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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu200.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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東北、北海道、九州まで、農水族がたくさんいるところほど、
自民党=農協がわーっと崩れて、今度は小沢一郎支持に回った。
2009年9月24日 木曜日
◆2009年の総選挙を振り返って(1) 9月4日 参加者:副島隆彦、古村治彦、日野貴之、中田安彦
http://www.snsi-j.jp/boyaki/diary.cgi
古村 今回、このようにランドスライド(地滑り的勝利)で、民主党が勝ったわけですけれども、自民党で通った人たちの顔ぶれと、民主党を見ますと、「ばらまき」というのが一つキーワードになるのかなと思っています。
中田 ばらまき。予算をばらまくということですね。
古村 そうですね。僕が思うに、自民党型のばらまきのやり方が終わって、「民主党型のばらまき」の方法、「ばらまき」という表現が悪ければ、再分配、がこれから実行されていくんだろうと思っています。
自民党のばらまきというのは、基本的に政治学的にいうと、ジャパニックモデルですね。俗に「鉄の三角形」(アイアン・トライアングル)と言われるように、政と官と業界、経団連とか、農協とか、医師会とかの利益団体が結びついていた。
それで、これまでやってきました。地方への所得の再分配として、ばらまいていたわけです。しかし、この大不況では、このトリクルダウンがうまくいかなくなった。トリクルダウンとは「しずくが下にしたたり落ちる」という意味です。まず、これまでのやり方ですと、公共工事などでまず財界やゼネコンに予算を回して、そのおこぼれを一般大衆に行き渡らせていました。しかし、その政策がうまくいかなくなった。
下に行かなくて人々の生活が疲弊しているので、民主党は、間に入れないで直接皆さんに上げますということになったわけです。自民党のやり方とは違いますね。日本研究者である、ケント・カルダーの議論でもありましたけれども……
中田 ちょっとそこは難しいですね。要するに、今の話をまとめると、自民党政権のときは、政・官・業ということでトライアングルができていていた、と。
古村 そうですね。そのおこぼれが下に行っていて。
中田 自民党は、公共事業とか公共工事を通して予算を地方に配分していた。
古村 そうですね。
中田 それが今回、不況ということもあり、確かに公共事業をばらまきましたけれども、それ以前に、地元の経済界が疲弊していて、とても自民党を支えられなくなった。そういう要素があって、自民党の従来の支持組織、土建屋連合とか、医師会とか、農協が駄目になっていた。そこに、かわって、民主党が新しい金のばらまきをしてきたということですね。
古村 そうです。
中田 それで、この「民主党形のばらまき」というか、所得再配分ですか。あるいは、民主党の選挙対策の景気対策といっても良いと思います。これはどういったものですか。
古村 民主党は、基本的には内需を喚起して、人々の可処分所得(家系が自由に使えるお金)をふやして、子供たちの教育費とか一番お金のかかるところにお金を出していくことにした。それが、ひと世帯当たり年間で30万円とか40万円とか余分にもらえるわけです。その分を少しでも消費に回してもらっていこうと。つまり、国内需要をそうやって喚起しようと、もっと消費して暮れよ、ということです。そのやりかた、つまり「内需型」で日本の景気をよくしようと思ってやっているわけですね。
中田 要するに、家庭の主婦がお金を使いたいと思うような。
古村 家計ですね、経済学的にいうと。
中田 今回民主党は、農家に対する「戸別所得補償制度」と、一般の家庭に対する「子ども手当」ということで、(景気の下支えを)やったわけです。
そこを考えたのは恐らく小沢一郎、今度民主党の幹事長になると発表されましたけれども、こちらのところはどのようにごらんになりますか。今までの自民党と比べて。
