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今朝は早朝から永田町で会議があり、その後に何件かのマスコミ取材や公共事業チェック議員の会の総会準備など終日、国会周辺にいることになった。衆議院予算委員会が続いている中、議席を離れて国会周辺にいるのは、あまり気分のいいものではない。ところが、社民党が少数のために、また手がけてきた議員連盟の引き継ぎのために、これからも週に1〜2回は会議・打合せなどで出かけることになる。 特に印象に残ったのは、社民党の福島党首が個人情報保護法の改正に意欲を見せているというニュースだった。実は、私も毎日新聞からの取材を受けて改めて知った。個人情報保護法とは、その名の通り「国民の個人情報」を保護するのではなくて、「個人情報」を行政機関(警察・検察など捜査機関を含む)が自由自在に使える状態となってしまっていて、行政機関がどのように「個人情報」を扱っているのかについては、当事者である個人がアクセスしようにも、「個人情報だから教えられません」という倒錯が起きている。「自己情報コントロール権」が銘記されなかったせいだ。 [引用開始] 毎日新聞10月23日 福島消費者・少子化担当相:個人情報保護法見直し 改正検討を要請 福島瑞穂消費者・少子化担当相は23日の閣議後会見で、「個人情報保護法について、改正も視野に問題点を検討するよう、指示を出したい」と述べ、同法を所管する消費者庁の消費者委員会に同法改正の検討を要請する方針を明らかにした。個人情報保護法の成立時には、「(メディア規制をめぐって)与野党でものすごい激論があった」と話した。メディア規制などについて検討するとみられる。 個人情報保護法を巡っては03年、社民党をはじめ民主、自由、共産の当時の野党4党が対案を共同提出したが、与党の賛成多数で可決成立。国会は付帯決議で05年の全面施行後、3年をめどにした見直しを政府に求めた。情報隠しなど法の悪用や萎縮(いしゅく)効果が社会問題化したが、政府は08年、法運用の基準となる「基本方針」の変更にとどめた。【臺宏士、合田月美】 [引用終了] 個人情報保護法が「個人情報の収集・監視の自由」を行政機関に与え、情報公開法が都合の悪い文書はポイポイ捨てる無責任体質をつくってしまった。日本に民主主義をとり戻すのなら、このふたつの法律をセットとして抜本的な改正が必要となる。この大きなテーマに取り組めるのなら社民党が政権参加している意味も大きくなると感じ、さっそく予備的な調査を始めようと思う。 さらに、突っ込んだ記事が毎日新聞に出ているので紹介しておく。 [引用開始] 毎日新聞 11月1日 個人情報保護法:国民の知る権利、揺らいで4年半 見直しの課題 05年4月に全面施行された個人情報保護法が法改正を視野に見直されることになった。福島瑞穂消費者・少子化担当相が先月23日の記者会見で表明し、今月から消費者委員会を中心に論議される見通しだ。この4年半にどんな問題が持ち上がり、何が議論されてきたのか。最近の事例も含め、同法が抱える課題を探った。【臺宏士、合田月美】 ■週刊誌狙い撃ち? 個人情報保護法を巡って大きな焦点となったのは、メディア規制という論点だ。政治家の不適切な蓄財や官僚の天下りなど不正を追及する取材活動は、個人情報そのものを対象にする。報道活動まで規制が及べば、国民の知る権利を損なうことになる。欧州連合(EU)各国では報道分野を適用除外しており、日本でもこれにならった形となったが、新聞社や放送局は除外されたものの、月刊・週刊誌を発行する出版社は明記されなかった。小泉純一郎首相(当時)は審議の過程で「出版社が行う事業は文芸その他の広範な出版活動を含むものであり、報道機関の典型例として位置付けることは適当とは言い難い」と説明したが、出版界は「週刊誌を狙い撃ちした規制だ」と納得していない。 