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アメリカの財政赤字も、クリントン政権時代に高額所得者への課税強化により黒字化した。だから、日本も、やるべきことは高額所得者への課税強化しかないのはほぼ明白な事実。
しかし、民主党政権下の税調にその提案は鳩山由紀夫総理からされてはいない様子だ。また、マスコミの論調も、以下のように、高額所得者への課税強化に触れていない。
日本の代表的な高額所得者にいわゆるものつくりをしている人たちはまずいない。多くが土地や株式の取引、および金融関係者だ。ものつくりをしている会社では、日産のゴーン社長やソニーのストリンガー社長が有名だが、彼らは、日本人取締りの数倍の給与を受けているとされている。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20091008-OYT1T01198.htm
新政府税調 減税先行では財政がもたない(10月9日付・読売社説)
鳩山内閣の「政府・与党一元化」を象徴する組織が動き出した。自公政権時代の与党税調と政府税調を一体化した新政府税制調査会が、来年度改正の議論を始めた。
鳩山首相の指示通り、財政赤字を拡大させずに予算を編成するには、裏付けとなる税収を十分に手当てする必要がある。早急に本格的な議論に入り、財源確保の道筋を示さなければならない。
新税調の初会合で首相は、来年度改正の主要項目に加え、法人税、環境税、酒税・たばこ税、納税者番号制度など7項目について審議するよう諮問した。
いずれも税制の根幹にかかわる大きな改革だが、焦点となるのは個人所得課税の見直しだ。特に「給付つき税額控除」の検討を求めた点が注目されよう。
給付つき税額控除は、納税額が少なく、減税(税額控除)の恩恵が十分に及ばない低所得者に現金を給付し、収入を補う制度だ。欧米では幅広く導入され、自公政権も前向きに検討していた。
うまく制度設計ができれば、格差是正に役立とう。だが、公平に給付するには個人の所得を正確に把握する仕組みが不可欠だ。このため、納税者番号制度の導入が前提となる。
現在の失業手当や生活保護と、どう役割を分担するかも課題だ。最大4兆円とされる財源確保も容易ではない。腰を据えた議論が必要だろう。
来年度改正では、ガソリン税などの暫定税率の廃止、特定産業への「隠れ補助金」とされる租税特別措置の見直し、中小企業の法人税の軽減などが議題となる。
新税調は「特定業界への優遇税制は排する」として、300項目の租税特別措置を大幅に減らし、1兆円超の財源を捻出(ねんしゅつ)する方針だ。一定の見直しは必要だが、税制上の支援が要る業界もある。個別に十分精査してほしい。
一方で、暫定税率の廃止により2・5兆円もの税収を手放すのは理解できない。危機的な国の財政事情を考えれば、廃止を撤回すべきである。
子ども手当の財源となる配偶者控除、扶養控除の廃止についても具体的に検討してほしい。増税を先送りし減税策を並べるのでは、ポピュリズムの典型だろう。
首相の諮問には消費税率の引き上げは含まれていないが、新税調の幹部は「税制抜本改革の具体策づくりの中で、当然議論することになる」としている。逃げずに真正面から取り組むべきだ。
(2009年10月9日00時49分 読売新聞)
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