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2009.09.19
「公約」と「口約」
民主党の鳩ポッポは、以前から「民主党が政権をとったら記者クラブは廃止する」ってことを繰り返して来た。マニフェストには書かれてないから、「公約」じゃなくて「口約」だけど、テレビなどで党の代表が口にして来た言葉なんだから、一応は国民に向けて約束してたことになる。あたしも、これまでの「記者クラブ談合」には大反対だったから、霞が関の解体とおんなじくらい、記者クラブの解体に期待してた。だけど、16日に行なわれた鳩ポッポの首相就任会見は、すべてのメディアには開かれなかった。この件に関しては、「お笑みのもんた劇場」さんが記事や情報をマトメてて、すごく分かりやすいので、ぜひ読んでみて欲しい。
で、この件に対して、一部のネットメディアでは、「民主党は公約を破った」って批判してる。でも、最初に書いたように、これは「公約」じゃない。だから、「公約を破った」って表現は間違ってる。それに、フランク・ザッパに説明すると、民主党側は「出席枠の拡大」を事前に記者クラブ側へ申し入れてて、これまでの自公政権では出席を拒否されて来た外国特派員や一部の雑誌の記者たちは出席することができたのだ。出席できなかったのは、ネットメディアやフリーランスの記者だけだ。だから、自公政権の時よりは、一歩も二歩も前進してるワケで、頭ごなしに批判するのはおかしいと思う。それに、今回の会見は、民主党を中心とした連立政権が誕生した「その日の会見」なんだから、その日のうちから、これまでずっと続いて来た記者クラブの談合を完全に解体することなんてムリだろう。
真偽はサダカじゃないけど、ある情報では、大手メディアを牛耳ってる「世界のナベアツ」‥‥じゃなくて、「読売のナベツネ」が、会見の数日前に、鳩山内閣で財務相に内定してた藤井裕久や官房長官に内定してた平野博文に対して、恫喝まがいの脅迫電話を掛けたって言われてる。「ネットメディアやフリーランスの記者を会見に出席させると、我々(新聞やテレビ)よりも早くネット上に記事を出されてしまう。そうなると新聞やテレビの報道価値が下がってしまうので、記者クラブ制度を温存するように」ってことだったらしい。それでも、民主党側は、簡単には折れずに、「出席枠の拡大」を記者クラブに対して申し入れたため、その折衷案として、今回の結果になったって言われてる今日この頃、皆さん、いかがお過ごしですか?
‥‥そんなワケで、あたしとしては、まだ新政権が誕生して2日だってのに、ナンでもカンでも厳しく批判するんじゃなくて、少しは落ち着いてジックリと見てあげる「広い心」が必要なんじゃないの?‥‥って思う。今回の「記者クラブ」の問題にしても、民主党は一方的に約束を反故にしたワケじゃなくて、誰かさんの圧力を受けながらも「出席枠の拡大」を申し入れたワケだし、その結果として、今までは叶わなかった外国特派員や一部の雑誌の記者たちが出席することができたんだから、これまでの完全に閉鎖された「記者クラブ」の慣れ合いゴッコと比べたら、天と地ほどの差があると思う。民主党にしたって、一議員が無責任にオフレコで約束したんじゃなくて、仮にも党の代表がテレビを通じて何度も口にしたことなんだから、いくらマニフェストには掲げてない「口約」だとしても、きっと実現させる方向に進んでってくれると、あたしは信じてる。
とにかく、何の制限もなしに「誰でもどうぞ」ってことにしちゃうと、何でもない一般のブロガーとかまでが、「私も記者です。自分で取材して自分のブログに記事を書いてます」なんて言って、会見へ出席しようとしちゃうオソレもある。フリーランスの記者にしたって、これは自己申告みたいなもんだから、これまでにたくさんの記事を書いたり本を出版してる本物の記者も多い半面、何の実績もない一般人が現われて「今日からフリーランスの記者を始めた田中です」なんて言ったら、その人も会見に出席させるのか?‥‥って問題もある。こうした人達をすべてOKにしちゃったら、極端な話、首相や大臣の命を狙うようなテロリストとかも出入りが自由ってことになるし、何百人、何千人もの野次馬が、「自称サーファー」‥‥じゃなくて、「自称記者」として詰めかけたら、会見自体が開けなくなっちゃう。
もちろん、こうした「自称記者」だけじゃなくて、ちゃんと記事を書いてる記者だとしても、よく、ポータルサイトや独自のニュースサイトとかで、一般の人を「市民記者」に登録させて、送られて来た記事を採用して公開するようなシステムがあるけど、ハッキリ言って、そんな「市民記者」にまで門戸を開いてたら、収拾がつかなくなることは明白だ。だって、この「市民記者」にしても、誰もが簡単に登録できるワケだから、首相や大臣に危害を加えるために記者会見に潜り込みたくて、事前にどこかのサイトの「市民記者」に登録するような人も出て来るかもしれないからだ。
