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【神州の泉−高橋博彦】
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2009/09/post-732e.html
2009年9月13日 (日)
亀井静香氏の総務大臣起用こそが、最も重要だ!
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「永田町異聞」さんの渋い政治評論は、毎回大変参考になるが、今回9月12日(土)の「亀井静香総務相起用は避けるべきだ」はまったくいただけない。その主旨は間違っている。正体が見えた気分でがっかりである。読んでもらうと一目瞭然だが、この御仁の郵政民営化に対する見解は、日経新聞の社説や高野孟氏の論考に限りなく近い。彼は、「たしかに、小泉郵政選挙で国民が支持したとはいえ、郵政民営化には多くの問題点があった。そして民営化した結果は、功罪相半ばしている」とも語っているが、これこそ、日経新聞の論調であり、小泉構造改革推進派の考え方にそっくりだ。
たとえば、小泉政権で郵政民営化を国民が支持したことは確かだという論調自体が郵政民営化の本質を見誤っている証拠だ。当時の日本メディアは、米国保険会社の工作資金によって、民営化こそ善であるというプロパガンダを流しまくった。この事実こそが、郵政民営化の制度設計がアメリカの意志に基づいていたことの大きな証左である。彼は郵政民営化の功罪で、「功は、金融危機のさなか、21年3月期決算で最終利益4227億円を確保したこと。罪は、「かんぽの宿 」の不明朗な資産一括売却交渉などがあげられる」と言っている。
郵政公社は2007年の10月に民営化したが、その年の3月期決算は黒字であり、この時点で四年連続の黒字を計上していた。従って、民営化前が赤字で民営化後が黒字になったのなら、それは「功」としての意味はあるが民営化後2年では何とも言えない。「永田町異聞」さんに管理人が怪訝な思いを抱いたのは次の箇所だ。
「郵政民営化に対する根本的な不安は「郵貯、簡保の340兆円のカネがアメリカの保険・金融業界のターゲットにされるのではないか」ということだ。その背景には、米国政府から「年次改革要望書」を通じて、「完全民営化し全株を市場に出せ」という要求が毎年のように、日本政府に突きつけられてきたという事情がある。・・中略・・それでも、やはり民営化からの逆行は果たしてどうなのか、西川社長の更迭に妥当性があるのか、となると考え込まざるをえない。」
この御仁は、郵政民営化にまつわる多少不明瞭な問題があっても、民営化そのものの逆行はおかしいと言っている。管理人の立場から言えば、今の局面で「民営化に逆行する」とか「構造改革に逆行する」という言い方は、政治的には小泉一家や中川秀直氏を中心とする偽装CHANGE勢力と同質であり、非情に胡散臭く映る。郵政民営化が国営のままであった方がいいか、半官半民がいいか、完全民営化がいいかは、議論の余地があると思っている。
問題の核心は、小泉純一郎氏と竹中平蔵氏が進めてきた現在の形の民営化が妥当かどうかが問われていることだ。郵政関連株が市場に放出されてしまってからでは、民営化を制度設計まで遡及して再考する機会が永遠に失せてしまうことになる。だからこそ、国民新党が提起する「日本郵政」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」の株式処分を凍結するための法案(郵政株式処分凍結法案)は重要なのだ。これを民主党は成立させ、可及的速やかに実行する必要がある。
あと数日で鳩山政権の組閣メンバーが決まるが、国民新党の亀井静香氏の総務相入閣は、以上の理由から、強い妥当性を持つのだ。民主党には、地方分権などの重要政策も所管するため、「総務大臣の地位を他党に渡すわけにはいかない」という声もあるようだが、国家の経済防衛という意味で、郵政民営化問題は最優先事項と位置づけるべきだ。「永田町異聞」さんも、日経も、高野孟氏も、日本国家を防衛する日本版エクソンフロリオ条項の感覚が皆無である。
