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自民党が主張する経済政策は、大企業に手厚く国費を投入することで経済が活性化し、それが生み出した金が日本中に行き渡って、結果として国民全体が豊かになるというものなのでしょう。
しかし、ああ野麦峠の女工哀史を見るまでもなく、経営者側はどんな時代でも、いくら利益が出ようと労働力が安くて済むものなら敢えてそれを引き上げることなど絶対にしません。そんな金があったら芸者相手のお大尽遊びに費やすのです。
派遣法が変わりいつでも首を切れる安い労働力が手に入ったのだから、経営者側はいくら金が余っていてもそれを手放して、より労働条件のよい正社員を増やそうなどとは考えるわけがないのです。
つまり自民党が懸命に机上で強弁しても大企業が儲かる→労働者が豊かになる、という図式は成り立ちません。
その証拠に戦後最大の好景気を経て、豊かになるはずだった労働者は逆に賃金をカットされ、ボーナスを減らされ、ついには失業してホームレスになりました。
それでもなお自民党の考え方を肯定しようとすれば、少なくとも巨額の利益を大企業が生み出せば、どこかでその利益を吐き出すはずで、その吐き出された金がいずれは庶民にまで行き渡るはずだと言えないこともないかもしれません。
しかし新自由主義を標榜し、金融の自由化までをも断行した結果、日本の大企業が生み出した利益は外資という名の株主への配当や、各種金融商品に姿を変えてアメリカをはじめとする世界中にばら撒かれてしまいました。
労働者の手元に入るはずだった金が国外の巨大資本に逃げてしまったのです。
派遣法を廃止し、最低賃金を引き上げたりすると国際競争力を失い、企業は海外に逃げる、などと未だに自民党は馬鹿の一つ覚えのように言っていますが、戦後最大の好景気と一部の連中が豪語する時期に、大企業は派遣労働者を全員正社員とし、そのまま現在まで雇用し続けたとしてもなお、あり余る膨大な利益を手にしました。(そしてそれが海外に流れました)賃金を削らなくても国際競争力は保てるのです。
そしてもし仮に、実際に派遣社員の正社員化が行われていたら、内需は拡大し、日本の経済がここまで落ち込むこともなかったでしょう。
昔石油の値上がりでどこかの小学校が給食のおかずを減らさざるを得なくなったとき、私はこのメールマガジンで、世界のどこかで優雅に暮らす桁違いの金持ちが石油に投資することで利益を上げるということは、その大金持ちが育ち盛りの小学生のおかず代を取り上げたことと同義だ、と書きましたが、まさに派遣労働者の汗と涙の正当な賃金を外資が労せずしてかすめとって行ったことになります。
そのお先棒を担いだのが小泉竹中コンビでした。
こういう状況下で労働者がその権利を取り戻すには、蟹工船や女工哀史の時代と同様に労働組合を結成して経営者と真っ向から戦う以外にありません。
しかし、以前から気にかかっていたのですが、ネット右翼の連中ばかりではなく、今の若者は労働組合を悪いもの(うざいもの?)として毛嫌いする傾向があるようです。いったいどこで誰にそのような洗脳を受けたのかは知りませんが。
また、そういう状況下、すでにまともな労働組合が崩壊し、経営者の意を汲んだ御用労働組合しか存在しない現状で、経営者に嫌われ首になることを覚悟でまともな労働運動を展開することは容易なことではないでしょう。労働運動は職場の全員が団結しないと経営者に対する圧力になりえません。
自由競争を旨とした自由主義が正しく健全にその機能を発揮するためには、原理的に労働運動は不可欠です。企業同士だけではなく、経営者と労働者間にも競争原理を働かせることが自由主義のシステムに組み込まれているはずだったからです。だからこそ法律で公務員以外の労働者はストライキをする権利まで認められているのです。
日本は今、労働組合の復活育成が急務だと思います。
しかしそれでもなお、それが今困難なのだとしたら、解決策はひとつしかありません。
答えは簡単です。労働者の代わりに国が、大企業や金持ちから税金を取って、低収入の人たちに配ればいいのです。
つまり、日本は新自由主義から社会民主主義への移行を果たすしかありません。
平等を履き違えている。競争原理が働かない社会は衰退する。というのなら、その競争原理の中の重要な因子である労働組合が骨抜きにされてしまったのだから、すでに衰退は始まっているのだ、ということを再確認したいと思います。もちろん衰退=自由主義の衰退です。
それでもどうしても競争をしたいのなら、いっそのこと政府を解体し、規制もルールも全廃したらどうですか。そうなれば人々は勝手に競争し、殺しあって強いものだけが生き残り、社会は落ち着くところに落ち着くでしょう。
新自由主義者たちには、何のために政府が存在するのか、一度深く考えてみることをお奨めします。