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【神州の泉―高橋博彦】
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2009/10/post-bdc8.html
2009年10月14日 (水)
中川昭一さんの死去とエクソン・フロリオ条項
中川昭一前財務相兼金融担当相は、今年の2月14日、ローマで開かれた先進7カ国(G7)後の記者会見の際、呂律の回らない話し方をした映像が世界中に配信された。米ABCテレビのサイトは「15時間のフライトはきついものだが、お国のトヨタや日産が何万人も削減している時に居眠りしている場合か」と、相当激しい調子で非難したようだ。これに呼応して国内メディアもいっせいに中川氏をバッシングした。
管理人は例の酩酊会見は、薬物投入によって嵌められた可能性が高いと思っている。同行していた連中が仲川氏の変調を察知して、公的会見を止めない方が不自然である。国内メディアは自国の国際的位置を減じる酩酊映像を執拗に繰り返して報道した。これは植草事件の異常な初期報道に似ていて、まるで中川氏の失脚を狙ってやったようにしか思えない。
特にひどいものは、大阪・よみうりテレビ製作の討論番組、「たかじんのそこまで言って委員会」2009年3月1日放送における、辛坊治郎氏発言である。読者のJAXVNさんのコメントから引用するが、この番組のMCである辛坊治郎氏は下記のように言ったそうである。
「お父さんも自殺されてるし、ああいうこと(「酩酊」会見など)を
何回も何回もTVで放送すると、本人は自殺の恐れがあるから、
もうこの辺で止めといてやろうやないかという話になるじゃないですか。
とんでもない話だと思います。あんなものはね××××(放送自粛音)と
思いますよ。あんだけ国際社会に恥かいてね、オメオメねぇ
オメオメ有権者の前にもういっぺん出るなと!
もう二度と再びたぶん出られないと思いますよ
出てきたら必ずあのVTR(「酩酊」会見など)を流しますから
その意味では世の中にはやってはいけない事があるんだって」
これは放送人の一意見と言うよりも、人間の尊厳を冒涜した許しがたい発言である。辛坊氏の人間性を疑わざるを得ない。仮に酩酊会見に謀略の匂いがなかった場合でも、世界中に知れ渡り、国内でも異常な回数を放映され、すでに充分すぎるという形容を超えるほどバッシングされている人間を、輪をかけてここまで罵るのは、報道公器に携わる人間の所業を超えている。極悪すぎるのだ。管理人は植草事件の初期報道を思い出した。
水に落ちた犬をこれでもかと、陸から際限なく叩き続ける行為は、報道の暴力そのものであり、実に悪質である。ここで冷静に眺めると、中川酩酊事件には、植草事件と同質の巨大な悪意が働いていることを強く感じ取る。小泉内閣では経済産業大臣、麻生内閣では財務大臣を務めた彼は、一見、売国構造改革派のように見えるが、管理人は彼は自民党内部でも数少ない愛国派議員だと確信していた。その理由はいろいろあるが、今回は経済に限って彼の態度を推測できることを言う。
郵政民営化でも、小泉・竹中構造改革でも、決定的なことは甚大な国益毀損を前提としていることだ。端的に言えば売国法案の制度設計と実行である。この趨勢にある政権与党に属していたことは、中川氏の不幸の根底にあるが、彼は腹の底では、国益保護の観点から小泉構造改革に反対していたことは間違いない。その理由は自民党議員で唯一、彼だけが米国のエクソン・フロリオ条項に言及しているからだ。
日本版エクソン・フロリオ条項に言及する議員は愛国派である。なぜなら、これは「閉ざされた言語空間」に斬り込んで、国防的概念を持つからだ。管理人の知る限り、与野党問わず、国会でエクソン・フロリオ条項に言及した大臣は中川昭一氏のみである。彼は2004年5月26日の第37回総合科学技術会議議事(議長は小泉純一郎)の中で、特許や知的財産関連でエクソン・フロリオ条項に言及しているのだ。
http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/giji/giji-si37.htm
この会議が開かれた日付に留意して欲しい。これは竹中平蔵氏が郵政民営化準備室を発足してから、わずか一ヶ月後の時期である。この時期に中川氏が和製エクソン・フロリオ条項の可能性に言及していること自体、彼が郵政民営化に国防意識があったことは明らかである。会議では知財関連に矮小化しているが、本音は日本を米国から防衛する気持が強かったことは明白である。推測だが、郵政民営化に対し、彼がこれを公言できなかった理由は、同じ意志を持つ仲間が少なすぎて、命の危険を感じたからだろう。
それでも中川氏が凄いことは、内閣が本格的に郵政民営化に始動し始めてから、禁忌であったエクソン・フロリオ条項に言及していることにある。知らない人のために、この条項の概略を記しておく。
米国のエクソンフロリオ条項は、米国内直接投資(FDI)を規制することではなく、海外からの投資内容を精査し、米国市場を可能な限り公開するという、いわばオープンエコノミーの思想の一貫であるが、その投資内容が米国の安全に関わると大統領が判断した場合、エクソン・フロリオ条項が適用されてFDIが規制される。1988年に発効され、1991年に恒久法化されている。
日本版エクソン・フロリオ条項は、敵対的M&Aを防衛することや、優良企業の高度な技術が国外に流出した際、それが軍事技術に転用される危険などを防止する目的で設置されなければならない。2005年、我が国で郵政民営化関連法案が制定された時、郵貯と簡保にストックされる340兆円の膨大な郵政資金が、敵対的M&Aに晒されることに、どのような防衛手段があるか、小泉政権はいっさい議論をさせなかったどころか、その萌芽を神経質に摘み取っている。
これは郵政事業民営化の本当の目的が郵政米営化であり、日本資産の収奪にあったからである。郵政民営化はアメリカの意を汲んだ竹中平蔵氏が制度設計した売国法案だったのである。
中川昭一氏は米国権力筋(国際金融資本を牛耳る総本山=奥の院)に謀殺された可能性が高いと管理人は思っている。日本は、ほんとうに立派な人を失った。心ある読者さんは是非下記サイトを参照していただきたい。
http://blogs.yahoo.co.jp/hisa_yamamot/archive/2009/10/05