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http://www.magazine9.jp/okadome/091104/
おかどめ やすのり 1972年法政大学卒業後、『マスコミ評論』を創刊し編集長となる。1979年3月、月刊誌『噂の真相』を編集発行人として立ち上げて、スキャンダリズム雑誌として独自の地平を切り開いてメディア界で話題を呼ぶ。数々のスクープを世に問うが、2004年3月の25周年記念を機会に黒字のままに異例の休刊。その後、沖縄に居を移しフリーとなる。主な著書に『「噂の真相」25年戦記』(集英社新書)、『武器としてのスキャンダル』(ちくま文庫)ほか多数。 HP「ポスト・噂の真相」 http://www.uwashin.com/
筆者は、人生の大半を東京で過ごしてきた。職業的立場として、自民党や霞ヶ関官僚の批判記事を一貫して取り上げる編集者、ジャーナリストとしての仕事に関わってきた。その後、沖縄に移住して体感したのは、米軍基地の存在と基地にまつわるトラブルが日常茶飯で起きているという事実である。全国紙では報じられない事実が地元紙では日々報じられている。それでも、日本政府は沖縄に対しては基地問題に目をつぶる代わりに、振興資金や補助金をばら撒いて県民の肉声を封殺してきた。「基地問題よりも経済」という日米両政府の巧妙な植民地政策である。それに迎合してきた沖縄側に問題があるのも紛れもない事実である。それじたいは否定しようもない。 ところが、戦後日本の対米政策、沖縄基地問題に公然と批判を投げかける民主党を中心とした政権交代が初めて実現した。沖縄問題で言えば、世界一危険な普天間飛行場の県外・国外移設と、不平等の極みともいえる日米地位協定の改定という当たり前のことが、初めて政治課題になったのである。ある意味では、絶望と諦めの歴史の中で生きてきた沖縄県民に一抹の光が見えてきたのだ。ところが、ドッコイ! 新しく誕生した民主党政権は、米国の強権的な恫喝の手口に怯みっ放しなのだ。それは、なぜか。鳩山政権の政治主導力に決断力や覇気がないこともあるが、これまで日米関係を仕切ってきた外務省、防衛省官僚が米国追従路線に取り込まれて、完全にコントロールされてきたためである。 こんな意見が「マガジン9条」(他のコラム宛)にも届いたというので、以下に紹介するが、これは「ネット右翼」というよりも、これまでの官僚がやってきたことの正当化をはかる典型的な言い分ではないか。 <普天間の移設問題に関して書かれていましたが、あまりにも無知な物言いに正直あきれ返りました。普天間基地の移設に関しては日米政府間(自民党ではない)にてすでに合意が成立しているにもかかわらず、民主党に政権が変わったとたんに話をひっくり返すような事をするからアメリカ側も強い態度にでるのです。政権が変わろうと国家間の約束に関しては引き継いでいくというのは国際常識であり、それを行わないという事は日本という国が約束を守れない国であることを全世界にさらす事になる事になることくらいなぜわからないのか不思議です。非常に残念な事に日本を初めとする北東アジアでは冷戦は終っていません。逆に軍拡競争が日本以外の国によって激化している状況です。いい加減、この現実に気づいた上でコラムを書いて頂きたいと思います> 政府って誰のことだ? 外務省、防衛省の官僚だろうが。日本で政権交代が実現した以上、新政権が誕生したのだから、内政だけではなく外交・防衛政策においても路線が転換することは当たり前ではないか。民主主義による政権交代という民意を無視した上記の言い分は、「無視、無視」作戦でもいいが、こういう連中がいることじたいが情けなさすぎる。沖縄県民の民意は、最新の世論調査でも普天間の県外移設支持が圧倒的なのだ。11月8日には、県外移設要求を明確にした県民大会も開催される予定だ。岡田外相の嘉手納統合案や北沢防衛大臣の辺野古新基地容認に対しても、県民は怒り心頭である。爆発寸前といっていい。 冷戦が終わっていないだと? 嘘つけである。沖縄に居座る海兵隊はグアムや米国本土に撤退しても今や軍事プレゼンス上は「ノープロブレム」なのだ。米国が日本の思いやり予算をどうしても手放したくないというのであれば、自衛隊の訓練滑走路しかない無人島の硫黄島への県外移設でも十分だ。これまで、日米両政府がこの硫黄島をマジに検討したフシも感じられない。岡田外相、北沢防衛大臣も一度くらい、マジメに交渉してみたらどうか。辺野古沖への移設に難色を示し、嘉手納統合案を模索している岡田外相の真摯さは一応買うにしても、少なくとも地元の嘉手納町は完全反対であり、それは県民の総意でもある。これ以上、沖縄に基地を押し付ける政策を鳩山政権が取り続けるならば、沖縄県民を再び三度絶望と諦めの淵に追いやることでしかない。それは、日本の国益にとっても大きなマイナスに繋がることに、新政権はもっともっと敏感たれ! である。 |