★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK73 > 565.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
http://kikko.cocolog-nifty.com/kikko/2009/10/post-ea64.html
投稿者 きっこ 日時 2009.10.20
八ツ場ダムは福田ダム
3日前か4日前、夕方のテレビのニュースで見たんだけど、国土交通大臣の前原ちゃんのとこに、和歌山県の知事が、ナントカ道路の4車線化の中止を撤回してくれとかって陳情に来たってニュースをやってた。それで、その知事が、前原ちゃんにお願いしてるとこが映ってたんだけど、あたしは、その知事のセリフを聞いて、あまりのバカっぷりに呆れ返っちゃった。だけど、あたしは、豚インフルエンザもどきで苦しんでて、とても日記を書ける状況じゃなかった。でも、もう熱も37度台におさまってるし、目の痛みも軽くなって来たから、今日はリハビリがてら、軽くツッコミを入れてみようと思う。で、ものすごく具合の悪い時に見たニュースだから、その知事のセリフを一字一句まで正確には覚えてないけど、趣旨としては、こんなことを言ってたのだ。
「こんなに次々と公共工事を切られてしまうと、われわれ地方の経済はお手上げになってしまいます。どうか4車線化の工事の中止を撤回してください」
この知事って、真性のバカなのか、それとも、1年くらい冷凍睡眠してて、政権交代が起こったことを知らないのか、どっちなのかは分かんないけど、どうして、こんな「本来はオフレコの話」を口にしちゃったんだろう?目の前に何台もテレビカメラがあって、自分の発言がそのまま全国に流される上に、自分が陳情してる相手は、自民党の道路族議員の正反対に位置する新政権の大臣だってのに、バカ丸出しとしか言いようがない。
タヌキやイタチくらいしか通らないような田舎の道路だったとしても、ムダな公共工事を陳情する場合には、普通は「どうしても4車線にしないと円滑な交通ができないんです」っていうタテマエで話をするのが当たり前だ。それなのに、この知事は、堂々と「地元の土建屋のために」って意味のことを言っちゃったワケで、それも、全国放送のテレビカメラの前で言っちゃったんだから、どう考えても、今までの自民党の道路族議員とのやりとりと混同しちゃってると思う今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、これまでの自民党政権では、各地方の土建屋を始めとした企業が、地元の自民党県議たちに対して、会社ぐるみで選挙協力したりワイロを贈ったりとベッタリ癒着してた。そして、そうした自民党県議たちは、その見返りとして、中央から公共工事を引っぱって来る。そして、自民党県議のバックにいる暴力団を中心としたミゴトな連携プレーで、談合によって癒着企業へと工事が斡旋され、あたしたちの血税が「国民のため」じゃなくて「一部の企業のため」に使われる‥‥ってのがパターンだった。
だから、地方の自民党県議たちが陳情して来る建設計画ってのは、道路にしろ、ダムにしろ、そのほとんどは不必要なもので、必要なのは、あくまでも「公共工事」という名の宝箱なのだ。必要のない道路やダムでも、それを建設することによって、地元の自民党県議のパトロンたち、ようするに、土建屋を始めとした企業やバックの暴力団のフトコロは潤い、自民党県議たちもキックバックや選挙協力というオコボレにあずかれる。こうして、全国各地に分布してる一部の守銭奴どもが、あたしたちの血税を山分けするために行なわれて来たのが、自民党政権時代の公共工事だったワケだ。
