松平定信の歴史評価は概ね肯定的で、ホンマかいなという寛政の改革の評価は本稿の趣旨ではありませんが幾つか感想を述べ、彼の治世に沿って今日の政治情況について感想意見を書きます。

　家康が天下を取って187年経った1787年、すでに武士階級という存在自体が社会の重荷、負担となった徳川幕藩体制を立て直すべくリリーフエースとして筆頭老中の地位に就いた定信、若干28歳。市場経済システムを急激に取り入れようとしてカイカクを急いだ田沼意次を排除して幕政改革に乗り出しました。寛政の改革が始まります。

　この時代の為政者はある種不運というか、多分誰がやっても上手く行かないだろうという時代背景を背負っていた。18世紀に入るとすぐ1703年の元禄関東地震(M8.1)に見舞われ、1707年にはM8.4~8.7の宝永地震が起き、続いて富士山大噴火(宝永火山が出来る)、たびたび大飢饉に襲われます。1732年享保飢饉、そして田沼失脚のきっかけとなった1783年浅間山、岩木山大噴火、天明の大飢饉が始まります。食うや食わずの農民、町人、都市のルンプロたちは全国各地で一揆、打ちこわしと物情騒然の状況下での就任です。

　この人、田沼に疎まれ白河に跳ばされた時に起きた天明飢饉に藩内住民に一人の餓死者を出さなかった事が抜擢理由といわれていますが、元々貧乏藩の白河藩、収奪の仕様もないほど疲弊した農民から絞れなかった、というのが本当の事ではないかと思います。白河名産のそばが今も有名です。武士の取り分は彼の吉宗の孫という権威と権力で江戸大阪の商人たちから米を購入してしのいでいきました。結果は米価の高騰を招くという自己中心。とにかく人々は田沼の腐敗賄賂政治、勃興する商人優遇政治にうんざりしていた事が、この若造政治家の登場を促しました。幕僚たちはとにかく事態収拾に徳川吉宗の孫を引っ張り出したというところでしょう。安倍、福田、麻生を引っ張り出し失敗した自民党そっくりジャン。鳩山首相もそう言われない様に気つけてくださいね。

　さて、寛政の改革。上から下まで倹約節約です。次第に発展してきた商品経済、軽工業、貨幣経済を極端に憎み、お金が農民に渡ることを徹底して排除しようとしました。とにかく土地に縛り付けておくというおバカな政策はすぐに破綻します。武士階級は借金漬け、とうとう棄損令という借金棒引き命令を出して、彼らを救済します。でも生活できないのでまた札差から借金を繰り返す。こんなことが長続きするはずも無く在任7年で辞職する。

　この朱子学教条主義者(士農工商というヒエラルヒーを守れ！)は、激動を開始した国際情勢を理解せず(林子平弾圧事件)、発達始めた商業資本主義を贅沢禁止令などで弾圧し、所謂町人文化を憎み（洒落本禁止）、疲弊した農村から流入する棄民を人足寄場を作り縛り付ける、あくまで治安対策優先。彼が老中を辞めてから75年後に徳川幕府は瓦解する。
　歴史のお勉強はこれでお仕舞い。

　自民党はなぜ選挙で負けたのか未だに分かっていません。おそらく来年の参議院選挙敗北後に空中分解します。理由は簡単。国民を貧乏にしてしまったこと、国に膨大な借金を残したこと。以上。自民党からの政権交代は20年掛かりました。民主党もどうもよく理解出来ていない節があります、失敗すれば…。

　小泉竹中政権が進めた政策は「郵政改革」と｢三位一体改革｣と自分で言った中央政府の財政破綻を地方に押し付ける政策が柱でした。歴代自民党政治が田沼政治だとすれば、小泉政治は松平定信型と思います。民主党政治が同じく定信政治にならないことを願います。

　私の尊敬する政治家、亀井静香大臣、郵便つまり国民の資産をアメリカに売り渡そうとする勢力と孤軍奮闘闘っています。困窮する中小零細業者救済の為の法案提出を進めています。わずか3年の執行猶予をやれ徳政令だ、モラトリアムだと騒いでいるマスゴミの高給取りの皆さん、よく彼の意見を聞いてから批判なさってください。国民新党はマニフェストで200兆円の財政支出でこの苦境の脱出を呼びかけました。残念なことに余りマスコミにも取り上げられず、選挙ではよい結果は出せませんでした。でも鳩山内閣は亀井さんを重要閣僚に選び、どうしようもない経済再建のための戦士を励ましました。彼をくびにしたらこの政権は終わります。補正から3兆円の捻出の努力は認めますが、当面の焦眉の課題は景気回復による雇用、生活再建です。手段を目的化してはいけません。

　子供手当てはいけません。安心して生める環境作り、産婦人科の先生を増やすこと、専門病院を増やすこと。出産を迎えた妊婦が救急車内で苦痛を訴える時間を短縮すること。せめて2歳になるまで母子が一緒に過ごせる経済的保障を与えること。産休育休で帰ってきた母親の現職復帰を完全に保障すること。希望者全員が入れる託児所、保育園を保障すること。それでも子育てが経済的に困難な家庭に初めて子供手当てを支給すること。民主党の皆さん。全員支給に拘っておられるようですがこれは間違いです。改めてください。財源を捻出しようとすれば、どこかにしわ寄せが来ます。

　同様に高校生の授業料の無料化はもう少し考えてから国民へ提案してください。つまり高校の義務教育化です。これは教育問題です。しかし立案者の頭には推測ですが少子化対策が見え隠れしています。教育問題は一杯課題があります、各論を全て出して頂き、その上でのひとつの提案として提起願いたい。

　8・30の結果と鳩山連立政権の成立は国民の皆さんの概ねの支持をもらっています。今後公約を詳細に肉付けして具体策をまとめ一日も早く臨時国会を開いていただきたい。

白河の清きに魚のすみかねてもとの濁りの田沼こいしき
こんな狂歌が詠まれないように
　

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