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政治批判の能力を失ったメディアへの告別の発言
http://www.asyura2.com/09/senkyo73/msg/767.html
投稿者 カクジツ先生 日時 2009 年 10 月 24 日 22:50:34: ruqSwQk46icfg
 

メディアが如何に真実を覆い隠して、政治の持つ欺瞞に対して追従しているかについて、カサンドリアさんの映画批評として試みた鋭い指摘は、アメリカを舞台にした映画を通じての、日本の暴政に無力なメディアに対しての鋭い告発になっている。
<貼り付け記事>

(映画『正義のゆくえ』を観て、toxandoriaの感想)
・・・以下は[2009-10-15toxandoriaの日記/米国の“ダブルスタンダード人権主義”も驚く「日本・民主党vs検察・司法の裏取引、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20091015に対するコメント&レスの転載・・・
・・・「toxandoria」 → 「如意輪観音さま」へのレスの部分が[映画『正義のゆくえ』を観て、toxandoriaの感想]となっている・・・

如意輪観音 2009/10/18 13:50

一 瞥しただけで何となく分かった気分になったり、あるいは逆に、何だかさっぱり分からないと首をかしげて、反発したくなったりする絵画がある。また、このブロッグで味わうようにアレゴリーの持つ深い意味を教えられ、初めて意図が理解できる深遠な思想を秘めた絵もある。

美術史に精通したタクサンドラ先生には 「釈迦に説法」だが、見る人の心理を読みぬいた上で作者と観察者の間で、解読のゲームを楽しむ技法を駆使する伝統がアートの世界に生きている。それは技芸の分野でトロンプイユと呼ばれており、遠近法の普及がその工夫を促したこともあり、バロックからロココ時代が全盛期だという。
だが実は、これは熟達した芸術家にとっては、アートとテクネにおける一種の隠し味なのであり、ラファエル、ダ・ヴィンチ、ベラスケス、フェルメール、ゴヤなどの作品には、時代を超えてメッセージを伝える技法として見事に生かされている。だが、それぞれの時代におけるタブーとの関連で、迷彩や偏光工作が巧妙に施されていること が多く、それを乗り越えて初めて真の意図にたどりつける。
これが裏読み趣味にし、隠し味を探る人にとっての醍醐味なのだが、それは『さらば暴政』を何度か読み返すことで発見できる。一度目に普通に読んだときには、救い難い政治の混迷と支離滅裂な亡国現象に対して、タブーの「暴政」という言葉を鍵語 に使い、狂った時代のクロニクルを通読しているとの印象を持った。あるいはまた、スタンダールが時代批判に活用した、年代記を読む時と同じ感じがした。

同時に「日本ではジャーナリズムが死滅」という記事だけでなく、日本の主要雑誌の編集長たちの実名とともに、彼らがいかに弱腰で無責任であるかの記述があった。だから、これでは虚妄の言葉の切り売りを生業にし、仲間で傷を舐めあう日本のメディアが黙殺するのは、火を見るより明らかだと思った。
更に二度目に読んだ時に、「現代日本における暴君が持ち合わせていない、真のリーダーシップについて検討することであり、現実に欠けているものに注目するととも に、・・・リーダーシップ論を読む読者に対して、心からの共鳴を分かち合うことにしたい」というメッセージに気づいた。

お陰でこの本がリーダーシップ論だと直ちに納得できた。そうなると裏返しに書かれた『君主論』に対し、リーダーシップの片鱗も持ち合わせていない、日本のジャーナリストや評論家が書評をやれるはずがない。そうなれば黙殺されるのは当然ということになる。だから、黙殺が『ファウスト』と逆の裏返しの封印に相当し、ゲーテやスタンダールが将来の読者と呼ぶ、読者の遠近法があるという直観になる。

そういえば幻のベストセラーだった『小泉純一郎と日本の病理』は、改訂版として英訳されて 「Japan’s Zombie Politics」が生まれている。しかも、副題が「A Tragedy in Four Parts」であることが『ファウスト』の悲劇のもじりならば、これまた逆遠近のトロンプイユだ。さらに『さらば暴君』の英語の副題であるトランプ・ティラニイが、フランス語ではラ・マルセイエーズにも出てくるティラニイユで、ウイユという神秘の一つ目と地口の形で照応して、映像と音までが響き合っているのかと勘ぐりたくなるわけである。

toxandoria 2009/10/20 05:36

如意輪観音さま、コメントありがとうございます。

たまたま下記◆の映画鑑賞から帰ったばかりのためか、或る【机上の妄想】が浮かんだので、頂いたコメントへのレスのつもりで書きとめておきます。

◆『正義のゆくえ』(南ア出身、ウエイン・クラマー監督、ハリソン・フォード主演/有楽町、シネ・シャンテ、上映中)、http://www.seiginoyukue.jp/

