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http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20091013/188094/?P=1
円高を招いた藤井財務大臣の発言 円高と株安が続いている。9月27日に為替が1ドル88円台まで急騰し、日経平均株価も1万円を割って以来、10月9日現在まで為替は1ドルは90円を割ったままだ。株価は10月9日にかろうじて1万円を回復したというレベルである。 わたしは政権交代があった直後に、「民主党政権では、短期的な景気回復は難しい」という記事を書いたが、残念ながらその予想が当たってしまった。 円高の直接のきっかけは、藤井財務大臣の発言だった。9月24日、ピッツバーグで行われた日米財務相会合において、「各国が通貨安競争をすることに私は反対だ」とガイトナー米財務長官に伝えたという。藤井大臣自らがその事実を明らかにしている。 さらに記者団に対して、「為替は市場で決まるものだ。よほどのことがない限り、政府が為替市場に介入すべきでない」と強調したものだから、ドル売り円買いの動きが強まった。その結果の円高ドル安である。 この藤井発言に対して、「失言」だと非難する人も多い。だが、私は別の見方をしている。藤井発言はけっして失言ではない。では何なのかといえば、藤井大臣は確信犯なのである。 藤井大臣が是認する日銀の金融引き締め政策 もう一つ、藤井大臣が前から主張していることがある。それは、金融政策は日銀の専管事項だから、財務省は口を出すべきではないということだ。これはちょっと聞くと当然のようだが、実はそうではない。 以前も書いたことがあるが、日本銀行法4条には次のように記されている。 「日本銀行は、その行う通貨及び金融の調節が経済政策の一環をなすものであることを踏まえ、それが政府の経済政策の基本方針と整合的なものとなるよう、常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」 特に、最後にある「常に政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らなければならない」という表現に注目していただきたい。 法律に書いてあるのだから、政府・財務省は日銀と政策調整をしなくてはならないのだ。日銀の専管事項どころか、政府・財務省は口出しをしなくてはいけないのである。それをしないということは、政府・財務省は日銀の政策を是認していることを意味している。 円高の進行は当然の帰結 例えば、中央銀行が自由にコントロールできる資金をマネタリーベースと呼ぶが、8月の対前年伸び率は、米国が102%増、欧州が30%増。それに対して日本はたったの6%増であった。 円の流通量が少ないのだから、円の価値が上がるのは当たり前だ。藤井発言を待つまでもなく、経済メカニズムからして円高は当然の帰結なのである。 円高が進めば、デフレも進む。現に8月の消費者物価指数は前年比2.4%マイナスとなり、過去最大の下落を記録した。 さらに、米国がゼロ金利政策を継続している見通しが高まるなか、日本は金利をつけている。だから、日本のほうが金利負担が重いわけだ。そのなかで財政再建をするという。海外から見れば、日本はとんでもない金融引き締めをしているのだ。 いったいなぜ、そのような無茶なことをするのか。はたして、これは藤井大臣の暴走なのだろうか。円高の進行は当然の帰結 例えば、中央銀行が自由にコントロールできる資金をマネタリーベースと呼ぶが、8月の対前年伸び率は、米国が102%増、欧州が30%増。それに対して日本はたったの6%増であった。 円の流通量が少ないのだから、円の価値が上がるのは当たり前だ。藤井発言を待つまでもなく、経済メカニズムからして円高は当然の帰結なのである。 円高が進めば、デフレも進む。現に8月の消費者物価指数は前年比2.4%マイナスとなり、過去最大の下落を記録した。 さらに、米国がゼロ金利政策を継続している見通しが高まるなか、日本は金利をつけている。だから、日本のほうが金利負担が重いわけだ。そのなかで財政再建をするという。海外から見れば、日本はとんでもない金融引き締めをしているのだ。 いったいなぜ、そのような無茶なことをするのか。はたして、これは藤井大臣の暴走なのだろうか。 円高もデフレも「生活者の視点」ならばいいことずくめ それを読み解くカギは、民主党がいう「生活者の視点」である。民主党の政策というのは、基本的に「生活者の視点」から作られている。これは、自民党の政策の基本である「企業の視点」と対照的なものだ。 では、いま起きている経済現象を、生活者の視点からのみ見ていくとどうなるのか。すると、決して悪いことばかりではないことがわかるだろう。例えば、デフレというのは、生活者にとって物価が安くなることであり、生活費が安くなるのだから歓迎だ。 円高にしても、輸入食品は安くなるというメリットを持っている。原油も穀物もブランドものも安くなり、海外旅行も安く行けてうれしい。 金利高も生活者の立場から見ればプラスである。それはそうだ。金融機関にお金を預けておけば利息がつくからだ。少なくともゼロ金利よりはマシである。 実は、財政再建も生活者にとっていいことである。なぜなら、財政赤字が減れば、消費税をはじめとする増税のリスクが減ってくるからだ。 そう、あくまでも生活者の視点だけを考えれば、藤井大臣は暴走しているどころか、その政策は限りなく適切なのだ。 企業を追い詰める円高進行と財政再建 円高が進めば、ただでさえリーマンショックでがたがたになっている輸出産業に、致命的な打撃を与えることになる。デフレが進めば、もちろんすべての企業の売り上げが減る。そして金利高は、企業にとっては支払利子の増加につながることになり、やはりマイナスだ。 財政再建については企業によりけりだが、少なくとも建設業のように財政支出に頼ってきた企業にとってはマイナスである。財政の絞り込みは、企業経営を追い詰める。 藤井大臣は、財務大臣に就任早々、麻生内閣が編成した補正予算のうち、未執行分に当たる3兆円から4兆円を執行停止にすると表明した。すでに2兆円の見直しができたといわれている。 もちろん、無駄遣いは徹底的に排除すべきである。そこまではいいのだが、絞り込んだカネをどこか別の所に回すとも言っていない。単に絞るだけ絞って、マイナスの財政支出効果を出そうしているのだ。それはすべて企業にしわ寄せがいくわけである。 「生活者」も企業がつぶれては生活できない 生活者の視点は結構だが、いったい民主党はどこまで分かっているのだろうか、ちょっと心配になってくる。生活者の大部分は企業の労働者でもあることを忘れてはいけない。発想のベースを生活者に切り換えるのは悪くないが、企業がつぶたら元も子もないではないか。 金融危機で、ただでさえ倒産する会社が増えているのに、さらなる倒産や廃業が続けば、その企業で働いていた従業員は失業してしまうのだ。 自民党のように企業の視点で政策をつくれなどという気は毛頭ないが、企業も生き残っていけるようにしないと、生活は成り立たない。生活者は企業で働く労働者でもあるということに民主党は早く気づくべきである。 |