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http://www.sannichi.co.jp/local/news/2009/10/28/5.html
2009年10月28日(水)
裁判員辞退7割認める
90人中66人 「民意反映」揺らぐ
甲府地裁・2例目選任
山梨県内2例目の裁判員裁判となる韮崎市の強盗致傷事件の初公判が27日、甲府地裁(渡辺康裁判長)で開廷した。審理に先立って行われた選任手続きでは、呼び出された27人全員が同地裁に集まり、裁判員と補充裁判員計9人を選んだが、同地裁が選んだ候補者90人のうち、7割に当たる66人は事前に辞退を希望したり、手続き当日に辞退を申し出たりして裁判員らの抽選対象から除外された。裁判員を無作為で選出し、裁判に民意を反映させるという制度設計の根幹が揺らいでいるともいえ、法曹関係者からは「裁判に多くの市民が来られる配慮が一層必要だ」との指摘が出ている。
同地裁は、候補者として呼び出す90人を無作為に選出。呼び出し前の回答で40人の辞退を認め、50人に呼び出し状を郵送した。その後も仕事や親族の介護を理由に辞退を希望するなどした23人を候補から除いた。さらに27日の手続きで呼び出しを受けた27人のうち辞退を申し出た6人中3人を除外。結局、24人から裁判員6人と補充裁判員3人を選出した。
辞退しなかった候補者も裁判員を務めることに戸惑う。同日午前8時40分すぎ、選任手続きに出席するため同地裁を訪れた30代の女性は「勤め先からは『なるべく(裁判員に)選ばれないように』と言われた。休みを取れたのは今日1日だけ。個人経営なので、私がいないと仕事が回らない」と語った。
女性は事前に届いた質問票などに「辞退」の意思を示すのを遠慮したという。「自分の仕事が辞退理由に当てはまるのか、分からなかった。人を裁く心構えなんて、とてもできていない」と、不安そうに話しながら、同地裁の正面玄関に足を進めた。
同地裁は、辞退を認めた経緯について「裁判所として辞退事由に当てはまると判断した場合に認めている」(総務課)とするにとどまり、辞退を申し立てた候補者数などは明らかにしていない。同地裁は20〜22日に行われた裁判員裁判でも、70人を選出後に36人の辞退を許可するなど、最終的には34人が呼び出された。
山梨学院大法科大学院の大八木治夫教授(刑事法)は、「時間的余裕がある人しか裁判員として参加できない状況では、国民から幅広く意見を聞いて意思決定するという民主的な手続きが成立しない」と危惧(きぐ)。「多忙な人を無理やりに呼ぶことはできないが、裁判員を務めるために障害を取り除く施策が必要。社会全体で市民が裁判に参加しやすい環境をつくっていくべきだ」と話している。