たとえば、和歌山県なら、西松建設とベッタリ癒着してるのに、不思議と地検は捜査をしない自民党の二階博俊のお膝元ってワケで、ここには、「那智勝浦道路」っていう立派なバイパスが造られてる。いつでもガラガラのこの道路は、通称「二階バイパス」って呼ばれてるんだけど、たった8.9キロの道路を造るのに、1240億円もの血税をつぎ込んだんだから、1メートルあたり1400万円だ。これは、平均的な道路建設費の5倍を超える巨額の費用で、どうしてこんなに掛かったのかは謎だけど、道路が必要なんじゃなくて、あくまでも「公共工事」が必要だっていう考えで行なわれて来たんだから、何よりも重要なのが、「総額でいくらの事業になるか」って部分なのだ。
地元の土建屋や暴力団を潤すために、こうして費用対効果を無視して造られて来たムダな道路は、この「二階バイパス」に限らず、全国各地にある。たとえば、「原爆を落とされたのはしょうがない」でオナジミの久間章生の地元の長崎県では、わずか8.3キロの距離に1630臆円もの血税をつぎ込む「佐世保道路」、通称「久間道路」が造られてるけど、これにしたって、1メートルあたり2000万円で、通常の道路建設費の7倍を超える。そして、この工事を請け負ってる複数の企業から、久間章生へ多額の献金が渡ってたことも発覚してるのだ。
他にも、青木幹雄の地元の島根県で、930億円もの血税をムダにして造られてる「青木バイパス」、安倍晋三の地元の山口県で、700億円もの血税をムダにして造られてる「安倍道路」、額賀福志郎の地元の茨城県で、270億円もの血税をムダにして造られてる「額賀高速」を始め、こうした採算を度外視したムダな道路建設は、全国各地に数え切れないほどあるんだけど、これらは、それぞれの自民党議員たちの集票のためのバラマキでしかなかった。だから、今回、前原ちゃんのとこに陳情に来た和歌山県の知事が、ついウッカリと口を滑らせて「地元の土建屋のために」的なことを言っちゃったのも、これまでずっと続いて来た慣習が身に染みついちゃってるからだろう。
‥‥そんなワケで、道路が必要だから工事をするってのなら「道路のための工事」だけど、今まで自民党がやって来たことは、地元に公共工事を呼ぶための道路計画だったワケで、言うなれば「工事のための道路」や「工事のためのダム」だったってワケだ。だから、今回、和歌山県の知事の「地元の土建屋のために」的な陳情のセリフを聞いたあたしは、こんなとこで引き合いに出したら申し訳ないけど、八ッ場ダムを造れって言ってる地元の人の言葉がオーバーラップしちゃった。
八ッ場ダムを造れって言ってる地元の人たちって、あたしがこれまでに聞いた限りでは、誰1人として、「どうしてダムが必要なのか」ってことには具体的に触れないで、ただ単に感情的なことしか言ってない。確かに、半世紀にも渡って国に翻弄されて来た地元の人たちが感情的になるのは当然だけど、国民の7割が建設に反対してる上に、建設するなら、さら莫大な血税が使われることは明らかなんだから、感情論だけじゃなくて、「どうしてダムが必要なのか」ってことを具体的に述べなかったら、賛同は得られないと思う。
で、昨日だったかオトトイだったか、何かのニュースで八ッ場ダムのことをやってたから見てたら、記者から「どうしてそんなにダム建設にこだわるのか。豊かな自然を生かして、ダム以外のものを造るという代替え案ではだめなのか」って質問された地元のダム推進派の人は、こう言ったんだよね。
「ダムが完成したら遊覧船を浮かべて観光客を呼ぶ計画になってる。だからダムじゃないと困る」
あたしは、このセリフを聞いた瞬間、和歌山県の知事の陳情のセリフがオーバーラップしちゃったのだ。もちろん、このセリフを言った地元の人は本心からこう思ってるんだろうし、何も悪くない。悪いのは、もともとムリだった計画をゴリ押しして来た自民党なんだから、地元の人たちは完全に「被害者」だ。だけど、何のために莫大な血税をつぎ込んで、半世紀以上も前に計画されたダムなんかを今さら造るのか?‥‥って理由が、治水でも利水でもなくて、よりによって「遊覧船を浮かべるため」だなんて、あたしは全身が脱力しちゃったよ。
