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【神州の泉―高橋博彦】
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2009/10/post-aeb1.html
2009年10月28日 (水)
首相の所信表明演説感想!!
鳩山首相の所信表明演説をyoutubeで、じっくりと聴きながら、同時に最後に記してあるニュース・リンクの活字を追ってみた。内政的な指針に関しては、植草さんが「無血革命成功」と言うほど素晴らしい演説であり、大いに納得した。首相は、小泉政権が強く導入し、安倍、福田、麻生政権に受け継がれた、暴力的で極端な市場原理主義一辺倒路線からの離脱を表明した。小泉政権以降の日本は、アメリカ主導の新自由主義路線によって、とことん傷つき、見る影もないほど社会の活力が疲弊した。
デフレ脱却がままならず、中小零細企業は経営が極端に困難になった。自殺者は年間3万人を下らない。大企業や外資系企業の優先、国民無視、人間無視の非道な政治路線は、国民に静かな怒りを持たせ、ついには自公政権に“ノー”が突きつけられた。政治は政策出力がすべてである。すなわち結果で判断される。小泉政権やその継承政権が生み出した結果は、格差社会を生み、再配分の極端な不平等性が国民を苦しめている。
小泉純一郎元首相の威勢のよいワン・フレーズ・ポリティクスは国民を幻惑し、竹中平蔵元経済財政・郵政民営化担当相は、その場しのぎの饒舌で国民を煙に巻いた。彼らの政治路線は、特に弱いもの、小さいものをとことん痛めつけた。新自由主義の蔓延は、セーフティネットの急速な破壊をもたらし、国民生活をどんどん不毛な方向へ押しやっていた。これが国民の我慢を臨界点に導いた。
鳩山首相は演説の中でこう言っている。
「かつて、多くの政治家は、『政治は弱者のためにある』と断言してまいりました。大きな政府とか小さな政府とか申し上げるその前に、政治には弱い立場の人々、少数の人々の視点が尊重されなければならない。」
「障害を持った方たちも、あるいは高齢者も、難病の患者さんも、人間は、人に評価され、感謝され、必要とされてこそ幸せを感じるということを、この逸話は物語っているのではないでしょうか。」
「私が尊敬するアインシュタイン博士も、次のように述べています。『人は他人のために存在する。何よりもまず、その人の笑顔や喜びがそのまま自分の幸せである人たちのために。そして、共感という絆(きずな)で結ばれている無数にいる見知らぬ人たちのために。』」
鳩山首相は、『人間のための経済』や、『いのちと文化』ということを強調する。その方向性は絶対に必要である。政治は少数者や弱者をいかに人間らしく扱うか、万民幸福の願いが基本にあってほしいと思う。国民の命や財産を守り、明日への希望を持続させることが政治の役目だと思う。国民を無視して大企業や一部の富裕階級だけ優遇し、階級格差社会を固定化するような政策は論外である。小泉政権が敷いたそういう方向性は、非人間的な搾取政治であり、日本全体を脆弱化するだけである。
とにかく今は、傷ついた国民や小さな企業を回復して、ネオリベ政策によって荒廃した社会を建て直すことだ。格差を是正して早めに国民の不満を除かないと、大変なことになる。その意味では鳩山首相の人間回復の経済や生活重視の展望は時宜を得たものであり、不退転で優先してもらいたい。内政に絞って言うなら、小泉政権は国民疎外の売国金融資本主義政権であり、その象徴的人物は竹中平蔵氏やホリエモンである。
一方、鳩山政権を象徴する人物は福田えりこ氏だと思う。薬害肝炎被害者は、弱肉強食の小泉政権から見れば、最も早く社会からボイコットされる存在である。その福田氏が現政権では民主党の衆議院議員となっている。福田氏は立候補の動機を「悪しき政治によって命が奪われることはあるが、政治が正しく機能すれば多くの命を救えるのではないか、それこそが政治の本来の使命なのだと気がついた」と語っている。私も全面的に賛同する。悪しき政治の端的な事例は小泉・竹中構造改革路線だ。大企業や外資系企業の営利主体だけを優遇し、肝心の人間を犠牲にする悪政の典型だ。
特に小泉政権は、アメリカの犬に成り下がり、株価の誘導操作(りそな救済)を行う、後期高齢者医療制度という姥捨て法案、障害者から搾取する障害者自立支援法、母子加算手当ての廃止、思いっきり胡散臭い裁判員制度、そして郵政民営化というインフラ破壊兼売国法案を生み出した。国民を苦しめ、国民を重税で搾取し、若者や老人の希望まで奪い去った極悪政権だった。
小泉政権は、いろいろな社会学的視点で分析できると思うが、こういう捉え方もあるかと思う。あの政権は、物事の価値観を市場原理のみに特化し、他のすべての価値観や人間の属性を捨象した社会ダーウィニズムである。弱肉強食の金銭至上主義である。強い者、ずる賢い者が金銭的利益を得るためなら、他者の健康も幸福も顧みず、社会の安全も関係ない、自分だけの利益のみで物事を進めていく。社会の健全性保持に不可欠な公益精神が破壊される。文化も、他者の生命も、環境もないがしろにして恥じない自意識を持たざるを得ないように強いられるのが新自由主義社会だ。
私の知る限り、政権交代を「無血革命」なる言葉で表現した人は植草さんが始めだったように思う。鳩山首相の演説は非常に説得力があり、人間のための国政を志向していることには大いに感動した。確かに首相は国民を守ろうとしている。だが気になることもあった。外に対しては、明確な国防概念が語られていなかった。国民を守ることは二重の要素がある。一つは、国内的に政治と経済の適切な運用で国民益をもたらすことであり、もう一つは外国からの脅威に対して有効な防衛策を講じることだ。
国内と国外の二重の防衛を果たしてこその国政である。首相には「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という、空念仏のような憲法前文に惑わされないでもらいたい。国際社会は冷徹である。
下記リンクは所信表明演説の全文である。
産経 所信表明(1)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091026/plc0910261442009-n1.htm
産経 所信表明(2)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091026/plc0910261452010-n1.htm
産経 所信表明(3)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091026/plc0910261456011-n1.htm
産経 所信表明(4)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091026/plc0910261503012-n1.htm
産経 所信表明(5)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091026/plc0910261514013-n1.htm
産経 所信表明(6完)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091026/plc0910261517014-n1.htm