新政権が亀井静香氏を総務大臣にして、彼を中心に郵政民営化の闇に切り込むことには、二つの大きな意味がある。一つは郵政民営を制度設計の段階から再検討し、諸々の利権私物化や郵政資金の外資への移転計画などを洗い出すこと。特に、竹中平蔵氏を介し、日本郵政社長の西川善文氏と大手国際金融資本のゴールドマンサックスとの密約の有無を調べること。
もう一つは、小泉純一郎元首相が何度も繰り返したように、郵政民営化が構造改革の本丸だと言ったことは、小泉竹中・構造改革路線の是非を問う上で、すこぶる重大な意味を持つので、構造改革まで範囲を広げて小泉政権の政策を逐一精査するべきである。つまり、郵政民営化を制度設計から精査し、検証することは、小泉構造改革の本質をそのまま解明することに繋がるのである。その検証には時間がかかるが、日本郵政による郵政関連株の売却は迫っているので、株式の凍結は急務である。
また、「かんぽの宿」疑惑は徹底的に解明する必要がある。保坂展人氏の国会質問で明らかになったが、「競争入札」には「一般競争入札」と「指名競争入札」の2種類があるが、日本郵政からオリックス・グループへの「かんぽの宿売却」はこの二つの類型のいずれにも属さない「随意契約」であることがわかっている。また、この一括譲渡計画が不動産売却か事業譲渡かということも含めて、充分に検討してもらいたい。
オリックスの外国人(法人)比率が63%であることはよくよく考える必要がある。マスコミはこの問題について非情に奇妙な態度を取っている。日本郵政の西川社長のことは頻繁に登場させるが、オリックス・グループの総帥である宮内義彦氏はほとんど取り上げない。宮内義彦会長は、規制改革・民間開放推進会議の座長であり、経済財政諮問会議と並んで郵政民営化を推進した当事者である。メディアはなぜ彼を取り上げないのだろうか。それは国際金融資本の代弁者だからではないのか。
竹中平蔵氏は宮内氏が、郵政民営化の制度設計をした内閣官房準備室と関わっていないと言ったが、規制改革推進の中心人物が関わっていなかったというのは信じ難い。なぜなら、小泉純一郎氏は郵政民営化こそ構造改革の本丸だと強弁していたからである。「聖域なき構造改革」の本丸が郵政民営化ならば、構造改革の中心的作業が規制緩和であった以上、宮内氏がこれに関わらなかったと言う方が不自然である。
日経新聞と近似した考え方の高野孟氏の「INSIDER No.494《YUSEI》西川追放で日本郵政は官僚勢力の食い物に?──鳩山邦夫“暴走”の背景」を読んだ感想を述べておく。
http://www.the-journal.jp/contents/insider/2009/06/insider_no494yusei.html
高野孟氏の上記考察は、全体の印象を言えば、鳩山前総務相が追及した西川更迭問題を、旧郵政官僚の意を受けた鳩山氏と、小泉一家の息のかかった西川社長とのバトルだと位置づけ、鳩山前総務相の動きを、郵政官僚が主導する反改革派の策謀だと言っている。簡単に言えば、高野孟氏の基本認識は、「官僚(抵抗勢力)VS構造改革派」の戦いと見ているのだ。
つまり、高野孟氏は、小泉政治を一見否定しているかのように書いていながら、大枠では完全に小泉・竹中構造改革路線を肯定し、郵政民営化も構造改革の一環として、後戻りできない重要な改革だと言っている。彼の悪質さは、日本国内の旧郵政官僚の郵政民営化に対する抵抗勢力の策謀だと無理に決め付ける文脈の中に、アメリカ政府の意図(年次改革要望書)と米系国際金融資本のことがすっぽりと抜け落ちていることだ。
下記の部分を冷静に読むと、高野氏は故意に米国の収奪背景を隠しているように見える。
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ところが小泉は、そのように正しく問題を設定することをせず、いきなり「3分割か4分割か」といった瑣末な戦術レベルの議論に突入してしまった。当然にも自民党内からは「郵便局の数が減ったら大変」とか「ハゲタカファンドに食い物にされたらどうするんだ」といった低次元極まりない反対論が高まって、議論は完全に本質から外れた方向に流れていった。