国会の付帯決議を受けて、自公連立政権は国民生活審議会・個人情報保護部会を中心に施行後に見直したが、表現・報道の自由を制約していないかの観点からの論議はしないまま昨春、法改正を見送った。また、付帯決議にあった医療や金融・信用、情報通信分野の個別法の必要性も十分には検討されていない。 同部会は今春、運用状況調査の一環として、日本新聞協会や日本弁護士連合会、国民生活センターなど関係団体からのヒアリングを行ったが、日本雑誌協会(雑協)は対象から除外した。山了吉・編集倫理委員長(小学館取締役)は「雑協へのヒアリングを行うよう要請したが、『必要ない』との返答だった。国会審議で論議となった当事者の意見を聞かないままでは、十分な見直しだとは言えない」と批判する。これに対し、消費者庁は「雑協から打診があったことは委員会に報告しなかった。対象団体が決まった後で、スケジュールが詰まっていた」と釈明する。 ■「過剰反応」なのか 個人情報保護法の全面施行に伴って必要な情報を提供しない「萎縮(いしゅく)」や理由のない匿名発表が社会問題化したのは、05年4月に起きたJR福知山線脱線事故がきっかけだ。負傷者が収容された病院が同法を盾に家族からの安否照会にも応じなかった。06年、下着を盗んで懲戒免職となった教員を匿名で発表した千葉市教委の「被害者の希望」という理由は虚偽だったことが発覚。07年に札幌市であった七つの病院に受け入れを拒否されて未熟児が死亡した事故のケースでは、収容先の病院は受け入れの有無さえ明かさなかった。 政府は一連の問題を「過剰反応」として法の周知を進めれば落ち着くとの立場で、各省が業界向けに定める指針の改定や基本方針の変更(08年)にとどめた。 現場ではなお、混乱が続いているが、独自に改善を目指す動きもある。 今年5月の大阪府箕面市。市は新型インフルエンザの感染拡大を防ぐために市立小中学校の休校措置を取ったが、クラス名簿がない学校があり、緊急連絡に時間がかかったという。 市総務課によると、以前から同法施行に伴って名簿作成の滞りが懸念されていた。このため昨年12月、倉田哲郎市長が名簿が作りやすい環境作りを指示。先月、「仮称・ふれあい安心名簿条例(素案)」について市民から意見募集した。市の個人情報保護条例に準じた手続きで作成された自治会やPTAなど民間団体の名簿について、市が“お墨付き”を与えることで、住民らが安心して名簿作成できるようにするのが狙い。全国初だという。担当者は「政府も過剰反応に対する啓発活動をしているが、『個人情報は持たない方が安全だ』という風潮は強い。平時から緊急時に役立つよう名簿を備えることが大事だと考えた」と話す。 06年、千葉県議会では高齢者など災害時に必要な援護対象者の名簿づくりが進んでいないことから、災害救援目的については保護を緩和するよう法改正を求める意見書を可決している。 福島担当相は先月30日の会見で「過剰適用(反応)の事例を含めて、何が課題かを洗い出してもらう」と同法見直しへ意欲を語った。 ■ITが変える環境 日本たばこ協会が未成年者の喫煙防止策の一環として導入した成人識別ICカード「タスポ」を巡り、同協会が警察や検察など捜査機関にたばこの購入場所や日時、氏名、住所、生年月日などの情報を提供していたことが今夏、発覚した。 個人情報とはそもそも何なのか。同法は「特定の個人を識別することができるもの」とし、「他の情報と容易に照合することができ、識別できるものを含む」と定義している。例えば、インターネット接続業者が発行する会員IDはアルファベットや番号の羅列にすぎないが、業者にとっては住所データベースと照合すれば特定できるので、個人情報に当たる。