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今年の8月18日 金大中元韓国大統領が亡くなった。85歳だった。金大中氏は日本との関わりの大きい政治家だ。産經新聞から彼の略歴を引用する。 ------------- 金大中氏は、韓国情報機関「韓国中央情報部」(KCIA)に東京で拉致された金大中事件(1973年)で世界に知られ、光州事件で死刑判決を受けた。4度目の挑戦で韓国大統領に就任(98〜2003年)した。 また、分断後初の南北首脳会談を実現した。南北交流の功績によってノーベル平和賞を受賞した。しかし、その裏では5億ドルに上る対北秘密送金があったとされる。軍事政権から民主化を経て近代国家への道を歩んだ韓国の一時代を象徴する政治家だった。 金大中政権下では日本の文化開放が実施され、日韓の民間レベルの交流が一気に進むきっかけとなった。 金大中氏は亡くなる前、6月11日、金元大統領の「6.15南北首脳会談9周年記念特別講演」を行なった。金大中氏は準備した演説文もなしに現時局に対する考えを述べた。特に郷里の岩山から飛び降り自殺したノ・ムヒョン前大統領について語るくだりは切々として哀切極まる訴えとなった。人々の心に訴えかける「行動する良心になりましょう」との演説は必ずや多くの人々の心を打つだろう。 金大中氏は1970年代において、パク・チョンヒ軍事独裁政権から命を狙われながらも民主化活動を続け、韓国の反独裁、民主化勢力のシンボル的な存在となった。大統領になってからは、太陽政策をかかげ南北の平和交流を推進した。北朝鮮に対する敵対的な運動には断固反対の姿勢をとり、あくまでも平和統一を主張した。その政治信念は死ぬまで変わることはなかった。 金大中氏が亡くなってから2ヶ月が過ぎたが、金大中という偉大な政治家の死が惜しまれてならない。 以下に、生前最後の演説となった「6.15南北首脳会談9周年記念特別講演」の内容を掲載する。この文章は、NPO法人 三千里鐵道 に掲載されているもので、翻訳が固い部分は雑誌「世界」 11月号の翻訳に置き換えた部分があることを断っておく。 http://blog.goo.ne.jp/sanzenri2010/e/7468e13ffbe08fe6ed535cccf6ff59d2 行動する良心たれ ! 尊敬する先輩同志の皆さん, 今日この席にこのようにたくさん集まって下さり、心からありがとうございます。 私は6.15と10.4宣言を考える時、亡くなったノ・ムヒョン大統領を考えないわけにはいきません。 盧(ノ)前大統領と私だけが、北朝鮮に行って南北首脳会談をしました。この件は、とても重要なことだったと考えます。 ノ・ムヒョン大統領と私とは、変に似ていた点が多いです。二人とも農民の息子に生まれたし,盧前大統領は釜山商高,私は木浦商高を出ました(聴衆笑い). そしてノ・ムヒョン大統領は金がなくて,大学に行けなかったし、私も金がなくて,大学に行けなかったです(聴衆笑い). 盧前大統領は大学行けなかった後,熱心に勉強して,弁護士になったし,私は熱心に事業して,お金少し儲けました(聴衆笑い). その後で私はイ・スンマン政権,盧前大統領はパク・チョンヒ政権など独裁政権に憤慨して,本業を捨てて政治に入ったのです。 政治に入って,再び反独裁闘争を共にするなど、盧前大統領と私は実に深い縁で結ばれていました。党も一緒,国会議員も一緒、そして北朝鮮も交代で行ってきました。 どうも前世では、盧前大統領と私は兄弟ではなかったかという気がします。もちろんお兄さんは私になりますが(聴衆笑い)。それで私が盧前大統領逝去の消息を聞いて‘私のからだの半分を失ってしまったようだ’と言ったが、それは過ぎ去った過去だけ見ても並大抵ではない縁でつながっていたからです。 私が大統領する時,盧前大統領を海洋水産部長官をお願いしたこともありました。 私は今日6.15南北共同宣言9周年を迎えて,先にイ・ミョンバク大統領と北朝鮮に対して、いくつか申し上げたいと思います。 