古村 そういう疲弊しているところとか、今、「勝ち組」「負け組」という言葉がありますが、負け組と言われるような人たちに補てん、補償するというのは、実は、もともと自民党がやってきたことなんです。
今の中国とか韓国を見ればわかりますけれども、高度経済成長のときには、否応なしに生活の格差が出てくる。先に豊かになる人と、ずっと豊かになれない人がいる。けれども、日本は、政治学的にいうと、高度成長をしながら、同時に比較的平等な社会をつくり上げてきたというので評価をされていまして、ディストリビューティブ(分配的)というか、再分配を自民党がうまくやってきた。
多分それは田中角栄首相に象徴されると思うんですが、それを彼ら(アメリカの日本研究者たち)はコンペンセーションポリティクス(=補償による政治)と呼んでいます。それで自民党が勝ってきた。自民党はもともと農村型政党だったんです。その田中元首相の弟子であるところの、民主党の小沢一郎は、コンペンセーションということを、自分のプリンシプル(原則)にしていたと僕は思います。ばらまきと言われるかもしれないけれども。
(中略)
副島 そういう話はずっと私が書いてきた。そういう思想的な話も良いけれども、今は、もっと実際的にどうなっていたかという話を私がしなければならないね。
大きくは8月に入ってから波が変わったんだよ。7月12日の都議選で負けて、民主党の政権ができるという流れに変わった。
しかし、自民党内の勢力各派は全然自覚がなかった。司令官クラスだから。末端の動きが見えなかったのかもしれない。例えば、小池百合子さんが、昔の自分の選挙区の神戸で一生懸命自民党の候補の応援演説をやっていたら、支持者の人から、「あなた、自分の選挙区に帰らなくていいの」と言われた。その時に、小池以下、自民党の幹部どもは、はっと気づいたというんだ。でも、もう遅かったんですよ。
これが、8月の頭だったんだけども、一つ大きな波が後から襲いかかった。国民新党だって体質は一緒だから、渡辺喜美だってねらっていたし、自分のほうに自民党から20人ぐらいは崩れてくると思っていたんですよ。
8月までは、国民新党系と鳩山邦夫系は、自分たちが波頭だと思っていたわけですよ。何しろ、弟の鳩山邦夫が信念を貫いて総務大臣をやめて、郵政民営化反対の旗柱を立てたとき、自分たちが最大の波だと思ったんです。
ところが、その波から、民主党に勝たせろという大きな国民の波が起こったんですよ。亀井静香が言ったとおり、大きな波が押し寄せてきて、自分たちがのみ込まれていったんですよ。
中田 鳩山邦夫は、選挙後に自分で新党をつくるみたいなことを言っていましたからね。
副島 じゃなくて、核になれると思っていたわけですよ。
中田 政界再編の。
副島 もっと言えば、民主党とは違う反自民党の勢力ですよ。やがてできる大きな勢力の核に自分たちがなれるんだと思っていた。
しかし、そこはもう小沢にばれていたんですよ。小沢はそれを許さなかったということですよ。
それがどこであらわれたか。私はじっと見ていた。そうしたら、8月17日に選挙の公示日です。選挙はそこから2週間ですから、公示日直前というか、まさに最後のぎりぎりの日に、「比例単独59人」というリストを小沢がぱんと出した。これが小沢戦略だった。この日まで手の内を見せなかった。
その中味は、ほとんどが小沢直系の、小沢親衛隊の「小沢政治塾」の人たちだったんです。私は、この顔ぶれを見たときにぞっとした。川島智太郎(かわしまともたろう)、それから中川昭一にぶつけた元書生の石川知裕(いしかわともひろ)。それから、樋高剛(ひだかつよし)という人たちがいるんです。
樋高は、神奈川18区だけど、彼らは狂信的な小沢一郎主義者です。彼らは、秘書グループとかそんな甘いもんじゃない。私は、単独比例に名前がついていただけの連中が次々に受かって(当選して)いったあたりが、今回の選挙で一番大事なところだと実は思っている。
他に、民主党にもすでに農林族というのがいまして、新潟の筒井信隆(つついのぶたか)というのと、篠原孝(しのはらたかし)というのがいるんです。