同協会は購入履歴を収集、利用することを会員規約に明記していないため、タスポで購入履歴が蓄積することを知っている利用者はあまりいない。 会員に告知しないままの収集や利用は違法ではないのか。同協会は「購入履歴はそれ自体では個人を識別できるものではない。個人情報という認識はない」と話す。これに対して、岡村久道・国立情報学研究所客員教授(コンピューター法)は、「個人情報でないという説明になっていない。識別できる個人情報だから捜査にも役に立ったのではないか」とし、「会員規約に明記しない取得は、適正な方法による取得を定めた法に反する疑いがある。成人識別に必要な限度を超えた扱いだ」と指摘する。 個人情報保護法の骨格ができたのは10年ほど前。IT(情報技術)の急速な発達は、個人情報を巡る環境を激変させた。高速道路料金のETC(自動料金収受システム)やIC乗車カードの普及、監視カメラの映像情報などいたる所で個人情報が蓄積される社会になった。堀部政男・一橋大名誉教授(情報法)は「自分の情報がどこにあるか分からない状況の中で、新たに『自己情報保護期待権』のような権利を検討していくべきではないか。独立した監視機関を置くなど見直しには新しい情報技術に対応した論議が不可欠だ」と指摘する。 ◇行政機関対象の保護法見直しも−−鈴木正朝・新潟大法科大学院教授(情報法) ============== ◆「個人情報」を名目にした匿名発表・回答拒否の主な事例◆ <学校で> ▽青森県教委は保護法施行に合わせた条例改正で「懲戒免職にした教職員でも事件で警察が発表した時以外は実名を公表しない」と決定(05年) ▽千葉市教委が女性の下着を盗んだ小学校教諭を懲戒免職処分にした際、「被害者側の強い希望」とのうその説明をして匿名で発表(06年) ▽佐賀大学がセクハラで懲戒解雇した准教授の年齢や氏名を公表せず(08年) <事件・事故関連> ▽警視庁が外務省職員を児童買春容疑で逮捕して実名で発表したが、同省は懲戒免職処分として匿名発表(06年) ▽秋田県警は市長選にからむ公職選挙法違反容疑で市議3人を書類送検したが、氏名などの公表を拒否(05年) ▽兵庫県尼崎市のJR福知山線事故で、負傷者が搬送された28病院のうち10病院が、家族や知人の安否を尋ねる人、自治体などに当初情報提供を拒否。県警は死亡した107人のうち4人を遺族の意向で匿名で発表(05年) ▽東京都で高校生がエレベーターに挟まれて死亡した事故で国土交通省が事故機と同機種の設置場所を照会した際、メーカーが「個人情報保護」を理由に回答を拒否(06年) ▽鹿児島県沖での高速船事故で、捜査にあたった鹿児島海上保安部に対し、負傷者が搬送された病院が人数や氏名などの回答を拒否(06年) ▽札幌市で七つの病院に受け入れを拒否された未熟児が死亡、最終的に受け入れた病院は受け入れの事実さえ回答を拒否(08年) ▽脳出血の妊婦が都立墨東病院などに受け入れを拒否され出産後に死亡。遺族は公表を了解していたにもかかわらず、都や同病院は生まれた子の健康状態や性別の説明を拒否(08年) <その他> ▽財務省が「長者番付」と呼ばれる高額納税者の氏名や税額を公開する公示制度を廃止。企業分も同様に廃止(06年) ▽宮内庁が春の園遊会招待者名簿から、匿名を希望した兵庫県議会議長ら3組の氏名を不掲載(06年、同年秋の園遊会以降は原則公表に) ▽茨城県つくば市議会が「市議の資産報告書を議会報に掲載しない」とする議員政治倫理条例の見直し案を可決(06年) [引用終了] 私は個人情報保護法が持つ倒錯した本質に、かつて個人情報保護特別委員会で警鐘を鳴らしてきた。国会答弁で何度か政府を立往生させ、抜本的な出し直しを求めたが、野党全体でのたたかいにならなかった。その時の危惧は、すべて現実のものとなった。政権交代で、こうした点の是正がされるかどうか今後は判りやすく提示・報告をしていきたい。 |