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http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090922-OYT1T00084.htm
民主党がマニフェスト(政権公約)で建設中止を掲げた八ッ場(やんば)ダム。2005年のマニフェストに「ムダな公共事業」の代表として登場したが、07年のマニフェストではいったん消え、今回の衆院選で復活していた。 前原国土交通相は23日の現地視察を前に、地元の理解を得るまで中止の手続きを進めないと配慮を見せたが、中止の方針は変えていない。八ッ場ダム中止は、なぜ民主党の目玉政策となったのか。その舞台裏を検証した。 昨年8月18日。当時、民主党幹事長だった鳩山首相は同党の国会議員約15人と群馬県長野原町のダム予定地を視察した際、水没する地元・川原湯温泉の「やまきぼし旅館」で昼食を取った。この時、同旅館を経営する樋田省三さん(45)は、地元住民の代表とともに鳩山首相らと話をしたが、「何を言っても『止める』の一点張りという印象。全く聞く耳を持たない感じだった」と振り返る。 昼食後、鳩山首相はダムを視察し、記者会見で「福田首相のおひざ元で無駄な事業が行われていることは看過できない。次期衆院選のマニフェストにも盛り込む」と正式に表明した。 八ッ場ダムが同党のマニフェストに初めて登場したのは、前回衆院選前の05年8月。川辺川ダム(熊本県)などと並んで、「すみやかにストップする事業」として明記された。 03年に国交省が総事業費を2110億円から4600億円に倍増させる方針を発表。04年には市民団体が、1都5県で自治体の負担金支出の差し止め訴訟を相次いで起こしたことを受け、「象徴的なムダな公共事業という意見が党内で上がった」(民主党職員)のがきっかけだったという。 党内に発足した八ッ場ダム検証プロジェクトチームは現地視察の結果、「工業用水や農業用水などの需要が減り、治水面でも代替手段が考えられる」と判断し、建設中止をマニフェストに掲げた。当時、この議論にかかわった同党の佐藤謙一郎・元衆院議員は「地元議会の合意は得られていなかったが、半ば強引に押し込んだ」と打ち明ける。 ところが、07年7月の参院選前のマニフェストからは、八ッ場ダムの文字が消えた。理由について、佐藤元議員は「私を含め、この問題に取り組んでいた議員が、05年衆院選で軒並み落選したためだろう」と話した。 一方、この参院選で、八ッ場ダム問題に熱心だった候補者らが当選すると、この問題が再び党内で活発に議論され始めた。鳩山首相も07年以降、超党派の議員で作る「公共事業チェック議員の会」の会長を務め、ムダな公共事業に対する関心を高めていた。こうした流れが、鳩山首相による昨年8月のマニフェストへの“復活宣言”に結びついたとみられる。 川原湯温泉旅館組合長の豊田明美さん(44)は「マニフェストに載せたり載せなかったりしたのは、中止について真剣に考えていないとしか思えない。今回も選挙戦略でぽんと載せただけという印象。なぜ住民の意見を聞かずに決めたのか、マニフェスト策定のプロセスを明らかにすべきではないか」と話している。 |
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