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(回答先: Re: 【まるで奴隷:税金で作った道路にまた金を払って乗るw】高速道路無料化のすべての疑問に答えます 投稿者 官からアメリカ人へ 日時 2009 年 9 月 07 日 07:54:24)
天下りを根絶するには恐怖政治しかない
経済アナリスト 森永卓郎
2009年 8月18日
ここにきて、中央省庁OBの天下り人事が続出している。報道によれば、国土交通省の元次官である峰久幸義氏が、7月28日付で独立行政法人住宅金融支援機構の副理事長に就任することになったという。ちなみに、その前任は旧国土事務次官だった三井康寿氏だった。
文部科学省では、7月14日に退任した前事務次官の銭谷真美氏が、8月1日付で独立行政法人国立文化財機構の一組織である東京国立博物館の館長に就任した。このポストは、文部省時代から事務次官の天下り先として知られている。また、認可法人である公立学校共済組合の理事長には、元文科審議官で独立行政法人日本学生支援機構理事の矢野重典氏が就いている。
奇しくも、民主党がマニフェストを公表した7月27日直後の人事発表である。どうやら「天下り根絶」を叫ぶ民主党政権の樹立を見込んでのことのようで、いわば「駆け込み天下り」である。本当にひどい話だ。
とはいえ麻生総理も、何度も天下りを繰り返す「渡り」に対して、各省庁のあっせんを原則的に全面禁止するとしている。ところが、矢野氏の場合は3度目の再就職である。これを「渡り」と言わずになんといえばよいのか。
ふざけているのが、これに対する文部科学省の言い分だ。「文科省が間に入ったのではない」とあっせんを否定しているだけでなく、公立学校共済組合の理事長は公共性が高いので、「渡り」禁止の例外だといっているのだ。「公共性が高いから渡りではない」というその理屈は、わたしの頭ではまったく理解ができない。
はたして民主党政権になったら、本当に天下りが根絶できるのだろうか。
天下り役人1人当たり毎年1億円がかかっている
わたしは、民主党の天下り根絶の方針に対して、少々の不安を感じている。そもそも、民主党は天下りを全面禁止するのかと思っていたら、そうではないらしいのだ。先日、民主党の議員に会ったので確かめたところ、「民主党は、天下りを禁止するとはいっていない」と言う。「えっ?」と驚いたら、「天下りのあっせんをやめさせる」というのだ。
そう言われてマニフェストをよく見たら、確かに「ムダづかいをなくすための政策」として、「天下りのあっせんを全面禁止します」と書いてあった。
でも、あっせんしたかどうかなんて、どうやって判断するつもりなのか。もちろん、文部省の次官が、自分のお膝元に天下りをするのに、あっせんなしで行くとは常識では考えられない。しかし、相手は百戦錬磨の中央省庁である。証拠を隠滅して、「あっせんはしていない」と言い張られたときに、民主党政権はどう対応するつもりなのだろう。
そもそも、民主党は9兆円の財源を無駄の廃止でひねりだすと言っているが、その根本の部分が天下りである。天下りを全面禁止しない限り、財源は確保されない。
天下りに対して、どれほどの国費が投入されているかご存じだろうか。霞ヶ関の役人が天下りをすると、個室、秘書、専用車、海外旅行の4点セットがついてくる。実際には、その天下り役人の相手をするスタッフの人件費もかかるので、天下り役人1人あたり約1億円の費用が毎年かかってくるのだ。
しかも、その1億円をオブラートで包むための公益法人をでっちあげることも必要になってくる。これがまた無駄の温床である。それをばっさり切るとなると並大抵のことではない。霞ヶ関の反撃があるのは確実で、民主党は腰を据えて本気で戦う覚悟がないとならない。天下りが根絶できるかどうか、それはある意味で日本の運命の分かれ道なのである。
役人にとって天下り先は龍宮城のような世界
天下りに対する官僚の思い入れは相当なものがある。若い官僚はそれほどではないが、わたしと同じかそれより上の世代は、天下り後の贅沢で安定した生活を夢見て役人になった人が多い。そういう人たちは、天下り禁止などといわれたら、命をかけて抵抗するだろう。それは役人の立場になって考えてみればわかる。