農協(JA)とその最上級の幹部たちの集まりである全中(ぜんちゅう、全国農業協同組合中央会)というが、FTA(フリートレード・アクト、自由貿易協定)に反対した。これで民主党をつぶせると思うぐらいの大集会を、8月1日に東京に結集してやったんです。
古村君がさきほど言ったとおり、彼ら農協の大幹部たちは農業なんかやっていない。全国の駅前の、ビル持ち、土地持ち、アパート経営者で、金融資産家みたいなやつらです。一人で数百億円の資産を持っているような連中です。年がら背広を着て、会議ばかりで、農業(百姓)なんか全くやっていない人たちだ。
こいつらがFTA反対で、これで民主党をつぶせると思って、民主党農林族をたたきのめそうとしたわけです。
北海道の松木謙公(まつきけんこう)が、北海道グループですが、JA、全中の強い抗議に対して、ヘイコラして妥協しようとした。そのときに菅とかは反対した。民主党は政策調査会というのがありまして、そこが頑強に抵抗した。
そこにも小沢一郎の直系がいまして、彼らが小沢に直言、直訴した。ここで、小沢が一発、「農協(の幹部たち)なんか相手にするな」という重要な言葉が生まれた。「あんなやつらは自分たちの利権のことしか考えていないんだ」ときっぱりと発言した。
そうしたら、この農協の、腐れきった大幹部たちは、一斉に黙りこくってしまった。この時、全中(ぜんちゅう)が、歴史的な大敗北を喫したのです。 これで、農協・全中は、崩壊します。小沢一郎のこの時の発言は、非常に重要なものだと思います。
今度の選挙は、民主党がマニフェストの中で「五つの約束」をはっきり打ち出して、次第に国民にはっきりしてきた。
まず、子ども手当を年間31万円あげる。つまり、若い夫婦に2人目の子供をつくりなさい、とやった。その次に、最低保障年金を7万円とした。 老人にはだれでも月7万円を上げると言った。3番目が、農業をやっている人で、農業所得が年間本当に、50万円以上ある人は、だれでも45万円をあげる。農協を通さない。農協に途中で天引きされて、手数料とかで、中抜きされるから、それを阻止した。これが、戸別の所得補償制度ですね。すばらしい制度だ。
4番目が、高速道路を無料化する。これも、すばらしい政策だ。地方の高速道路は、お金がかかるから誰も使わないで放置している。本当にもったいない。それもこれも自民党と官僚たちが、自分たちの利権にしているからだ。 5番目が、月に10万円の手当つきの職業訓練。職のない人たちにお金を出しながら職業訓練を与える。それこそば、らまきなんだけど、全部で15兆何千億円かかる。それでも、すべて国民思いの、非常にいい政策だ。どんどんやるべきだ。
中田 17兆円ぐらいかな。
副島 これでも最低限度だ。これらの財源をどこから探し出して、持ってくるかが問題なのだけども。農家の貧しそうなおばあさんたちが、私がテレビを見ていたら、「小沢さんが(私たちに、ひとり)45万円ずつくれるんだって」とはっきり言っていたからね。私は、小沢は本当に偉い政治家だと、思った。貧しい老人たちが、小沢一郎に、全国各地で、すがりついていたもの。 これが本当の政治だ。
東北、北海道、九州まで、農水族がたくさんいるところほど、自民党=農協がわーっと崩れて、今度は小沢一郎支持に回った。日本国民に、それこそあした食えない人たちが本当にいるんですよ。彼らが小沢一郎に「助けてくれ」と直訴し始めた。その波が8月17日から起きたんです。この新しい波が、その前の小波たちを乗り越えていったわけ。(後略)
(私のコメント)
八ツ場ダム建設中止問題では前原国土交通大臣が中止の決断を下しましたが、当初は地元が建設反対でゴタゴタして、今度は国が建設中止を決断すると地元が反対している。もめるのは仕方がないにしても構想から現在に至るまで60年も時間がかかっている。60年も経てば当時は必要だった事業でも時代が変われば必要なくなり自然を守る事が大切になってきている。
同じような問題は成田空港でも同じであり未だに完成していない。国の政治力の無さと一坪地主の反対で滑走路がなかなか完成しない。八ツ場ダムにしても成田国際空港にしてもどうしてこれほど揉めるのだろうか? 以前は全学連の反政府運動の象徴となりヘルメット姿の学生が反対運動を繰り広げた。マスコミはそれを煽ってTBSなどは全学連に協力して処分されたほどだ。
