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【天木直人のブログ】より、
http://www.amakiblog.com/archives/2009/10/26/#001515
(転載始め)
私のブログは不特定多数の一般読者に刺激を与え、考えるきっかけを提供する目的で書いている。
しかしそのブログを注視して読んでいる中には外務官僚とメディア関係者がいることを私は知っている。
だから書く時は常にその事を意識して書くことが多い。
これから書くこともそのその一つである。
一般紙にはまったく報道されていないのだが、日刊ゲンダイが10月7日付と26日付の二度にわたってで宮本雄二駐中国大使の醜聞を報じていた。
豪華な大使公邸があるのに、交通渋滞を理由に一泊100万円もするホテル暮らしを続ける贅沢ぶりが暴かれ、日系企業幹部を怒鳴りつけるという傲慢さが非難されていた。
外務省はあわてて日刊現代に「事実に反する」と猛烈な抗議をしているようだが、軍配は明らかに日刊ゲンダイにある。
ひょっとしてこの日刊ゲンダイの記事とそれに対する外務省の抗議が、外務官僚が独占してきた大使人事システムを大きく変えるきっかけになるのではないか。そういう予感がする。
実は宮本雄二大使もまた、かつての私の同期だ。小泉訪朝を仕掛けたあの田中均元アジア局長と同様に京都大学法学部でともに学び、69年にともに外務省に入省した間柄だ。
特に宮本大使と私は、三畳一間の外務省独身寮で研修時代を送った仲である。
当時の彼は決して批判されるような人間ではなかった。その彼が変わり始めたのは外務大臣秘書官などに抜擢され、幹部の道を歩み始めた頃からであった。
そしてあの外務省機密漏洩事件で外務省の人事が変則となり、なれるはずのなかった中国大使になった時点で、彼の傲慢さが極まったに違いない。
しかし、この事件は、単に宮本大使個人の資質の問題にとどまらない。もっと大きな外務省の根幹に
かかわる問題である。
大使人事が、しかも米国、中国、ロシア、などといった大国の大使人事が、今日まで外務官僚だけで
勝手に決め、たらいまわしされ、数々の特権が私物化されてきた。
そしてそのことが一般国民の目から完全に隔離されて放置されてきた。その事こそが問題であったのだ。
しかも、彼らが国民のためになすべき仕事をしていればいい。現状はその逆である。自民党政治家にへつらい、米国に従属し、ロシアや中国の不当に黙り続け、結果として国益を棄損し続ける
甘い外交しか行ってこなかった。
それにも関らず、外務官僚たちは何の信賞必罰もなく、人事を自分たちだけで勝手に決めて来た。
こんな不合理が許されていたのも、自民党政権下での「政治家と官僚のもたれあい」があったからこそだ。
そんな時代は終わった。
鳩山首相や岡田外相は、政権交代を果たした今こそ、大使人事を一新し、政治主導を示すべきだ。
日刊ゲンダイが二度にわたって報じる宮本大使の醜聞は、外交で窮地に追い込まれようとしている鳩山民主党政権に絶好のきっかけを与えてくれるかもしれない。
(転載終わり)