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社民党は新政権に参加すべきではない
政権交代時代における少数政党の存在意義について
佐藤弘弥2009/09/10
09年8月30日の衆議院選挙は、百年に一度と呼ばれる世界的な経済危機の最中に行われた。国民の多くは、社会全体が息の詰まるような生活全般の不安から何とか抜け出したい、の思いで一票を投じた。その結果、選挙戦は、ほぼメディアの予想通り民主党の圧勝に終わった。これにより、民主党が掲げた「政権交代」があっさりと実現した。
まさに国民生活を蔑(ないがし)ろにしてきた現政権への怒りが、津波のような勢いで、自公政権を政権の座から引きずり降ろした格好だ。言ってみれば、今回の総選挙は、主権者である国民が、自公長期政権へ「政権から退場せよ」との厳しい裁定を下したということになる。
新しく誕生する民主党政権は、国民の期待と希望を乗せた船に喩えられる。ところが、その希望の船だが、そののっけから蛇行を始めたように映る。三党連立協議(民主党、社民党、国民新党)の難航のことだ。問題は、民主党と社民党の外交、防衛政策のくい違いにある。このことについて、一言申し上げたい。
まず最初に言いたいことは、社民党という存在に対し、有権者の多くは、民主党が仮に国民の意識から離れた時の暴走を押さえる役割を期待しているのであって、それ以上、民主党政権の中心的役割を担うような存在として期待しているのではない。今回の総選挙の社民党への投票結果を素直に読めば、そのことは自明であろう。
しかも、社民党が、連立政権に参加することは、前政権の公明党のように、政権与党に入ることで、自らの存在意義を失いかねない危険性がある。
特に外交政策、防衛政策では、民主党との考え方の違いは鮮明である。政権に入れば、どうしても政治的妥協が必要となり、社民党の党是を封印することが重なってしまう。まさに公明党がそうであったように、政権にしがみつくことで、有権者が期待する存在としての政治活動ができなくなってくるだろう。
一方民主党政権にとっても、これはリスキーな選択だ。この背景には、当然、参議院での数の論理がある。民主党にとって、参議院では社民党の数の助けがいる。来年の参院選で、民主党が単独で参議院の過半数を獲得するまでは、社民党を無碍(むげ)に袖にすることはできないのであろう。
民主党政権にとって、政治を生活者である国民の目線に立ったものに大転換するという大目標がある。社民党もこの方針には異存ないところだろう。しかし民主と社民には、防衛政策において、決定的な違いがあり、これを棚上げにして、同じ政権に存在することは、事あるごとに政治的停滞を招きかねない危険がつきまとう。そしてこれは新政権が、有権者が期待する政策を実行しようとする時の障害にもなりかねない。
だとしたら、社民には、政権に入らないという選択肢も視野に置くべきではないか。共産党やみんなの党は、与党民主党には入らず、是々非々のスタンスを取るという。政権に入らずとも、より有権者国民の側に立つ政治行動があることを社民党幹部には知ってもらいたいものだ。
http://www.news.janjan.jp/government/0909/0909099986/1.php
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