建設を決めても予定年度内に出来なければ途中でも建設を中止して止めるようにしないと、出来た時には必要がなくなっている事になるだろう。橋や道路も同じであり50年60年経っても出来ないものは元々必要も無いから出来ないのだ。成田空港もパンク状態なのですが地元が反対するのならば途中でも建設を中止して東京湾のど真ん中に作ればいいのだ。
地元も地元でゴネまくれば補償金が積み上げられて地元にばら撒かれる。八ツ場ダムにしても当初は2100億円のダムが工事の延期で4800億円に膨らみ、完成した頃には1兆円になっているだろう。だから建設するといえば反対し、建設を中止すればそれにも反対するのだ。要するに地元に国から補償金をどれだけ引っ張ってくるかが問題なのだ。成田だって国が廃港にすると決断したら地元は反対するだろう。
前回の参院選挙や今回の衆院選挙で自民党が大敗したのは、公共事業によるバラマキ政策が限界に来ているということであり、国がいくらカネをばら撒いても建設業者や農協などの中間利益団体が吸い取ってしまって末端に届かないから地方が疲弊してしまっている。つまり所得の再分配システムが自民党方式では上手く行かなくなって来ていると言うことだ。
トリクルダウンとは「しずくが下にしたたり落ちる」という意味ですが、中間利益団体がみんな吸い上げてしまって途中で消えてしまう。企業減税で大企業はバブル期以上の利益を上げても従業員の給与には反映せず株主報酬や役員報酬に消えてしまう。小泉竹中内閣では派遣の規制緩和をしたからよけいに格差が広がってしまった。
民主党が選挙で大勝利するようになったのは、自民党のバラマキ方式が上手く行かなくなったからであり、民主党のバラマキ方式は中間利益団体を経由せずに直接国民にばら撒くという方式だ。農家への戸別所得補償もそうだし子育て手当てによる年間31万円の給付も同じだ。消費が低迷している以上は国民に直接配った方が消費は増える。
自民党のバラマキ方式の公共工事も法人への減税も景気には機能しなくなった。それに対して民主党方式のバラマキはいくらでも出来る。問題は財源ですが、今まで利益を得てきた中間利益団体に吐き出してもらう必要があるだろう。天下り団体への予算配分も減るだろうし公共事業も減る。だから農協も土建屋も倒産するが農民は戸別所得補償で利益を得る。
この戦略を編み出したのが小沢一郎であり、自民党の弱点を突く戦略だった。農協や土建業者はもはや集票組織としては弱体化してしまった。農業補助金はみんな農協に消えてしまうし公共事業は土建業者に行ってしまって地方は疲弊してしまった。それに対して戸別所得補償や子育て支援は景気対策であると同時に選挙対策としても非常に上手く行った。
自民党も補正予算を組んで15兆円の景気対策を打ちましたが、自動車メーカーや家電メーカーは潤っても国民には直接は回っては来ない。自動車メーカーも家電メーカーも利益を独占してしまって派遣切りなどで従業員などの平均給与は下がる一方だ。
自民党議員は二世議員や古手議員ばかりになって民衆の怒りに鈍くなってしまって、真剣に雇用対策に手を打っているとは思えない。副島氏が指摘しているように小池百合子議員のように地元の選挙区でも危なくなっていることに気がつくのが遅すぎた。自民党はどうして国民の怒りに気がつかないような政党になってしまったのだろうか?
農協の幹部達は農業などやってはおらず、全国の駅前の、ビル持ち、土地持ち、アパート経営者で、金融資産家みたいなやつらだそうです。だから専業農家と農協との利害対立は大きくなっているのであり、農協は兼業農家のための団体だ。兼業農家にしても一人45万円ずつ配ると言えば民主党に票が流れる。
このように民主党のバラマキ方式で選挙で大勝利しましたが、本当に子供一人に31万円も配れるのだろうか? 農家にも45万円ずつ配れるのだろうか? もし実行できなければ嘘をついたとして叩かれるだろう。今まで自民党が配ってきたところから財源を回して捻出する必要がある。それが八ツ場ダムの建設中止の意味だ。
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