イ・ミョンバク大統領は、今私たち国民がどれほど不安の中で暮らしているのか知るべきです。開城(ケソン)工業団地を撤収するという話が出ました。 北朝鮮では毎日のように韓国がすることを宣戦布告と見なす,武力対抗すると話しています。世界でこのように60年間もこうしている国がどこにありますか。 それで私はイ・ミョンバク大統領に強く忠告したいのです。前職大統領二人が合意しておいた6.15と10.4をイ大統領は必ず守って下さい。 それでこそ問題が解けます。 そして私たちが一方的に撤収した金剛山観光を、また復旧させなければなりません。開城工業団地に労働者のための宿舎を作ってやることは私たちが約束しました。したがって私は、イ・ミョンバク大統領が6.15と10.4の約束を守って,金剛山で一方的に撤収したのを撤回して,開城工業団地宿舎建設を約束したこと等、私たちの義務事項を私たちが履行するということを宣言する必要があると考えるのに,皆さんどうですか(拍手). 次には北朝鮮のキム・ジョンイル委員長に申し上げたい。 私は北朝鮮が多くの無念さを抱えていることを知っています。 1994年ジュネーブ協定の後、北朝鮮は核をあきらめました。 米国は北朝鮮に対して軽水炉を建て、経済援助をすることを約束しました。ところがクリントン大統領が合意しておいたのを、ブッシュ大統領が完全にひっくり返してしまいました。 ここで不信が生じました。またオバマ大統領が大統領選挙運動中に、自分が当選すれば北朝鮮とイランの首班らに直接会うといいました。そして大統領に当選した後、自らの対北朝鮮政策はブッシュ政策でなくクリントン行政府がした政策を継続すると話しました。これに対して、北朝鮮の期待がとても大きかったのは事実です。 ところがオバマ大統領は、パキスタン,アフガニスタン,イラン,中東,ロシア,さらにキューバまで対話すると手を差し延べたが, 北朝鮮に対しては一言もしていない。北朝鮮としては実に堪え難い侮辱です。 北朝鮮が再びだまされるのでないかという考えを持つのは、無理もありません。 しかし、かと言って北朝鮮が極端な核開発まで行ったことは、絶対に支持できません。キム・ジョンイル委員長は6者会談に一日もはやく参加して,また米国と交渉して,北核問題を解決して、韓半島非核化をしなければなりません。韓半島非核化は絶対的な条件です。 私が今回中国に行って習副主席に会って1時間程話したが,中国指導者の誰に会ってみても、北朝鮮の核に反対します。私は中国が北朝鮮の核に反対すると考えたが、今回北朝鮮が核実験をすると中国がかなり厳しく非難し,国連安全保障理事会でも対北朝鮮決議案に合意しました。 そのような無念さがあると言って核を作ってはいけません。 核を作って誰に使うのか。 そこには私たち韓国の人も含まれているでしょう。 1,300年の統一国家,5,000年の歴史を持つ私たちが、相手方を全滅させる戦争をして良いでしょうか。忍耐心を持って対話を続け、まだオバマ大統領が対北朝鮮政策を発表していないので待つ必要があります。もちろん、いらだっている心情は理解できますが、しかし、オバマ大統領はクリントン政権の政策を継続するとといったので、待たなければなりません。 今回クリントン前大統領が韓国にきて,私と晩餐をしたが,クリントン大統領は私とともに太陽政策を実践できなかったことを残念がっていました。 私たちは北朝鮮の核問題解決のために、多くの話をしました。クリントン大統領も北朝鮮核に対しては絶対反対だと,しかし相手方に対して相応する代価を与え,相手方の気持ちを和らげることもしなければならないといいました。 私が色々な建議をしましたが,自分がオバマ大統領とヒラリー・クリントン女史に伝達すると話していました。 私は北朝鮮が要求した安全保障と経済再建,米国と日本との国交再開などを米国が尊重して守らなければならないと考えます。すでに北朝鮮核問題は1994年ジュネーブ会談で合意しています。2005年6者会談9.19合意によって,北朝鮮は核をあきらめて米国は北朝鮮と外交関係を開き,韓半島は平和協定を結んで,米国は北朝鮮に対して経済的支援をするということが決まっていますから、金正日総書記に対しては、あくまでも交渉と忍耐心を持って対応すべきと考えます。