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2009年10月23日 (金)
真価を問われる前原誠司国土交通大臣
鳩山政権発足後、国交相の行動がクローズアップされることが多くなった。反小沢色に染め抜かれるマスメディアが、民主党内反小沢派閣僚をアピールしている傾向が強い。新任大臣のなかでは、前原誠司国交相と仙谷由人行政刷新相をマスメディアが取り上げる頻度が突出して高い。
「政官業外電の利権複合体勢力」が前原氏や仙谷氏を突出してアピールし、新政権を撹乱する橋頭保(きょうとうほ)として活用しようとしているようにも見える。
国交相の言動が大きく報じられている。@八ツ場ダムの建設凍結、A羽田空港のハブ化推進、がメディアによって大きく取り上げられた。
ダム建設については、その必要性を再検証する必要がある。そのうえで必要性が乏しいとの結論が得られるなら、建設中止の決断を示すべきだ。しかし、建設の方向で長期間、多くの人々と地方自治体を巻き込んできた現実を動かすことはできない。中止の方針を持つなら、適正な手順を踏むことが不可欠だ。
前原国交相の行動は、適切な手順の欠如の面で批判されてやむを得ない側面を有している。
重要なインフラ、経済の成長戦略において、国際的なハブ空港の育成は不可欠である。これまでの自民党政治は不要な地方空港整備に膨大な資源と資金を注ぎ込むものだった。空港整備は利権事業以外の何者でもなかった。
空港整備事業を見直すなら、根本からグランドデザインを再構築することが不可欠である。羽田にしても、アジア諸国のハブ空港に匹敵する機能を保持できるのか疑問が多い。むしろ、北海道の苫小牧地域に国際ハブ空港の名にふさわしい高機能空港を整備する方が現実的な選択であると考えられる。
前原国交相がまず取り組むべきであるのは、JR西日本問題と、住宅投資促進策の内容、そして日本航空問題だ。
JR西日本は福知山線事故の調査に際して、言語道断の不適切な対応を取った。その実態が五月雨式に明らかにされている。国交省内に特別調査委員会を設置して、問題の全容を解明し、関係者に対する厳しい処分を実行しなければならない。内容によっては、刑事告発することをも視野に入れるべきである。
問題が次から次に発覚しているにもかかわらず、国交省の対応は甘すぎると言わざるを得ない。
景気対策に関連して、住宅購入時の贈与税非課税枠拡大が検討されているという。これは、鳩山政権が掲げる「格差是正、弱者に優しい政策、友愛主義」に反するものである。
非課税国債の創設、贈与税・相続税の軽減は、富の偏在を容認する政策である。「自由・平等・博愛」の言葉があるが、「自由」を完全に放置すれば「平等」が損なわれる。
小泉竹中政治の「新自由主義」=「市場原理主義」が否定されたのは、「自由」を尊重しすぎて、「平等」を軽視したことに原因がある。「すべての人が居場所を見いだせる社会」を創出するには、「結果における平等」、「機会における平等」が重視されなければならない。
贈与税・相続税の軽減は、遺産の相続によって、生まれた時点での人間の競争条件に大きな格差を設定するものである。「機会の平等」を重視するなら、贈与税・相続税はむしろ強化すべきものである。
前原国交相は民主党内部における「市場原理主義者」と見なされてきた面が強い。しかし、鳩山政権が誕生して閣僚に登用された以上、個人的な思想を封印し、鳩山政権の閣僚として政策を立案すべきである。
日本航空の再建策検討の専門家チームが創設されたが、その構成メンバーの多くは、竹中平蔵氏に近い「市場原理主義者」で占められている。りそな銀行、ダイエー、ミサワホームなどの再建処理では、不良債権処理の名の下に、特定資本による企業乗っ取りが政府主導で実行されてきた。
日本航空再建策検討においても、同様の手法が用いられる可能性が高まっている。特定資本への利権供与を政府が主導することは正しい選択ではない。
日本航空が経営に失敗したのなら、その処理は法的整理を中心に据えるべきである。市場原理を重視するなら、企業の破綻処理は法的整理を軸に置くべきだ。密室での私的整理検討には、必ず利権の腐臭がつきまとう。
ダム建設凍結を適切に指揮すること、空港整備事業を根本から見直すこと、また高速道路整備において、無理に4車線化を推進しないこと、などは正しい政策と評価できるが、格差拡大推進の贈与税減税、不透明な日本航空再建協議は、正しい施策と考えられない。進化がJR西日本に対する厳格な対応も求められている。前原国交相の真価が問われている。
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