★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK74 > 366.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
日本航空の経営再建問題に絡み企業年金の半額への引き下げが盛んに言われている。しかし、もともと、企業年金は確定給付型の年金が多い。つまり、給付額が年金加入時に決まっている年金だから、それを退職後、もうすでに給付が始まっているときに減額すると言われてしまうと、給付を受けているほうはたまったものではない。もし、JALの企業年金半額へ減額がこのまますんなり認められてしまうと、大きな悪影響を残すことになるのではないだろうか?
今回、JALはもともと給与水準がかなり高い企業だったので、年金額も他の企業年金と比べて高く、それが減額も致し方ないという世論を招いているようだ。しかし、今回の問題の本質はもっと違うところにあるのだと思う。
つまり、企業年金の減額が、退職者の3分の2以上の承認なしにできるという法制化がされてしまうと、JALのようにもともと高給ではなかった企業でも企業年金の引き下げが無条件に行われてしまう可能性があるのだ。そして、そのようなことが起これば、公的年金、つまり、公務員対象の年金制度でさえ、同じように切り下げがどんどんされてしまうようになるのではないか?
もともと、年金給付の逆ザヤ問題の根は別のところにある。それは預金利子の問題だ。昭和の50年代の少なくとも前半は、たとえば郵便貯金の普通預金でさえ3%を超える利子がついていた。だから、そのころは、多くの年金制度で、その予定運用利率を5%に設定していて、十分にそれを超える利率での運用ができていた。ところが、いわゆる1980年代末のバブル崩壊で銀行が大規模な不良債権を抱えてしまった結果、公的資金の注入が必要になり、大幅な赤字国債の発行を招いた。赤字国債を発行し続けるために、または、不良債権を抱え込んだ銀行の経営を早く立ち直らせるために、公定歩合が非常に低く抑えられ、その結果、銀行預金につく利子も極端に低く抑えられてしまったのだ。今では定期預金につく利子でさえ0.1%あればいいほうだ。これでは安定した基金の運用はできず、とてもではないが5%での予定利率で運用した金額を年金として受給者に払うことができない。だから、この数年、多くの企業年金が解散してしまっている。
つまり、JALの企業年金問題も、もともとは銀行預金利子が極端に低い利率に抑えられてしまっていることに起因しているのだ。そして、もし、バブル時代に銀行が無謀な貸付をやっていなかったら、銀行預金につく利子も3%台ぐらいには納まっていたはずだ。JALを始め、すべての企業年金および国民年金や厚生年金、共済年金も含めて、運用がうまく行き、今のような逆ザヤ問題が生じていなかったはずなのだ。
だから、もし、企業年金引き下げが加入者の3分の2以上の賛成がなくてもできるという法制化がされるのなら、まず第一に、銀行の企業年金を引き下げるべきだと思う。ただでさえ、大手都銀は史上空前の利益を上げていながら税金はまったく払わず、外国人が多い株主への配当金を、それも、かなり高い配当金を払っているのだから。