ある公益法人の専務理事をやっている知人は、わたしにこう言った。「天下り禁止なんて冗談じゃないぞ! おれは補佐の時代に安月給で毎日午前2時まで働いていたんだ。そうやって役所に貯金してあるんだよ。いまは、その貯金を引き出しているだけなんだ。何も悪いことをしているわけじゃない!」そして、彼は毎日仕事場にやってきてはラジオ体操をしているだけ。そういう人がたくさんいるのだ。
仕事らしい仕事もなく、専用の部屋があって、秘書がいて、車は乗り放題。そして、思いついたときに視察という名の大名旅行ができる。そして、再就職のたびに莫大な退職金を手にできる。世の中に、こんなおいしい仕事はあるだろうか。天下り先は、龍宮城のような世界なのである。
その立場に自分をおいてみて、その権利を手放すかといわれたらどうするか。手放すわけがないだろう。正直言って、わたしだって、こんな生活をやらしてくれるといわれれば喜んでやる。
それだけのものすごい利権をはがすというのは、並大抵のことではない。しかも、現役時代はこうした人たちが現実の政治を動かしてきたのである。だから、歴代の自民党の総理大臣も「天下り根絶」をいいながら、誰も成功することがなかった。あの「破壊王」の小泉純一郎元総理でさえ、手も足も出なかったのである。もちろん天下りを禁止するならば、中央省庁の出世のシステム自体も変える必要があるが、それはまた別の問題である。
民主党がマニフェストを実現するためには、天下りを根絶しないことには財源は確保できない。だが、そのためには血みどろの戦いどころではなく、全面戦争を覚悟しないといけないのだ。そのとき、霞ヶ関は政治の言うとおりに動かなくなる。おそらく大混乱に陥るだろう。では、いったいどうすればよいのか。
はたして鳩山代表にえげつない役人対策ができるか
わたしは役人をやっていた時期があるので、役人の考えや根性をよく知っているつもりだ。役人を思いどおりに動かしたければ、恐怖による支配しかない。
犬や猫を飼っている人はわかるだろう。「かわいい、かわいい」と甘やかしていくと、犬も猫も横暴になって、主人を主人と思わなくなってくる。
そのときに、どうやって普通の犬や猫に戻すか。無理やり押さえつけて仰向けにして腹を出させるのだ。こうして、自分は主人よりも下の状態にいるということを徹底的に叩き込む。完全服従のポーズを強引にとらせることで、「主人がその気になったら、いつでもやられる」と思わせなければいけないのだ。民主党が霞ヶ関に対して、それをやれるかどうかがポイントである。
要するに、天下り問題で抵抗したら、有無をいわせず閑職に飛ばして、復活の芽さえも与えないようにする。そうした生贄を出して、「お前たちも、ああなってもいいのか」と全役人に見せつけるようにするわけだ。役人はいったんひっくり返ると弱い。みんな自分の身はかわいいのだ。「これ以上やるとやられてしまう」と思えば、そのラインより上に出てくることはなくなる。
問題は、そこまでえげつないことを、鳩山代表がやる覚悟を持っているかということだ。だが、それをやらなかったら、民主党のマニフェストはうそになってしまう。
民主党政権が樹立した場合、その内閣でもっとも重要な役割は、行革担当大臣(名称はどうなるかわからないが)だろう。そして、本当の意味での行革の成否は、その人がどれだけ血も涙もないことができるかどうかにかかっている。おそらく、小沢一郎氏が代表だったならば力づくでやったに違いない。となると、小沢氏が闇のなかでどう動くか、あるいは動かないかということも興味深い。
役人からはそうとう恨まれることになるだろうが、理念だけで行革を叫んでいても本当の改革はできない。気の毒ではあるが、だれか生贄を出さないことには役人の意識は変わらないのだ。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/sj/20090818/174593/
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