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臨時国会 国民の理解深める論戦を【西日本新聞】
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/130439
2009年10月25日 10:52
歴史的政権交代で鳩山由紀夫内閣が発足し、1カ月余が過ぎた。
この間に、八ツ場(やんば)ダムに象徴される公共工事の抜本的見直しをはじめ、重要な政策転換が矢継ぎ早に行われた。
国民の多くは、あまりの目まぐるしさに当惑しているのが実情ではないか。
26日から、ようやく臨時国会が始まる。
鳩山内閣は、政府答弁や論戦を通じて政策転換の理念や今後の具体的な進め方を丁寧に説明し、国民の理解を深めてもらう場ともすべきだろう。
政策転換の大枠は、衆院選マニフェスト(政権公約)に掲げられていたことではある。
とはいえ、羽田空港のハブ化や郵政民営化見直し、租税特別措置の抜本的改革など、次々に繰り出される施策や方針転換を見ていると、民主党や連立与党内でも十分に議論されてきたのか、疑問を覚えざるを得ない面もある。
政策の中身もさることながら、決定の過程を透明化することが問われているのだ。
「脱官僚」「政治主導」を掲げる鳩山政権は、事務次官会議の廃止や官僚による記者会見の禁止、国会答弁禁止などの方針を次々に打ち出した。
官僚の天下りを元から断ち、徹底的に官僚を封じ込める動きを強めている。
他方、政策立案などの機能は首相官邸と各省庁の政務三役(大臣、副大臣、政務官)らに集中し、政治主導を貫いて官僚が付け入るすきを与えない態度に徹している。
なぜ、そこまで徹底した官僚排除が必要なのか。
「脱官僚」「中央集権から地域主権へ」などというスローガンだけでなく、その理念や背景を国会論戦の中で分かりやすく国民に示してもらいたい。
その理解がなければ、次々に打ち出される大胆な政策転換も、国民には到底納得してもらえまい。
臨時国会で民主党は、審議時間短縮を理由に衆院本会議の代表質問を行わない方針だ。
「政府と与党は一体で、質問の必要はない」からだという。
しかし、代表質問は論戦の幕開けを飾り、各党が今国会でどんな問題を取り上げ、国民に何を訴えようとしているのかを示す重要な舞台だ。
今国会は会期も36日間と短く、民主党としては早く国会を切り上げて予算編成に集中したいという本音が透けて見える。
初の本格国会で早くも逃げ腰では、政権交代した意義が国民に伝わるのかさえおぼつかない。
一方、谷垣禎一総裁が率いる自民党にとっても、今国会は「野党デビュー」の大事な一戦である。
「全員野球」を掲げる谷垣自民党が、政権奪還の気迫を込めて、どんな球を投げ込んでくるのか。
これまた国民の多くがかたずをのんで注視していよう。
この国会で二大政党時代の訪れを実感できるよう、自民党は長い与党経験で培った独自の調査能力を発揮し、論戦を活気と実りあるものにしてほしい。
=2009/10/25付 西日本新聞朝刊=