この映画は、1,100万人以上の不法滞在者がいるとされるアメリカが抱える移民問題の過酷な現実を極めてリアルに描写したものです。官僚(ICE捜査官)としての職務への忠誠と正義との間で苦悩するICE捜査官を、老いて一層ヒューマンさを醸すハリソン・フォードが好演しています。

移民と不法滞在者に対する“アメリカ合衆国による国策犯罪”といえるほど苛烈なICEの“司法取引的”、というより“超国策司法犯罪的”でドライで苛烈な捜査手法と併行して、テロ実行犯の立場も十分認めるべき根拠があると主張する少女(バングラディシュ系イスラム教徒)の発言についての中立的描写など、不法滞在者とその家族らについての複数の悲劇的エピソードが同時進行するドキュメンタリー・タッチの映画です。

従って、この映画には、推理ドラマ風に意外性が隠された結論を追うような楽しみ方は通用しません。しかし、この種の映画が一般のアメリカ人によって概ね受け入れられたからには、「アメリカ人の良心」というか、いわば ごく平均的な普通のアメリカ人の意識が、今や、ここにきて漸く、かつてのブッシュ政権下で特に目立った「ダブルスタンダード(二枚舌)人権主義」、排他的 な「ユニラテラリズム(ネオコン的発想)」、あるいはその根源となった「ランディアン・カルト」を深く反省しつつあるのではないかと感じました。

考えてみれば、アメリカ発のグローバリズムは、例えば日本の「小泉=竹中劇場」下における暴政の本性たるグローバル市場原理主義(限界効用カルト=“限界効用関数の微分係数”へのカルト的信仰・・・、地球上にふんだんにある筈の水ですら稀少になりつつあるというのに!!)の如き害毒を世界中へ撒き散らしてきました。

が、今やそれは、その発信源たるアメリカ自身へ「大きな自己矛盾の存在」と「チェンジへ向かう努力の必要性」を突き付けています。もはや、アメリカという名の唯一の超大国だけに資源を浪費して甘い汁を吸い続けることを許すゆとりは、この地球上から消えつつあるのです。無論、アメリカ国内における保守派(ランディアン・カルト&ネオコン)の隠然たるパワーは、表記の【本論】で述べたとおり、今や期待のオバマがたじたじさせられるほど手強い存在ですが・・・。

そして、ここで思い出すべきは、オットー・ノイラート(Otto Neurath/1882-1945/オーストリア・ウイーン学派(論理実証主義)の指導者の一人、科学哲学者・社会学者)がかつて提唱した『“科学的検証の全体論的本性”を海上に浮かぶ船の改修に喩える』という知見です。このことについて、オットー・ノイラート一は次のように語っています。

・・・ 海に浮かぶ船(≒グローバリズム時代の地球)に乗った我々は、その乗船中の船を大海原の中で改修し続けなければならい。その時、一から組み直すこと(≒政 治権力と癒着しカルト化した科学やマスコミが、乗船中の人々へ向けて、利益誘導の意図を隠しつつ、もっともらしくプレゼンテーションする<偽のシナリオ>の採用)などできる余裕はなく、梁を外したら間髪入れず新しい梁を取り付けねばならない。そして、そのためには船体の残りの部分(≒社会的排除や差別を受けてきた下積や弱者の立場の人々の力や知恵)をも支保工(サポート型枠)に利用するしかない。このように、我々は古い梁や流木などを使って船体のすべてを 改修的・修復的に作り上げることはできるが、そのゼロからの再構成は徐々にしか行えないのだ。
<注記>(  )内はtoxandoriaが加筆したもので、[2008-01-07 toxandoriaの日記、“政治と業界の癒着による「作為が権力を偽装」する恐怖の電子投票法案、http://d.hatena.ne.jp/toxandoria/20080107から部分転載。


 

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コメント
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{さらば暴政」という本の奥行きの深さに感嘆した。アメリカの質のいい映画と同じように、歴史的な背景がわからないと物事の本質が理解できないことは、トクサンドリア氏の歴史的な分析と同じで、深い教養がないと中々できないと痛感させられた。アニメやマンガしか読めなくなった日本人は、マンガしか読まない麻生を首相にした用に、民度が低いのかも知れないと思った。
2009/10/26 18:40

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