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http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=717
法務大臣 千葉景子殿 外務大臣 岡田克也殿 拝啓 ビルマのロヒンギャ民族の難民申請者たちについて、迅速な保護を与えられたく、本書簡をお送り申しあげます。私どもは、日本政府の難民保護政策には国際基準に達しない部分もあり、これは改善されるべきであると考えます。 今年(2009年)初頭、タイ及びインドネシアに漂着するロヒンギャの「ボートピープル」の様子がカメラに収められたことをきっかけに、ビルマのロヒンギャ民族の状況が、国内外のメディアや政治指導者たちの注目を集めました。ロヒンギャ民族は、ビルマのアラカン(ヤカイン)州西部を出身地とするムスリムの民族的マイノリティでビルマ語ともベンガル語とも異なるロヒンギャ語を話します。ビルマ軍事政権による抑圧政策から逃れて、長年にわたり、数十万人のロヒンギャ民族たちが、バングラデッシュ、タイ、マレーシア、インドネシアや中東諸国を始めとする海外に流出しています。そしてそのうち一部は日本にもやってきました。 ビルマの劣悪な人権状況の中でも、ロヒンギャ民族への過酷な扱いは際立っております。ビルマ軍事政権はロヒンギャ民族にビルマ国籍を認めていないため、ロヒンギャ民族の大部分は無国籍者となっております。さらに、軍事政権は、ロヒンギャをバングラデシュに追放する「民族浄化」作戦を1978年及び 1991年など数度にわたり遂行し、その結果多くの人びとが追放の過程でビルマ軍により殺害されたほか、逃れた先のバングラデッシュでも飢餓や病気により死亡いたしました。ビルマにおいては、厳しい宗教迫害や強制労働、財産没収をはじめ、雇用や教育、商業活動へのアクセスの拒絶も頻発しております。 この10年ほどの間に、少なくとも110名のロヒンギャ民族が主に空路で来日し、日本政府に対して庇護を求めました。ビルマ軍事政権のロヒンギャ民族に対する迫害ゆえに主要な1951年難民条約各国はロヒンギャ庇護希望者を難民と認めているにも拘わらず、今に至るも日本では、多くのロヒンギャ民族が難民認定を拒否され、ビルマへの強制送還の危険にさらされている人も多数おります。実際には、ビルマ政府がロヒンギャ民族を国民として認めないことからその送還を拒否していることから、ロヒンギャ民族の強制的な送還はできなかったというのが実態です。ロヒンギャ民族が現実に日本からビルマに強制的に退去させられたという報告を受けているというわけではないものの、退去強制命令を受けたロヒンギャ民族の人びとは極めて不安定な法的地位におかれたままであり、実際に強制退去させられるという恐れに直面させられたままの状態に置かれています。 また、庇護申請手続中にロヒンギャ民族が1年以上の長期にわたって政府に強制収容される例も多数存在します。また、解放された場合であっても、多くの在日ロヒンギャが、仮放免という極めて不安定な地位に長期間置かれ,いつでも収容される危険にさらされております。また、不安定な地位の結果、就労も認められず、庇護希望者に対する生活保護や保護費などの社会福祉に対するアクセスも非常に限られ、ロヒンギャ庇護希望者たちは、厳しい経済状況にも直面しております。 ビルマ出身の在日ロヒンギャ民族が置かれたこうした状況を考慮し、日本政府に対し、以下の提言を緊急に実行されたく、要請いたします。 * ロヒンギャ民族を、ビルマに退去強制しないこと。ロヒンギャ民族に対するビルマ政府の迫害の実態及びロヒンギャ民族出身の庇護希望者のビルマ送還が実質的に不可能という状況を考慮し、ビルマへの退去強制令書は撤回し、ロヒンギャに、在留特別許可を出すこと。庇護を求めるロヒンギャ民族に対しては、速やかに在留資格(例えば、1年間の定住者の在留資格など)を与えるという運用とするべきである。 * 庇護を求めるロヒンギャ民族を収容しないこと。労働の許可を与え、保護費や生活保護を含む社会保障への十分なアクセスを認めること。一般原則として庇護希望者は拘禁されるべきでなく、例外的場合のみに限るとするUNHCRのガイドラインに従うこと。 * 日本の外交政策に関して:ビルマ政府に対して、ロヒンギャ民族に対する人権侵害を終わらせ、ロヒンギャ民族がビルマ国民たる十分な権利を享受できるようにするよう、強く働きかけること。 敬具 2009年10月29日 アムネスティ・インターナショナル日本 |