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【日本の「食」を守れ】コメ編(1)
鳩山由紀夫政権で、減反の見直しが現実のものになってきた。コメの価格維持を目的に国が指導してきた減反政策が選択制になれば、大切な水田を休耕させたり、補助金をもらって加工米や大豆を作っている農家も、主食米を生産できるようになる。ただ、生産調整の枠がはずれれば、コメの価格は値下がりする。差別化や販路開拓で競争力を確保するコメ生産の取り組みや、生産増に何よりも欠かせない、コメの消費拡大の動きを紹介する。
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記事本文の続き 「新政権になり、農協をバックに農業政策を動かしてきた自民党農林族の力も弱まるだろう」。農水省の改革派や若手官僚は、補助金行政にしばられない、前向きな政策運営への期待を口にする。
これまで、高齢化で衰退する国内農業の再構築や競争力強化を目指しても、省内で、「コメの減反政策の見直し」を公言するのははばかられる雰囲気があった。それほど、農林族議員の存在は大きかった。新政権下では、支持母体の農協とともに、その影響力は確実に低下するとみられている。
減反政策はコメの価格を維持し、農家の保護にはつながってきたが、その分、日本の消費者は主食のコメを高い値段で買わされ、税金を負担してきた。最も大きな副作用は、休耕地を急増させ、農業の新たな担い手不足をもたらし、「このままでは日本の農業は10年持たない」(農水省幹部)という危機的状況に陥らせたことだ。
鳩山政権下で、農林水産省は10月1日、赤松広隆農水相を本部長とする農家の戸別所得補償制度の推進本部を立ち上げた。制度は、減反を選択せずにコメを作った場合でも、販売価格が生産コストを下回った差額を政府が直接支払うもので、同政権の主要政策の一つだ。
この政策導入によって、米価を維持するために約40年もの間行われてきた生産調整、いわゆる減反政策にメスが入る。
◇
関東平野のほぼ中心にあり、筑波山を望む茨城県坂東市の農業生産法人「アグリ山崎」は、自前の土地は約4ヘクタールだが、高齢化が進む周辺農家からの委託生産なども含め、約50ヘクタールの水田を持つ。
農業競争力の強化につながる大規模生産の理想的な形に見えるが、約4割の土地は減反の対象で麦や大豆を作らざるを得ない状況で、「本当はもっと規模のメリットを追求できるはず」と嘆く。減反制度が競争力をそぐ弊害が顕著に表れている。
「減反面積を毎年20万ヘクタールずつ減らしていけば、5年後にコメの値段は今の5キロ=1167円から750円に下がる。そうなれば輸出競争力がつき、200万トンを中国やアジアに輸出、国内消費もパンとうどんから100万トンがコメにシフトする」
農水省出身で、減反廃止を訴えている経済産業研究所の山下一仁(かずひと)上席研究員は、専業農家に所得補償し、100万ヘクタールの減反を廃止した場合の日本の農業の再生シナリオをこう描く。減反廃止で大規模生産が進み、価格競争力がつき、海外需要が開拓できるという青写真だ。
実は、自民党の麻生政権下の石破茂前農水相は、鳩山政権発足を間近に控え、減反見直しの石破プランを公表した。減反廃止は、供給過剰によるコメの暴落を招き、農家の手取りが一時的に約半分まで減るため、減反を緩和にとどめ、既存の補助金と価格下落分の補填(ほてん)を並行させる案だ。
民主党の所得補償と似た制度で、農業関係者からは、「皮肉だが、民主党政権で石破プランが実現するかもしれない」との声も上がる。
◇
減反政策を徹底させる立場の農協にも、保護農政に頼らずに生き残ろうとする動きはある。
「農家にコメを作ってもらい、所得を上げていくのが自分の仕事なのに、一体何をやっているのか」。稲穂の揺れる景色が消えるたびに、「JA秋田おばこ」(秋田県大仙市)の米穀課課長、加藤孝明さんはため息をついてきた。
秋田県東部の奥羽山脈のすそ野に、黄金色に輝く田園風景が広がる。昔の風景と違い、減反政策のあおりで、ところどころ大豆畑などが交じっている。農協が行ってきた転作の推奨で、昨年は減反枠が耕作地全体の3分の1を超えた。
大豆への転作が増えて、新たな設備投資が必要になり、結局、減反のために農家に追加負担を強いるのに疑問を感じた。
そこで、減反の対象外に指定されている輸出に目をつけた。これなら補助金はもらえないが、減反を守りながら、正々堂々と主食のコメを作れる。加藤さんは、自ら旗振り役を買って出た。
コメの卸業者「神明」(神戸市)と手を組み、2008年度は、4軒の農家のあきたこまち43トンをオーストラリアと香港、台湾に初めて輸出した。この成功を農家に伝えると、「大豆よりもコメを作りたい」という問い合わせが殺到した。
市場開拓もまだ途中なので、加工米と同じ、主食米の4割程度の価格でしか販売できないが、それでも今年は、約100軒の農家が、輸出米作りに手を挙げた。大西茂雄さん(63)は「大豆や、冷凍食品などにしか回らない加工米を作るのとは違う。海外で自分の育てた米を食べてくれる人がいるのはうれしい」と話す。
「主食のコメづくりを続けたい」という気持ちが、農家を輸出に駆り立てる。今年は、日本食ブームのフランスなどからの受注も取り込み、「あきたこまち」の新米など、昨年の約7.2倍の311トンの輸出を計画する。
日本のコメ輸出量は20年実績で1294トンだった。一つの農協で300トン以上の輸出は快挙に近い。減反の見直しは、攻めの農業の武器になる。同時に、食糧不足などの有事の際に国内向けの食糧として振り向けられる「生産、備蓄、輸出という食糧安全保障の柱になる」。東京大学の生源寺真一農学部長はそう評価する。
これからは、自分の意思で自由にコメを作れる時代が来るのかもしれない。ただ、秋田おばこと同様の取り組みをしながら、採算が取れず、ひっそりとその活動を終えた地域もある。制度設計はまだだが、戸別補償制度にも限度がある。日本の生産者は、ブランドや価格といった競争原理の中で、生き残れるコメづくりを模索しなければいけなくなる。
■減反と戸別所得補償制度 減反はコメ価格の維持を目的に、補助金で麦や大豆、飼料米などへの転作を支援する制度。1971年の本格実施以来、38年間続けられてきた。2008年産は水田面積約239万ヘクタールのうち、約4割が減反の対象になっている。ただ、農水省のアンケート調査では、農業者の59%が見直しを望んでおり、鳩山政権は減反緩和に伴い、農家の所得を補償する戸別所得補償制度を11年度から本格導入する方針だ。コメなどの販売価格が生産費(コスト)を下回る場合、農家に対してその差額を政府が直接支払う仕組みで、大規模化など効率生産を進めれば、補償額を上乗せする方向だ。
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