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2009/9/29 10:00
http://netallica.yahoo.co.jp/news/94604
「八ツ場ダム」中止騒動はエスカレートの一途だ。現地視察した前原国交相に、群馬県長野原町など水没する5地区住民が反発し、「ダムを造れ」という声が連日、大マスコミを通じて流れている。「建設を白紙にするのはやめて欲しい」とか、「ようやく家を移したのに、政権が代わったからといって、今になって建設中止はおかしい」とか、旅館経営者から地元のおばちゃんまでダム建設推進一色だ。この地区の住民は長年、ダム建設反対だった。それが、手のひらを返した推進一色は、部外者には奇異に映る。何が隠されているのか。
●道路建設や地元対策で、すでに3200億円の税金を投下
群馬は総理大臣を4人も出した保守王国だし、長野原町には古くから地元のドンもいる。テレビに出て、ダム中止に怒りをあらわにする住民は、「群馬を牛耳ってきた自民党の関係筋ばかり」(事情通)だという。そうでない地元民は、「おかしいと思っても口に出せない。あからさまにダム建設の中止を訴えれば、あとで何をされるか分からない」と語る。しっぺ返しを恐れているから、反対の声が聞こえてこないわけだ。ダム中止反対は、いわば「つくられた民意」(前出の事情通)というから変な話だ。
もうひとつ、彼らを“推進派”に押しやっているのが「補償金」だ。これまでほとんど報じられていないが、この問題が地元民を縛っている。
「補償金問題は表に出ず、ブラックボックスになっているのが現実です」
こう指摘するのは、「八ッ場ダム・足で歩いた現地ルポ」の著者で、ジャーナリストの鈴木郁子氏だ。水没する世帯や田畑の所有者に対する具体的な説得は1980年代から始まった。しかし、ハッキリしないことばかりだ。
「立ち退きのための補償金については個々の家の資産によってマチマチで、どこも言いたがりませんし、情報公開を取っても非開示なのです」(前出の鈴木郁子氏)
日刊ゲンダイ本紙の取材では最高の家で10億円近いが、確たる話ではない。自公政権時代の国交省は地元説明会でさえ、下流都県から契約済みの家に支払われる感謝のお金に関する資料は配布しなかったという。一説には1戸当たり800万円くらいとされていたようだが、よほど公表したくない金額なのかと勘ぐられても仕方ない。
移転を決意した人にとって、こうした補償制度が見直されたり、元に戻ることが怖い。それで「ダム建設を計画通りに進めてほしい」の合唱になるわけだ。すでにダム建設予定地周辺には、道路建設費も含めて3217億円の税金が投じられている。ダム本体建設にはさらに1400億円が予定され、そういった工事をアテにしている地元民も多い。地元観光協会や旅館関係者はダム完成後の新しい観光地に期待している。ここで中止は死活問題というのもうなずける。
しかし、民主党は生活再建を支援するための特別措置法を準備し、何も過去の補償金を召し上げるつもりもない。国が買い上げた田畑をもう一度借りて農業を続ける方法だってある。
世間は水没住民に同情する人ばかりではない。騒動拡大以来、長野原町の役場には全国から「ダム建設中止は当然だ」「地元だけの損得で反対するな」という抗議の電話が殺到している。
政権交代の意味を深く考えない民放テレビのワイドショーや大新聞は「地元民がかわいそう」の論調でやっているが、この調子だと「地元エゴじゃないか」の大反発を食らいかねない情勢だ。
(日刊ゲンダイ2009年9月26日掲載)
2009/9/29 10:00 更新
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