だからって、十把一絡げにして「フリーランスの記者はすべてダメ」とか、「ネットニュースの記者はすべてダメ」とかってことにしちゃうと本末転倒だ。フリーランスの記者でも、志葉玲さんみたいな素晴らしい記者もたくさんいるワケだし、ネットニュースでも「JANJAN」みたいな優れた媒体もあるからだ。そのため、こうしたジャンルの記者たちにも門戸を開きつつ、誰でも彼でもが好き勝手に出席できないようにするために、事前の整備が必要だ。たとえば、フリーランスの記者なら、事前に個々を書類審査して、これまでの活動内容や実績などから判断して、ちゃんとした記者と認められた人にだけ登録証を発行するとか、ネットニュースの場合なら、「JANJAN」から1人、どこそこから1人ってふうに、媒体ごとに記者の人数を決めておいて、事前にニュースサイト側から申し込みのあった名前の記者だけを受けつけるとか、こうした整備が必要だろう。
民主党の肩を持つワケじゃないけど、16日の鳩ポッポの首相就任会見は、ニポン国内のみならず、世界各国からも注目されてたんだから、まだ何の整備もできてない状態で、どこの誰かも分からない「自称記者」までカタッパシに出席させてたら大混乱になってただろう。そうした状況を踏まえれば、その記者の所属先を確実に確認できる外国特派員や雑誌の記者たちをOKにして、身元を確認できないネットメディアやフリーランスの記者をNGにしたのは、仕方ない判断だったと思う。たとえば、今後もまったくネットメディアやフリーランスに対しての規制が改善されないとか、逆に外国特派員や雑誌の記者までを締め出して、今までの悪しき「記者クラブ制度」に戻ったとかなら、その時に、初めて、声を大にして批判すればいいワケで、あたし的には、もうちょっと長い目で見るべきだと思う。
‥‥そんなワケで、マニフェストに掲げてない「口約」が完璧には果たされなかっただけで、ナゼだか「公約を破った!」だなんて大騒ぎしてる人たちがいる一方、既存のマスコミはと言えば、民主党がマニフェストに掲げてる「公約」を実行しようとしてることを攻撃し続けてる。「インド洋での給油の延長中止」にしても、「高速道路の無料化」にしても、「こども手当」にしても、「八ッ場ダムの建設中止」にしても、すべては民主党のマニフェストに掲げてある「公約」なのだ。だから、国民から支持されて政権をとった与党が、これらの「公約」を実行に移すことは、「国民との約束」を守ることであって、政党としても政治家としても何よりも重要なことだろう。
それなのに、こうした「公約」を実行しようとしてる新政権に対して、各マスコミの報道は、あまりにも幼稚で偏向的な批判ばかりを繰り返してる。たとえば、新しい鳩山内閣の新しい大臣たちが、「やっぱりインド洋での給油は延長することにしました」とか、「やっぱり高速道路の無料化はやめます」とか、「やっぱり八ッ場ダムは建設することにしました」とかって言った時にこそ、「公約違反だ!」って批判するのがマスコミの正しい姿勢だろう。それなのに、新聞やテレビのほとんどの報道は、まだ新政権が誕生する前から、「アメリカは懸念している」だの「財源なき無料化で経済は破綻する」だのって、まるで選挙期間中に自民党の無能候補者どもが連呼してた幼稚な批判とおんなじことを繰り返してる。
そして、16日に新政権が誕生したら、今度は、民主党の「公約」に対する反対派の意見ばかりを垂れ流し始めた。たとえば、「八ッ場ダムの建設中止」にしても、まずは「建設賛成派」の住民たちの意見を大々的に取り上げ、それを後押しする形で、ファッション右翼の石原慎太郎東京都知事だの、「デタラメな歴史教科書をつくる会」の上田清司埼玉県知事だの、自民党の大沢正明群馬県知事だの、自民党の息の掛かった守銭奴どもによる稚拙な反論ばかりを報じ始めた。だけど、「八ッ場ダムを考える会」や「八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会」や「首都圏のダム問題を考える市民と議員の会」などを始めとした、これまで「建設中止」を訴えて来た数多くの団体や反対派の人たちの声はいっさい報じない。
「八ッ場ダムをストップさせる会」だけを見ても、東京、千葉、埼玉、群馬、栃木、茨城の1都5県にそれぞれ支部がある大きな組織で、末端の支援者まで入れると、ダム推進派を遥かに超える巨大な組織だ。それなのに、大手メディアは、こうした組織の声は、いっさい報じない。だけど、今回の衆院選では、この八ッ場ダムに関わる東京、千葉、埼玉、群馬、栃木、茨城の1都5県すべてで、「八ッ場ダムの建設中止」を「公約」に掲げた民主党が、ダム推進派の自民党を大差で破ったのだ。つまり、「八ッ場ダムの建設中止」は、動かしようのない民意なのだ。もちろん、民主党の中にも、八ッ場ダムの建設に賛成してる県議とかもいる。だけど、今回の衆院選においては、1つの政党として「八ッ場ダムの建設中止」っていう「公約」を掲げたんだから、これが民主党の総意ってことになる。この「公約」に反対する民主党の議員は、民主党を出て行ってから党の「公約」を批判すべきだろう。
