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(回答先: 自民党、「貸し剥がし倒産」の危機 − AERA (実は借金だらけだった!?もうダメだこりゃ) 投稿者 稀代の天才白魔女さん 日時 2009 年 9 月 14 日 18:26:19)
足腰が弱くなった自民党
先週号で総選挙における自民党の最大の敗因を、小選挙区制の下での選挙を繰返すことによって、自民党の足腰が弱くなっていたことと指摘した。具体的な現象として、まず自民党の政治家と有権者との認識のズレが、とほうもなく大きくなったことである。だいたい自民党の政策決定プロセスがトップダウンとなり、政治家が支持者や有権者の声を聞こうとしなくなっていた。
経済の状況が悪いのに、一部の経済数字を見て「景気は良くなっている」とトンチンカンな事を言っている。実際は、都会の一部や大手の輸出企業だけが良かったりしていたに過ぎない。また自殺者数が最悪の状態が続いているのに見て見ぬふりをしている。このような傾向は小選挙区制が始まって加速した。自民党の政治家は、選挙が近付けば地域の盆踊りに参加しておけば良いと思うようになっていた。
第二に立候補者の質の劣化である。先代の名前が知られているということで、やたら二世、三世の立候補者が増えた。小選挙区制によってより多くの得票を得ることが必要になり、自分の力で地盤を築くことが困難になった。つまり活力と人望はあるが無名な者は、自民党の国会議員を目指すことが難しくなったのである。
政治家が有権者の気持を汲み取れなくなったのは深刻である。ところで小選挙区制に変わったことにより、選挙民は複数の自民党立候補者から自由に投票相手を選べなくなった。つまり選挙がつまらなくなったのである。実際、小選挙区制の最初の頃は投票率がずっと低下していた。ところが今回の総選挙の投票率はかなり高くなった。有権者が今日の自民党をよほど嫌うようになったのであろう。
筆者が小選挙区制の問題を最初に聞いたのは亀井静香議員からである。5,6年前、筆者達は亀井さんを囲んで何回か「飲み会」を開催した。会費を徴収し毎回六本木の居酒屋で開いた。筆者達は30名くらいのメンバーに声を掛けた。「飲み会」はいつも予定時間をオーバし、亀井さんにも「毎月やれ」とこれを気に入ってもらえた。
「飲み会」では色々な話が出た。その一つが小選挙区制の問題である。亀井さんは「この頃の自民党の国会議員はいかん。公明票ばかりを頼って日常活動をやらない。」「自民党の再生のため、やはり小選挙区制に戻すべきであろう」とおっしゃっていた。また「ただ全面的に小選挙区制に戻すことは無理かもしれないが、せめて地方だけでも中選挙区に戻せたら良い(筆者の聞き違いで都会を中選挙区制に戻すだったかもしれない)」と言っておられた。
先日、平沼赳夫議員事務所から今回の総選挙に関する見解を綴った文章が筆者にも回ってきた。事務所からと言っているがご本人の見解と見なして良いと考える。ここではやはり自民党の足腰が弱っていることが指摘されている。また第一回目(平成8年)の小選挙区制の下での衆議院選挙では、公明党と敵対していたにもかかわらず239議席を得たことも指摘されている。
さらに「小手先の経済政策論議や民主党批判ではなく「国家のあり方」を問うことからはじめること」と「腰をすえてじっくりと保守の資質を備えた党の候補者を擁立(選定)することから着手すべき」と書かれている。亀井さんの考えと重なる部分が多い。
再生は無理か?
次に自民党の再生の可能性を探る。総選挙の惨敗後、自民党の政治家が敗因について述べている。しかしそれらは「自民党に風が吹かなかった」「麻生総理は解散のタイミングを間違えた」といった些末なものが多く、中には「小泉改革路線を継続しなかったから」といったとんでもない意見もある。
亀井氏、平沼氏のように、10年以上の年月をかけて自民党の力が弱まったことを指摘する者はほとんどいない。いまだに小泉首相の下で行われた01年の参議院選挙と05年の郵政選挙での大勝が忘れられないのである。だいたい今日の自民党は、「風」を頼ったり、デマで世間を欺くことでしか選挙を闘えなくなっているのであろう。
亀井さんのように、自民党がダメになった原因を「小選挙区制の導入」と喝破する者はいない。ただ自民党の関係者は薄々とこれに気が付いていると思われる。しかし自民党の国会議員でこれに触れる者はいない。もっとも本当の敗因が分るくらいなら、何らかの対応をしていたはずである。
現職が公認で優先されることが、小選挙区制の下では一種の既得権になっている。彼等はとても中選挙区に戻すとは言えないのである。このままではますます自民党の足腰は弱くなると思われる。
民主党の政策に対抗するためなのか、いまだに自民党の若手は「小さな政府を目指す」「小さな政府が基本」と言っている。何回も繰返すが、筆者は「政府は効率的であるべきだが、政府の大きさは、経済の状況や目指す国家の在り方にかかっている」と主張してきた。日本経済の慢性的デフレ体質を考え、さらに少子高齢化社会に向かう今日の日本では、政府は大きくならざるを得ないのである。
年金改革を主張しているはずの河野太郎氏が、「小さな政府を目指す」と言っているのだから訳が分らない。彼は、論理的に矛盾していても、マスコミ受けする言葉を並べているのであろう。しかし彼のような何がなんだかさっぱり分らない政治家が、今日の自民党に残っている国会議員を象徴している。両院議員総会の混乱した様子を見ていてもその事がよく分る。
自民党の政治家は「党の再生」「解党的出直し」と口では言っている。しかし自民党の弱体化の原因が「小選挙区制」ならば、選挙制度を改定しても党の再生には最低10年以上かかると考える。とても現実的ではない。
おそらく今の自民党の政治家は、自力による自民党の再生は無理と感じていると思われる。考えられるのは民主党の失政やスキャンダルを待ち、これらで民主党を攻撃することである。とても建設的とは言えないが残された道はそれしかない。だいたい党を再生させられるような気骨のある人材を、郵政改革騒動で全部追出したのだからしょうがないのである。
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