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http://www.magazine9.jp/okadome/091007/
民主党を中心とした政権交代が実現して、日本の政治が大きく変わる様子がはっきりと目に見える形で表れて来た。まさに、日本の近代化以降、初めての「政治革命」である。これまでの自民党政権と霞ヶ関の二人三脚による政治・行政は一体何だったんだろうと思わずにはいられない。国民にとっては壮大な時間の無駄だったという思いも強いが、いまさらそれをいっても詮無い話だ。問題は、この新政権が今後国民のための政治をどこまで実現してくれるのかだろう。新大臣に就任した前原国土交通大臣は、八ッ場ダム、川辺川ダムの視察をやった後、あらためて建設中止を英断した。沖縄にも足を伸ばし、泡瀬干潟埋め立てに対する一区工事中断、二区工事中止に続いて、普天間基地の県外・国外移設という沖縄の基地負担軽減をあらためて示唆した。マニフェストにそった明快なリーダーシップである。 この人物が、防衛・外務大臣にでもなれば、米国寄りのタカ派路線を打ち出したかもしれない。その意味では、鉄道マニアでもある前原氏の国交省大臣は適職といえるのではないか。さらに新政権は、麻生前総理が打ち出した補正予算の3兆円削減、これまでの概算要求で示された予算の全面的組み替え、公務員の独立行政法人への天下り禁止、緊急雇用政策などの方針を次々と打ち出している。死刑廃止論の千葉法相も夫婦別姓を法案として提起する意向を打ち出した。脱冤罪のための取調べの全面可視化も時間の問題だろう。 今までの野党や市民運動、文化人らが執拗に要求してきたことが、政権交代で一挙に実現の可能性が出てきた。まさに、政権交代は、民主主義による合法革命でもあるという証明でもある。その影響は、沖縄においても顕著だ。沖縄に米軍基地が置かれていることで、全国でも特異な地域として存在してきた。戦時中は国内唯一の地上戦を強いられ、軍民20万人の犠牲者を出した。戦後は米軍の統治下におかれ、本土復帰後も在日米軍基地の75パーセントを押し付けられてきた。核の持込も事前協議の対象からはずされたことで、沖縄に核の貯蔵庫が存在していたというのも今や公然の秘密といっていい。岡田外相は、これまでの外務省の密約の存在を調査して公表する方針を打ち出している。日本政府の沖縄に対するこれまでのヤリクチに対する見返りとして、巨額の公的資金が投入されてきたのも事実である。振興金、補助金、ありとあらゆるものが、特例措置で沖縄へ投下されてきた。その結果、沖縄は一体どうなったのか。 最近、沖縄に関する内幕を書いた二冊の本が出た。一冊は「幻想の島・沖縄」(日本経済新聞出版社)、もう一冊は「沖縄幻想」(洋泉社)である。前者は日本経済新聞那覇支局長を務めた大久保潤氏。後者は「ナツコ 沖縄密貿易の女王」(文藝春秋)で大宅賞を受賞した奥野修司氏。こうした本が伝えているのは、沖縄に対して巨額の国費が投じられたとしても、政治家の利権の温床でおいしいところは本土のゼネコンが持ち帰り、沖縄の経済自立にはほとんど繋がっていないということだ。そればかりか、公共事業の多くが観光で生きるしかない沖縄の綺麗な海を汚す役回りしか演じてこなかったことが明確に指摘されている。 結論的に言えば、沖縄は米軍基地を押し付けられたことで、国による相応の金銭的支援は受けたものの、経済も人心もガタガタにされたのである。そこに、奇跡とも言える政権交代が実現した。これまでの沖縄への土建政治誘導の元凶だった自民党衆議院議員は一人もいなくなり、代わりに日米地位協定の抜本的改革、普天間基地の県外・国外移転を主張する民主・社民党・国民新党の連立政権が誕生した。鳩山総理は沖縄政策の大転換を提起しつつ、外交には相手があることなのでオバマ米国大統領との信頼関係を築きつつ、対等で信頼のある日米関係を目指していくと宣言している。むろん、まだまだ先行き不透明な部分があることは間違いないが、外交密約も対米追従も当然の論理として何もやってこなかった外務省よりも10倍マシではないか。亜熱帯の美しい島々から成り立つ沖縄がようやく動き始めた。基地のない平和の島、そんな時代へのスタートラインにようやく立ことができた。移住者の筆者としてもうれしい限りである。 |
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