核問題を持ち出してはいけないと強く申し上げようと思います。 結局私が話したことは、外交はウィン・ウィンでしなければならないということです。… 北朝鮮は核と長距離ミサイルをあきらめる段階まで行きました。だから北朝鮮には、与えるものを与えなければなりません。外交もして経済援助もして、韓半島平和協定も結ばなければなりません。みな合意している話を、米国が実践していません。 私はオバマ大統領が当選された時,私が当選したように喜びました。またヒラリー女史が国務長官になった時,クリントン大統領の妻だから喜びました。北の核問題は1994年のジュネーブ合意によって合意しています。そして6者会談合意によって,北朝鮮核問題がみな合意しました。私は今回クリントン大統領にどうしてできないのか,北朝鮮も合意し,米国も合意した。オバマ政府はブッシュと違うが,なぜ北朝鮮を安心させ、北朝鮮も待つことのできる機会を与えず、こうしたところまできたかのか’というようなことも申し上げました。 イ・ミョンバク大統領に改めて申し上げたいと思います。 民主主義は国の基本です。 どれほど多くの国民が, 民主主義を成し遂げるために死んだでしょうか。 光州で,人民革命党事件などで、たくさん死にました。私たちは過去にイ・スンマン,パク・チョンヒ,チョン・ドゥファンという三つの独裁政権を、国民の力で克服しました。それで与野党政権交替を通じて‘国民の政府’がスタートしました。 ノ・ムヒョン大統領が当選して, 民主主義的政治が続きました。私たちの国民は独裁者が出てきた時, 必ずこれを克服して民主主義を回復したことを、私たちは肝に銘じなければなりません(聴衆拍手). 私は長い間の政治経験と感覚で,万一、イ・ミョンバク大統領と政府が、現在と同じ道を進むならば、国民も不幸,イ・ミョンバク政府も不幸だということを, 確信を持って申し上げています。イ・ミョンバク大統領が、英断を下すことを願ってやみません。 最後に、皆さんにも切にお願いします(しばし沈黙)。心から血を吐く思いで切実に申し上げます。 今回ノ・ムヒョン大統領が亡くなりましたが, もし、盧前大統領があれほど苦しんでいた時に, 500万人の弔問客の中で10分の1の50万人だけでも「こんなやり方は間違っている」「前職大統領に対してなんという仕打ちをするのか」「確たる証拠もないのに毎日のように疑惑を流して精神的打撃を与え、辱め、憤りを与え続ける、こんなやり方はおかしい」と、50万人だけでも叫び行動すれば、盧前大統領は死を選ぶことはなかったでしょう(拍手)。 どれほどの恥辱、どれほどの無念、周囲の犠牲になった人たちに対してどれほど心を痛めたでしょうか。 私は皆さんに申し上げたいのです。 自由な国になろうとするなら、良心を守って下さい。平等で平和で正義にあふれた国にしたいのなら、行動する良心にならなければなりません。 傍観するのも悪の味方です。独裁者に頭を下げて,へつらって,地位について…、こういうことは話す必要もありません。我が国が自由な民主主義,正しい経済,南北間和解を成し遂げるためには、私たちの中にある良心の声に従い,表現し、行動しなければなりません。選挙の時は、悪い政党ではなく良い政党に投票しなければなりません。世論もそのようにしなければなりません。それで4,700万国民が、皆良心を持って互いに忠告しあい、批判しあい、激励し合っていくならば、どうしてこの地に独裁がまた起き, 少数の人々だけ栄華を享受し,多数が苦労するこのような社会になることがあるでしょうか。 私たちの国民は、北朝鮮の核実験とミサイルに反対します。 しかし反対は、あくまでも6者会談,米国との会談で反対すべきで,絶対に戦争の道に行ってはいけないと考えます。 私たちは皆、行動する良心で自由と庶民経済を守り, 平和な南北関係を守るために立ち上がり, 安心して暮らせる国,希望のある国を作りましょう。 ありがとうございます。 |