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緊急院内集会「えっ?母子加算復活で高校就学費は廃止?」21日(水)1時〜3時
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国会議員 各位 2009年(平成21年)10月20日
要 請 書
「えっ?!母子加算復活で高校就学費は廃止?」
〜このままでは公約違反。鳩山総理の決断を〜
2009年4月、生活保護を受けるひとり親世帯に支給されてきた母子加算が完全廃止されました。母子加算の完全廃止を受け、鳩山総理は、総選挙前、当時の麻生首相との党首討論の締めくくりで、「小学校に入りたてのお嬢ちゃん、お母さんが生活保護、母子家庭、2万円切られてしまった。そこで『もう私は高校に行けないのね』。その話、聞いたら涙が出ましたよ。…修学旅行に行きたくても行けない、高校行きたくても行けない。そういう人がたくさん今いるんです。」「こういう方を救おうじゃないですか。居場所を見いだされる国にしようじゃないですか。」と訴えました。その後、民主党はマニフェストに母子加算復活を掲げ、政権交代が実現し、長妻厚生労働大臣が母子加算を年内に復活させるという発言を繰り返してきました。ところが、最近の新聞報道によれば、母子加算の年内復活が微妙となり、さらに、高校等就学費や学習支援費の廃止との引き換えを主張する財務省の意見が根強いとされています(2009年10月12日読売新聞)。しかし、高校就学費や学習支援費は母子加算とは異なる経過と理由に基づいて導入されたものであり、それらの廃止もまた母子加算と同様に子どもたちの将来にかかわる重大な問題です。報道が事実ならば、ひとり親世帯の窮状や子どもの貧困の実態を無視し、創設経過、支給趣旨、対象範囲が異なる給付を混同して子どもたちに対する教育を妨げようとするものであり、民主党の公約違反と言わざるを得ません。
先生方におかれましては、ひとり親世帯の窮状や子どもの貧困の実態ときちんと向き合い、1日も早く、高校等就学費と学習支援費を存続させたうえで、母子加算を復活させてくださいますようお願いいたします。
先生方に実態をご理解頂くため、10月21日(水)午後1時〜午後3時、衆議院第1議員会館第1会議室において緊急の院内集会を開催し、当事者の声をお届けします。ご多忙とは存じますが、是非、ご参加ください。
1 貧困の再生産を防ぐために教育機会の保障が必要不可欠です。
等価可処分所得の中央値の50%を貧困と定義したとき、全世帯の子ども貧困率が15%であるのに対し、母子世帯の子どもの貧困率は66%となっています(阿部彩『子どもの貧困』岩波新書52頁、56頁)。また、大阪府堺市で行われた実態調査によれば、生活保護を受ける母子世帯の4割は、世帯主が育った家庭も生活保護を受けていました。いったん貧困に陥ってしまうと抜け出すことがとても難しく、世代を超えて貧困が再生産されてしまう実態が明らかとなっています。母子加算の廃止は、ひとり親世帯の子どもたちに更なる負担を強いて貧困の再生産を加速させるものであり、加算の復活は再生産の速度を緩めて元に戻すにすぎません。貧困の再生産を防ぐためには、母子加算の復活にとどまらず、高校就学費や学習支援費を維持して、子どもたちに教育の機会を保障することが必要不可欠です。
2 高校等就学費や学習支援費は母子加算と代替関係にはありません。
母子加算(削減前の加算月額は都市部で2万3260円)は、ひとり親ゆえのハンディや子どもの健全育成などから必要となる需要に対応するものとして1949年に創設されました。これに対し、高校等就学費(月額平均1万5441円)は、子どもの高校の就学費用として、2005年度に創設されたものであり、支給対象はひとり親世帯に限りません。たまたま母子加算廃止と時期が重なりましたが、実際は、2004年3月16日の中嶋訴訟最高裁判決(高校就学費目的での保護費等を原資とする学資保険への加入の可否が争われ原告が勝訴したもの)での原告勝訴を受けて国が具体化せざるを得なかったにすぎません。また、2009年7月の創設された学習支援費(参考書代など。月額で小学生2560円〜高校生5010円)も、生活保護世帯の貧困の再生産を防ぐ趣旨で導入されたものであり、支給対象はひとり親に限りません。いずれも支給趣旨、対象範囲、創設経過が異なり、母子加算と代替関係にはありません。
3 高校等就学費や学習支援費が廃止されれば母子加算が復活しても公約違反です。
民主党は、総選挙前、そのマニフェストで、「国民の生活が第一」「暮らしのための政治」を掲げ、「母子家庭で、修学旅行にも高校にも行けない子どもたちがいる。」「民主党は、すべての子どもたちに教育のチャンスをつくります。社会全体で子育てする国にします。」「すべての予算を組み替え、子育て・教育…に税金を集中的に使います。」と訴えていました。しかし、母子加算が復活しても、高校等就学費や学習支援費が廃止されれば、復活した母子加算額で高校就学費等を賄わなければなりません。これでは母子加算復活は名ばかりとなってしまいます。ひとり親家庭以外の保護世帯については、高校等就学費等の減額だけが行われ、子どもの高校就学等が困難となります。全体としてみれば、公約違反といわざるを得ず、“子どもいじめ”とさえ言われかねません。
4 高校授業料の無償化も公約違反の言い訳にはなりません。
民主党はまた、マニフェストで、「公立高校の授業料を無償化し、私立高校生には年12〜24万円を助成」するとして、「高校授業料の実質無償化」を謳っています。しかし、この公約はまだ実現しておらず、先行して生活保護世帯に対する高校等就学費や学習支援費を廃止することに合理性はありません。しかも、高校では、授業料以外の学習費用の方が授業料よりも多くかかることに留意が必要です。公立高校において学校に支払う平均学習費は年間約35万円、うち授業料は約11万円で、残りの約24万円は教科書代や制服代や修学旅行費等の費用です。また、学校外の教育費(参考書や塾等)にも平均約17万円かかります。仮に授業料が無償となっても、授業料以外の年間計41万円の教育費の負担は残ってしまうのです。貧困の再生産を防ぐためには、高校授業料の無償化だけでは足りず、授業料以外の教育費を賄うための給付が必要となります。
いま、新政権が本気で子どもの貧困に取り組む気があるのか、その真意が問われています。子どもたちに手を差し伸べるために、そして、公約違反で国民の信頼を裏切らないために、鳩山総理の決断を求めます。
生活保護問題対策全国会議 代表幹事 尾 藤 廣 喜(弁護士)
(連絡先)〒530-0047 大阪市北区西天満3-14-16
西天満パークビル3号館7階 あかり法律事務所
電話:06-6363-3310 FAX:06-6363-3320
上記全国会議 事務局長 小久保 哲 郎(弁護士)