八ッ場ダムに限らず、ほとんどの公共事業には賛成派と反対派がいるワケで、工事が進めば反対派が文句を言い、工事を中止すれば賛成派が文句を言う。こんなことは当たり前だ。それぞれの立場や利権やその他モロモロから、隣り同士の住民でも主張が分かれることもよくあることで、すべての人を納得させるやり方なんてアリエナイザーだ。だから、時の政府が公共事業を始めようとしても、始まってた公共事業を中止しようとしても、どっちの場合でも反論や批判は出る。だからこそ、民主主義の法則に従って選挙が行なわれるワケだし、選挙で大勝した政党が、マニフェストに掲げてた「公共事業の中止」っていう「公約」を実行することは、極めて正当な「民意の反映」だ。
八ッ場ダムの問題について、マスコミは、「付近の道路などはすべて完成している」だの「建設を中止したら公金支出が増える」だのって言う、ダム建設推進派の一方的な意見しか報道しない。だけど、「八ッ場ダムをストップさせる市民連絡会」によれば、「付近の国道や県道の完成割合は、まだ5%ほどで、95%は手もつけていない。『ほとんど完成している』という推進派の言っていることはデタラメだ」って言ってる。また、「建設を中止したら公金支出が増える」っていう意見に対しても、これは「工事ありき」で国交省が試算したもので、本来はダム工事と無関係な水道事業費などの国庫補助までをカタッパシから足し算してった数字を提示してるものだって指摘してる。民主党の試算によると、純粋にダム工事だけに関連した公金支出は、国交省の試算よりも600億円も低くなってる。
その上、国交省はまったく無視してるけど、このままダムを建設したら、地滑りの危険性がある場所が20ヶ所以上もできちゃうので、そうした場所の対策費なんかも掛かるそうだ。このままダム工事を進めたら、国交省の試算より、少なくとも1000億円以上は多く掛かるって言われてる。つまり、環境保護とかってことを考えずに、単に「税金のムダづかい」ってことだけで見ても、ダム工事を進めるよりも、ダム工事を中止したほうが、遥かに税金は節約できるってことになる。これが、長年、建設に反対して来た数多くの人たちの意見であり、民主党が「建設中止」をマニフェストに掲げた理由でもある。それなのに、低能マスコミは、こうしたことはいっさい報じない。
これまでの自公政権のように、国民の8割以上が大反対してた「自衛隊のイラク派遣」や「障害者自立支援法案」や「教育三法の改正」なんかを「数の暴力」を使って強行採決して来たことは、どう見たって政権与党って立場を悪用した犯罪行為だ。だけど、今回、鳩山内閣がマスコミだけから批判されてる「インド洋での給油の延長中止」や「高速道路の無料化」や「こども手当」や「八ッ場ダムの建設中止」とかは、最初からマニフェストに掲げてあった「公約」であり、国民から支持されて与党になった政党が、その「公約」を実行しようとしてることに対して、一部の反対派の意見だけを引き合いに出して批判するなんて、あまりにも偏向的でアンフェアな報道姿勢だ。繰り返すけど、選挙に勝って政権与党になった政党が、「公約」を守らなかった場合に批判するのが本来のマスコミの姿勢であり、「公約」を守ろうとしてることを批判するなんて、見たことも聞いたこともないバカ丸出しの愚行だ。
‥‥そんなワケで、今でこそ、新政権による「八ッ場ダムの建設中止」を偏向的に批判しまくってる低能マスコミだけど、それなら、もしも、今、前原国交相が「やっぱり八ッ場ダムは建設します」だなんて言い出したら、バカ新聞やバカテレビは「民意に沿った素晴らしい決断だ」とでも報じるんだろうか?‥‥って、タモリじゃなくても、そんなこたーない。それこそ鬼の首でもとったかのようなイキオイで「公約違反だ!」とか「早くもブレまくり!」とかって書きたてるに決まってる。「インド洋での給油の延長中止」にしても、民主党は「公約」に掲げたことを実行しようとしてるだけなのに、アホなマスコミは、まるでアメリカの飼い犬のように、アメリカの言いぶんばかりを報道し続けてる。だけど、もしも、民主党が、「やっぱり給油は延長します」って言ったとしたら、マスコミは「民主党は日米関係を重要視した適切な判断をした」とでも報じるつもりだろうか?どうせ、これまた「公約違反だ!」とか「早くもブレまくり!」とかって書きたてるに決まってる。だから、安倍内閣や福田内閣や麻生内閣と違って、ちゃんと国民の信託を得て政権を担った鳩山内閣は、低能マスコミの騒音なんか気にせずに、どんどん「公約」を実行してって欲しい。だって、「公約」を守っても反故にしても悪く報道されるんなら、守って悪く報道されたほうが百万倍もマシだと思う今日この頃だからだ。
投稿者 きっこ 日時 2009.09.19
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