戦略の一環と考えている。最近の日米関係の迷走は、まさに中国の望むところであろう。しかし、賢明な中国政府関係者は、内心ほくそ笑みつつも、余計なコメントは避けているようだ。(中略)
チャンス到来
この調査を見る限り、最近の日米確執に関する中国側の見方は驚くほど冷めている。要するに、(1)米国の対日強硬姿勢は虚勢に過ぎず(2)中国を仮想敵とする日米同盟は今後とも続くが(3)中国の影響力には限界があり(4)当面現行の政策を変える必要はない、ということだ。
もちろん、これらは中国のネット使用者の意見でしかない。しかし、人民日報系の「環球時報」が報じていることを考えれば、中国政府の見方もそれほど大きく違わないと考えてよいかもしれない。
そうだとすれば、現在の中国側の沈黙もそれなりに理解できるだろう。建国以来、日米安保は中国にとって常に潜在的脅威であった。それが鳩山新政権になって混乱し始めたのだから、中国にとってはまさに千載一遇のチャンスなのである。
中国側が、ここは慎重ながらも、確実に日米間に楔を打ち込まなければならないと考えている可能性は高いだろう。中国が12月にも、次期総書記として最有力視される習近平国家副主席の訪日を検討しているとの最近の報道も、こうした文脈で理解すべきである。
「環球網」のアンケート調査が示すとおり、日米安保関係に対する中国の影響力には自ずから限界があるが、今後中国側が日米同盟関係の混乱に乗じて、民主党新政権に対する中国の影響力を拡大しようとすることは間違いなかろう。
報道によれば、習近平氏訪日の準備のため、楊潔?外相など中国側要人が今後相次いで訪日するとも言われる。11月の米大統領訪日と12月の中国国家副主席訪日を、日米、日中外交だけではなく、日本を巡る米中間の水面下での熾烈な外交の一環として考える視点を忘れてはならない。
◆ゲーツ国防長官はなぜ自衛隊栄誉礼を辞退したのか――日米同盟の危機?! 10月26日 古森義久
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/1290009/alltb/
ワシントンの日米関係政策コミュニティーでは「ゲーツ氏の辞退」が少なくとも重大な出来事として論議の対象となっています。その論議の背後にあるのは「日米同盟は危機を迎えつつあるのか?」という疑問です。
ワシントンでゲーツ長官の外交儀礼を欠いたかのような態度が最初に話題となったのは、ワシントン・ポスト10月22日の記事が契機でした。この記事はジョン・パンフレット記者とブレイン・ハーデン記者との共同執筆です。
ハーデン記者は東京駐在のようですが、パンフレット記者は元来は中国報道で名声を確立したベテランです。いまはワシントン駐在で、部長級のエディターとして取材も執筆もするという感じです。ちょうど私の北京駐在時代にパンフレット記者も北京にいて、知己を得ました。
その両記者の長文の記事はゲーツ長官の訪日にからめて鳩山新政権のアメリカや日米同盟に対する態度にオバマ政権がいらだちを深めているという趣旨でした。見出しは「アメリカは軍事パッケージに関して日本に圧力をかける」「ワシントンは東京の新リーダーたちが同盟を再定義しようとすることに懸念を抱いている」でした。
その記事でとくに興味深い部分は以下の記述でした。
「外交儀礼が重要性をにじませることの多い(日米同盟)関係で、
ゲーツ長官は自分自身のスケジュールに(米側の受け止め方を)語らせた。長官は防衛省高官たちとの夕食会と防衛省での歓迎の儀式への招待をともに辞退したのだ」
このことは日本側では少なくとも読売新聞が報じていました。しかしごく小さな扱い、しかも他の解説記事のなかの短い言及という感じでした。産経新聞もワシントン・ポストの報道を受ける形で25日付で報じています。「ゲーツ長官はいったんはセットされていた北澤防衛相との夕食を断った」というのでした。
ゲーツ長官は明らかに鳩山新政権への不満のために、あえて会食も栄誉礼歓迎式もボイコットしたのです。こんなことは日米安保関係の長い歴史でもまず例がありません。アメリカ側はそれだけ現状を重大だと認識し、不満や抗議の念を強めているのでしょう。
オバマ政権がこのように強硬に、しかも臆するところなく不満を表明するという現実は、日本の安全保障にとっても深刻です。米側の硬化は今回は夕食と歓迎式の辞退、あるいは拒否だけに留まったようですが、安全保障でのこうした負の変化は必ず経済面にまで波及します。そうなると安保面での悪影響を認めたがらない日本側の特定勢力も、さすがに経済面での悪影響は認めざるを得ないことになるでしょう。そういう流れが少なくとも過去のパターンでした。
オバマ政権がこうして強硬な姿勢を打ち出してきたことの理由や経緯はまた回を改めて報告しましょう。
今回、強調したいことは、たかが夕食会とか歓迎式といって、軽視をすると、全体図の不吉な変化の予兆をまったく見逃すことになるだろうという点です。日米同盟は破棄したほうがよい、という立場を取るのなら、またアプローチはまったく別になりますが。
(私のコメント)
