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http://www.murc.jp/nakatani/column/2009/09/20090903.html
「国力」と「国民の気概」
2009.09.03
三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長 中谷巌
民主党政権が誕生し、日本は歴史的な大転換点を迎えた。民主党政権がどのような国のかじ取りをするのか、しばらく様子を見るしかないが、ぜひやってもらいたいのは歴史的な視点から日本の「国力」を再認識し、傷んだ「国力」を立て直す作業に本格的に着手してほしいということである。単なるばらまき政策では「国力」の回復は望めない。
しからば「国力」とは何か。言うまでもなく、それは「軍事力」「経済力」「政治力」「文化力」などの総合力であろう。しかし、もはや日本が「軍事力」で国力を増強するという選択肢はあり得ないし、そんな時代でもない。となると、残りの「経済力」「政治力」「文化力」で勝負をするということになるが、しかし、そこに行く前に、より根源的に「国力」について考える必要があるのではないか。
「国力の源泉」とは何か。おそらくそれは「国民の求心力」、「国民の気概」なのではないだろうか。日本の国力は、明治維新以来、日露戦争勝利までの四十年間に飛躍的に高まった。西洋に追いつこうという「国民の気概」が高揚し、それが日本を明治維新以来たった四十年で五大先進国の一角を占める国に押し上げた。
しかし、次の四十年は破滅への道を辿る。軍部の独走、マスコミの偏向、若手将校によるテロの恐怖。これらが良識ある人々を黙らせ、負けることが分かっていた対米戦争に突入した。「やましき沈黙」が日本を破滅に導いた。
第二次大戦敗戦のあと、日本は再び猛烈な「気概」を持って前進し始めた。経済的に欧米に追い付くことが目標になり、国民の求心力はいやが応にも高まった。それが巨大なエネルギーとなって日本は世界ナンバー2の経済大国にのし上がった。この勢いは「プラザ合意」の1985年までの四十年間続いたのであった。「プラザ合意」の後は、再び日本は低迷し始め、今日に至る。
「国民の気概」が高揚する四十年間は国力が増進し、次の四十年間は停滞し、歴史的失敗を犯す。この「四十年周期説」が当たっているということなのだろうか。そして、「四十年周期説」に従えば、2025年頃まで、日本は坂道を転げ落ち続けることになる。
今我々が抱えている問題は、この二十年ほどの期間、構造改革の名の下に進められたアメリカ流新自由主義の浸透で、市場調節という名の「切り捨て」が日常化し、日本を支えてきた「平等社会」「安心・安全社会」が崩れ、日本社会が明確に「階層化」し始めたことである。社会が「階層化」し始めると何が起こるか。それは社会の分断、国民的な規模での「求心力の低下」である。日本社会が劣化し、企業の現場ではかつてのような活気が消え、競争力の源泉であった「現場力」が落ちてきている。
「国力」というと軍事力のことだと考えてしまいがちだが、「国力」の根本には社会の健全性が不可欠なのである。日本が国力を伸ばしたときにはいつも「国民の気概」が重要な役割を果たした。いま、社会の健全性が損なわれ、「国民の気概」が損なわれてきている。これこそ日本が抱えている根本問題の一つなのであって、これを修復することこそ日本の国力を強化するための決め手になる。日本の政治がその方向に舵を切り替えられるかどうか。政権が代わって、いよいよ日本は正念場を迎えたのではないか。
中谷巌
「三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社のホームページから引用」
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しかし、40年周期といっても、明治維新以降の話。だから、40年周期というのは、あまりあてにはならないと思う。実際、中谷さんもあまり確信はなさそうだ。
問題は、社会の健全性、国民の気概という点ですね。どちらにしても、アメリカが推し進めるインターネットを使った詐欺、マインドコントロールをどうにかしない限り、日本を含めた世界の国々に未来はない。
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