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小泉・竹中郵政民営化で、最も悪質な部分はずばり言って、事業形態の「四分社化」にある。郵政三事業の一体会計と株式の相互持ち合いを、唐突に四分社化という分離形態に持っていき、会計の分離と株式の相互持ち合いをやめたのだ。管理人が、高野考察で一番悪質だと思ったのは、上記の「「3分割か4分割か」といった瑣末な戦術レベルの議論に突入してしまった」という表現である。
分社化こそ、郵政民営化の隠された目的だった。民営化推進論者は、ゆうちょ銀行も、かんぽ生命も、あまりにも巨大すぎる(ギガバンク)から、民間の銀行や保険業界を圧迫する。だからダウンサイジングする必要があるという文脈から、四分社化が当然であるかのように言う。四分社化して、ゆうちょ銀行は既存の銀行法の管轄に入れ、かんぽ生命は保険業法の管轄に編入した。これを行うために、郵政事業のためにあった郵便貯金法と簡易保険法が廃止されている。
管理人は四分社形態に大きな詐術があると睨んでいる。確かに、ゆうちょ・かんぽ資金の340兆円は民間の最大のメガバンクよりも三ないし四倍近くも巨大である。しかし保有金融資産の多寡を以って民業圧迫の問題が生じるとするなら、分社化というダウンサイジングは非情に奇妙というか、不合理だとしか思えない。正常な改革の流れからすれば、分社化ではなく、三事業を一体化したまま、民業を圧迫をしないように「日本郵政株式会社法」に規制立法を謳えばいいと思う。ところがその選択肢を省いて、いきなり四分社化は異常である。ここに郵政民営化の隠れた意図を感じる。
管理人は、郵政民営化で関係者が四分社化の理由について何を言ったのか、ネットで調べたが、ほとんどの関係者はまともなことを言っていない。むしろ四分社化が世間に注目されないように気を使っている様子が見て取れた。その理由を考えると、ゆうちょとかんぽに、三角合併の形態でM&Aを仕掛けてくる外国ファンド(国際金融資本)が、株式の買取を容易にするためではないだろうか。
つまり、相互持合い株を廃止、三事業の一体化会計を分離することによって、外資がゆうちょ株とかんぽ株を買いやすくするためとしか考えられないのだ。2004年、2005年当時、小泉・竹中両氏は四分社化に異常に固執していた。四分社化こそアメリカの真の狙いだったとしか思えない。外資による金融乗っ取りを円滑に行うために、三角合併解禁と、四分社化が必須条件となっていたのだと思われる。
2003年に郵政公社が暫定的に発足したが、生田総裁の努力の下で郵政公社の経営収支は四年間も黒字続きだった。多くの自民党員も、郵政公社(三事業一体)のままで黒字なら、公社のままでいいじゃないか、これ以上分離させる必要がどこにあるという意見が大勢を占めていた。ところが、小泉・竹中は頑強に四分社化にこだわったというわけである。郵政民営化とは、とどのつまりは、日本国富をアメリカに移転するための構造改革だったと言うしかない。
高野氏の論考を読む限り、明らかに向こう側の意志が介入している。彼は西松献金問題では小沢氏に同情し、反自公のように振舞いながらも、その正体は悪徳ペンタゴンの広報マンである。植草さんがサンプロ・ペンタゴンと揶揄することも頷ける。
9月3日、国民新党の自見庄三郎政審会長はTBSテレビ番組で、「鳩山政権」での同党の閣僚ポストについて「われわれは郵政民営化(見直し)が一丁目一番地だ。そういった意味では総務大臣が視野に入っている気がする。最終的には両党首の話し合いだ」と述べ、総務相ポストを求める考えを示唆したとあるが、これは当然の話である。
上記を踏まえ、郵政民営化の見直しは重要であり、国家経済防衛の観点から喫緊の対処を要する懸案なのである。これを逆行だ、改革への抵抗だと騒いでいる連中は頭がおかしいとしか言いようがない。亀井静香氏の総務大臣起用こそ、最も重要なことである。
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