アメリカのゲーツ国防長官の高圧的な態度は、古森記者が書いているように異例のものですが、それくらい今のアメリカ政府は日本の民主党政権に苛立ちを覚えているのでしょう。従来の自民党政権の時では考えられないほど日本政府の態度が硬いからですが、親米ポチ保守の記者はアメリカ様がお怒りだと言う事なのでしょう。
沖縄の普天間基地の問題は、自民党政権以来の10年にも及ぶ問題であり、地元との調整に手間取っている。しかし自民党でも踏み切れなくなったのは、新たな基地を建設するのに4000億円もの費用がかかると言う事であり、外国の軍隊の為にどうしてそんな負担をしなければならないのでしょうか? 岡田外相が言うように嘉手納基地に移転すればたいした費用もかからない。
ゲーツ国防長官の態度は失礼千万な態度であり、日本の防衛大臣がアメリカに行って国防総省の栄誉礼や幹部との会談を拒否したらどういう事なのか分かるだろう。しかし日本の新聞にはこの事実がほとんど報じられなかった。たいした事じゃないから報じられなかったのではなくたいした事でありすぎたから日本のマスコミは報じなかったのだ。
この事はもはや従来の日米の力関係では考えられなかった事なのですが、アメリカはリーマンショック以来国力を大きく失ってしまってプレゼンスが無くなってしまった。中国に対するアメリカ政府の卑屈なまでの態度は日本から見てもアメリカの権威を失わせるものであり、クリントン国務長官もぺロシ下院議長も北京に行っても人権問題を言う事は出来なかった。それくらいアメリカは中国に権威で負けてしまったのだ。
アメリカ自慢の国防力でも、中国が衛星を打ち落として宇宙にゴミをばら撒いてもアメリカ政府は一言も抗議しない。国防総省に中国からのサイバー攻撃を仕掛けても国防総省は何の反応も返さない。米海軍のソナーを曳航したロープも切断しても米海軍は何も出来ない。アメリカの中国に対する弱腰は日本を不安にさせますが、アメリカはもはや中国の軍事的脅威にアジアでは対抗できなくなっているのだ。
戦争はもはやミサイルが飛びかう戦争ではなくて、経済力や情報戦争が主な舞台になってきている。アメリカがいくら核ミサイルを持っていた所で使えなければ何の意味も無いのであり、現代の戦争ではミサイルよりもドルやユーロや元が飛びかう戦争になっている。ソ連は滅びたのもソ連経済が破局したからですが、アメリカが滅びるのも経済破綻が原因となるだろう。だから「株式日記」ではそれに備えろと書き続けてきました。
このような状況では、アメリカのゲーツ国防長官が圧力を掛けても鳩山首相はハトが豆鉄砲食らった程度のダメージしかないのであり、アメリカの一極覇権主義の時代はイラクやアフガニスタンで負けたことで終わってしまったのだ。後はアメリカが何時イラクやアフガニスタンから撤退するかの段階であり、撤退が遅れれば遅れるほどアメリカの滅亡の時は早まる。
その事に気がつかないのは自民党でありマスコミだ。古森記者もその一人なのでしょうが、確かにアメリカ国内にいればアメリカは豊かな国であり、その風景は昔と変わらないだろう。しかし一歩海外に出ればアメリカの威光は失墜してアメリカの影響力は急激に弱まってきている。アメリカの中国に対する媚びへつらいはその象徴のようなものだ。
アメリカは日本にとっての巨大市場だったのですが、リーマンショック以降は対米輸出は四割も減ってしまった。だからトヨタもホンダも大幅に減益か赤字で、市場を中国やEUに求めざるを得なくなった。そしてアメリカの消費が回復する事は不動産価格が元に戻らなければ無理だ。こうなれば日本にとっても背に腹は代えられないから「アメリカさんさようなら、中国さんEUさんこんにちわ」にならざるを得ない。金の切れ目が縁の切れ目であり、アメリカからは金をたかられるだけであり、同盟国としてもメリットも少なくなる一方だ。
◆上海協力機構という存在?ユーラシアの地政学の新局面 8月号 寺島実郎
http://mgssi.com/terashima/nouriki0908.php
注意深く見つめている数字がある。今年に入っての日本の貿易構造の変化を示す数字である。二〇〇九年一〜五月の輸出と輸入を合計した貿易総額における相手先の比重において、米国との貿易が占める比重はわずか一三・五%となり、中国との貿易比重は二〇・三%と、ついに二割を超した。また、アジアとの貿易比重は四八・五%となった。短期的要因としては、中国依存の景気回復に傾斜する日本ということであり、長期的構造要因としては、通商国家日本が「米国との貿易で飯を食う国」から「中国を中核とするアジアとの貿易で飯を食う国」へと変質していることにほかならない。
さらに、欧州やロシア、中東を含むユーラシア大陸との貿易という視点でいえば、実に日本の貿易の七五%はユーラシアとの貿易となった。より踏み込んで凝視すれば、上海協力機構(準加盟国を含む)の国々との貿易が、日本の貿易総額の二六・〇%を占めるまでに拡大していることに気付く。米国との貿易比重が一三・五%と、八年前の半分にまで落ち込み、上海協力機構との貿易比重が八年前比で倍増しているところに、二一世紀日本の国際関係の基盤の変化が凝縮されている。