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2009年 10月 15日
良書紹介 佐藤栄佐久 『知事抹殺』 国策捜査には国内型もある
知事抹殺―つくられた福島県汚職事件
佐藤 栄佐久 / 平凡社
そもそも談合に関しては、90年代の反談合キャンペーンの結果、以前に比べて相当やりにくくなっているわけで、その中で特捜部が「ノルマの達成」のために、政治家を立件するのだから、自然と無理な捜査になってしまう。収賄は「身分犯」なのに、検察は無理矢理に「身分無き共犯」という屁理屈を作っている。公務員の行為だけを罰するべきで、家族の行為まで公務員に対する処罰の対象にしたら、いくらでもたちの悪い政治家のどら息子を引っかけて政治的捜査が可能だ。実際、佐藤元知事の場合も、弟が社長を務めるファミリー企業の土地売買で佐藤知事を逮捕している。
背景には、原発県である福島県が経済産業省などの政府にしたがわなかったという政治的意図があるようだ。別にこの知事は反原発でもなかったのだが、県の立場を主張しただけで、引っかけられたようで、引っかけた検察官も実名で登場する。
私自身は企業の政治献金には賛成の立場である。政治にはお金が必要である。これは少し考えればわかること。企業献金を禁止するのではなく、限度額を決めたり、そのディスクロージャーの部分でしっかりさせていけばいい。別枠で外資の企業献金は禁止すればいい。ただ、細かいところでキャノンやソニーなどの取り扱いは難しくなると思う。
この点で、小沢一郎の「献金締め上げ」という政治改革はあとあと悪影響を残すので私は反対の意見である。小沢の意図としては、自民党の経団連系の資金源を絶とうという政治闘争の一環なのだろうけれども、小沢本人はともかく、若手・中堅の政治家には酷な内容。労組の献金は規制から除外したら、それこそ批判が起きる。公職選挙法も一掃厳しくするようで、選挙がやりづらくなるだろう。小沢はあと数年で死ぬだけだけど、あとの政治家がネット献金と個人献金だけでやっていかなければならない、アメリカのようなPACの抜け穴もない、となるとかなり厳しいことになると思う。
そもそも私は政治的な捜査が多い「特捜部」はそもそも解散した方がいいと考えている。ただ、特捜出身で佐藤の担当だった宗像紀夫弁護士なども、この事件の検察のやり方には相当憤っていたようである。検察改革を民主党は思い切ってやって貰いたい。検事個人の責任を追及できるような検察被害者救済制度の確立が求められるが、千葉法務大臣じゃ無理かな。
この本については重要なので書評として取り上げたいと思っています。
佐藤元知事はブログを始めたようです。
(引用開始)
「整合性」といった言葉を裁判長が発するたびに、私は検事を指差しつつ、苦笑せざるを得なかった。「君たちが作り上げたのだから当然だ」
調書に整合性があるのは当たり前だ。
検察がまずがっちりストーリーを作り上げ、それに当てはめるように調書は取られていったからだ。事実ではないストーリーに整合性を持たせるために、どれほど無理な取調べや、拷問に近い行為が行われていたか。その一端は法廷での証言にも、より象徴的には、一審の法廷で大きな破裂音とともに机を殴りつけ、裁判長の度肝を抜いた検事の行動にも明確に現れている。
http://eisaku-sato.jp/blg/
(引用終わり)
まったくその通り、調書に整合性があっても、それは逆に「怪しい」ことの証明にしかなりません。それに、取り調べした検事が裁判所の法廷に立たないというシステムには根本的な問題がある。取り調べした検事は一切責任をとらなくていいのだもの、いくらでもいい加減な調書やストーリーを書ける。取り調べ検事と公判検事は同一人物でなければ、駄目なのだがあまりそういう当たり前のことを言わないように思う。裁判員制度の堅持だけを同一のものとしていくらしいが、全ての裁判でそうしなければ駄目じゃないかと思う。いい加減な裁判をしたら、法廷で刺されるくらいの緊張感をもってやってもらわないと。
ちょうど、控訴審の判決が昨日出たようで、そのことも佐藤ブログでは触れられています。
●関連投稿
どうした!東京地検特捜部―郷原信郎(Japan Business)
http://www.asyura2.com/09/senkyo73/msg/329.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2009 年 10 月 14 日