‥‥そんなワケで、八ッ場ダムの問題ってのは、今まで自民党議員の集票のために乱発されて来たムダな公共工事をなくして、税金がちゃんと国民のために使われるようにしようとしてる新政権と、それを阻止して、今まで通リに官僚や企業と癒着して甘い汁を吸い続けようとしてる旧政権との争いってワケだ。だから、新政権にしてみれば、八ッ場ダムの中止こそをムダな公共工事をなくすための旗印にしたいワケだし、国民のことよりも自分のことを優先して来た自民党系の守銭奴どもにしてみれば、願ってもない「政争の具」ってワケで、一番気の毒なのは、その間に挟まれてる地元の人たちだ。
前原ちゃんは、これまでに掛かった負担金は全額返還するって言ってるんだし、造りかけてる道路や鉄道はすべて完成させるって言ってるんだし、そうした道路や鉄道を生かした代替え案を話し合ってくって言ってるんだから、どうしてダムにこだわる必要があるんだろう?必要のないダムに固執して、これから先も何年間も苦しんでくよりも、1日も早く対話のテーブルについて建設的な話し合いをしてくほうが、確実に前向きだと思うんだけど。だけど、おいしすぎるダム利権を手放したくない自民党の残党どもが、この問題を「政争の具」なんかにした上に、地元の人たちまでを「打倒!民主党」の道具にしちゃってるもんだから、ぜんぜん話が進まないんだよね、実際は。
で、何も知らない人たちのために、フランク・ザッパに説明しとくと、この八ッ場ダムを造ろうとしてた「吾妻(あがつま)川」って川は、もともと「死の川」って呼ばれてた。上流域の山のほとんどが硫黄を含んだ地質なので、吾妻川は強酸性の水質で、お魚どころか、水棲昆虫の1匹も生息してない川だった。だから、この川を堰き止めてダムを造ったって、こんな水を飲料水にできるワケがなかった。だけど、何が何でもダムを造り、みんなでウハウハと儲けたかった自民党議員や天下りどもは、この虫1匹棲めなかった川に大量の石灰をぶち込んで、強酸性の水質を中和させて、それで飲料水にするっていうメチャクチャな計画を立てたのだ。
もうちょっと詳しく説明すると、八ッ場ダムの上流に、大量の石灰をぶち込んで中和させるための中和工場を造り、そこから発生する大量のヘドロを取り除くための小型のダムを造り、そして、初めて、この八ッ場ダムが「利水」としてのダムになるっていうバカ丸出しの計画を立てたのだ。仮に、これでホントに中和されたとしても、東京を始めとした1都5県が、半世紀前とは違って、ぜんぜん飲み水に困ってないのに、天文学的な血税をドブに捨ててまで、こんな飲料水を作る必要があるだろうか?さらに言えば、「遊覧船を浮かべるため」にダムを造るんなら、水質なんてどうでもいいんだから、中和工場や小型のダムは必要ないってことになる。
‥‥そんなワケで、あまりにも無意味な原始時代の計画、それが八ッ場ダムの計画ってワケだけど、このダムは、福田康夫のオヤジの福田赳夫が中心になって推し進めて来たことから、地元では通称「福田ダム」って呼ばれてる。そして、息子の福田康夫の時代になってから造られた道路は「福田八ッ場ダム道路」って呼ばれてる。そう、「二階バイパス」や「安倍道路」などと同様に、自民党議員どもが集票と献金のために続けて来た悪しき公共工事の代名詞、「その議員の名前」で呼ばれてるのだ。この事実だけを見ても、八ッ場ダムがまったく必要のない公共工事ってだけじゃなくて、この工事に投入される巨額の血税が、自民党議員と癒着してる天下りや土建屋に湯水のごとくバラマキされ、推進して来た議員たちにもキックバックされるっていう構図が見え見えだ。地元の人たちのことを考えたら、不必要なダムなんかじゃなくて、美しい渓谷の自然を生かした観光名所として開発したほうが遥かに有益なのに、ダム利権を手放したくない自民党の守銭奴どもによって、まだまだ地元の人たちは苦しめられてくと思う今日この頃なのだ。