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民主大勝の陰に共産党「協力」の大きな影響
多くの選挙区で立候補を見送り民主党の得票をアシスト
さとうしゅういち2009/09/01
建設的野党を宣言している日本共産党。
参照:共産党「建設的野党」宣言のインパクト
建設的野党を宣言している日本共産党。今後が注目される(同党HP。キャプチュア筆者)
今回の総選挙では、多くの選挙区でその日本共産党が立候補を見送りました。今回、共産党は「自公政権退場」を呼びかけつつ「民主政権には提言していく」という態度を取りました。このため、立候補を見送った選挙区では多くの共産党支持者は民主党候補に投票したものと思われます。
その効果が、広島県内でも現われています。すなわち、共産党が立候補を見送ったおかげで、共産支持者が民主党に投票し、結果として、自民党を減らす結果になったのです。前回の衆院選では、「共産党空白区」は6区だけでした。今回は、2区、3区、4区、5区、7区が「共産党空白区」でした。
参照:第45回衆議院議員選挙・広島県 (ザ・選挙)
■共産党に「討ち取られた」中川秀直さん
自民党の幹事長経験者・中川秀直さんが、小選挙区でよもやの苦杯をなめた広島4区。実は5000票の僅差でした。
広島4区
102435 空本 誠喜 民主 新
97296 中川秀直 自民 前
4003 沖ゆり 幸福 新
前回の郵政選挙では、共産党候補が1万余り得票しています。
2005年
110046 中川 秀直 自民 前
67921 空本 誠喜 民主 新
10270 中石 仁 共産 新
共産党が立候補を見送った結果、民主党の空本候補が、共産党支持層1万をほぼ固め、中川さんを破る結果になりました。もし、共産党が立候補していたら、中川さんは小選挙区で当選していた可能性が高いのです。
■5区でも共産票が民主アシスト
広島5区では以下の結果でした。
99770 三谷光男 民主 前
93594 寺田稔 自民 前
2738 塚本能照 幸福 新
わずかに6000票差でした。前回は以下のような結果でした。
2005年(広島5区)
97383 寺田 稔 自民 前
91121 三谷 光男 民主 新
7765 角谷 進 共産 新
この結果からわかるように、三谷さんは、共産党の7700票を得ることで、当選できたのです。
今回の選挙では、終盤にすさまじい寺田陣営の追い込みがありました。なにしろ、池田勇人元総理の以来の世襲政治が続いた5区です。底力を寺田さん(行彦元外相の娘婿)が見せてくれましたので、共産党が立候補していたら三谷さんは危なかった。
一方で、広島1区では以下のような結果となりました。
95475 岸田文雄 自民 前
87557 菅川洋 民主 新
8945 藤本さとし 共産 新
5438 上村よしてる 社民 新
2889 中村文則 無所属 新
1393 山本浩徳 幸福 新
前回:2005年(広島1区)
107239 岸田 文雄 自民 前
58946 菅川 洋 民主 新
10698 長妻 亮 共産 新
10313 上村 好輝 社民 新
本当の事を言えば、1区の菅川さんのほうが、5区の三谷さんよりは、憲法問題や、消費税問題、原発問題などでリベラルな方です。共産党や社民党に比較的近い方なのです。他党派の立候補戦略に口をさしはさむのは僭越なのですが、共産党により近い人を増やす、という意味なら、5区の三谷さんのところに立候補者を送り、1区は見送る、でも良かったかもしれません。
ただ、これも結果論です。1区は通勤客も多く、ここで活動することは比例票につながるからです。全体として見れば、共産党は「自公政権の退場」をまず最優先とし、4区と5区では見事にそれをアシストしたと思います。
■民主党「だけ」では、新しい政治は難しい
今回の総選挙の特徴は、「民主議席増」にもかかわらず、共産党と社民党が議席を減らさず、現状維持で踏みとどまったことです。
これは興味深いことです。今まで、「民主が躍進すると共産、社民が減る」という構図がありました。ところが、今回は自公が減り、民主が圧勝、共産・社民は議席を維持しました。
ひとつは「民主党だけ」では不安、という人もそれなりにいたのではないでしょうか? もちろん、自民党から民主党に政権が代ったことは大きい。半永久的に政官業が一体となった自民党体制に依存していればよい時代は終わったのです。ただ、それに変わる新しい政治をつくる際、民主党「だけ」ではどうでしょうか?
大きな政党は、メンバーが幅広いために、却って意見がまとまりにくく、動きがとりにくいことも出てきます。そういうとき、良い方向で、共産党などが課題提起(乱暴な言い方をすれば「騒いでくれれば」)をしていくれれば、物事が前進することもあるでしょう。
また、民主党は官僚主導脱却はよいとしても、所得再分配強化という点では、保守色が濃い国民新党よりも、甘い点がある。どうしても「増税=消費税」という観念が抜けないのが民主党です。そういうときに、まだまだ日本は累進課税強化の余地がある、ということを共産党、社民党、国民新党などが提起してくれればよいのです。
子ども手当てや高速道路無料化についても、私だって「民主党マニフェストそのまま」でよいとは思えません。「民主党圧勝=全てマニフェストどおりにすべき」ということにはならないのです。それこそ、郵政選挙で圧勝したからといって、数の力で他のことまでゴリ押しした自民党と同じことになりかねません。
■民主党は共産党を後追いする?
各種控除を廃止する代わりにどういうセーフティネットを設計するのか? 高速道路も一律無料化でよいのか? 政策を立案し、法案にして実施していく段階にはもっと練っていく必要があります。
「建設的野党」の共産党には、思い切った提案をしていただきたい。そもそも、今の民主党の政策(後期高齢者医療制度廃止や、農業戸別所得保障など)は、共産党の模倣をした部分も多いのです。
もちろん、企業献金廃止など「よいこと」は、民主党がうやむやにしてしまわないうちにきちんと実行させましょう。民主党はちなみに中小企業への減税も主張しています。共産党の主張とも重なりますから是非、後押ししていただきたい。
■自民党の「野党能力」に疑問・・・共産党が活躍へ?
なお、「野党」になった自民党は、このままでは、「存在意義」自体が疑わしくなりかねない。もともとが、利権で結びついている集団だったからです。また、現に自民党会派が野党の自治体では、なりふりかまわない首長への嫌がらせがあります。広島市が良い例です。
参照:広島市 議会多数派の市長いびり
自民党の「政権担当能力」が不信感を招いたから自民党は政権から転落したのですが、「野党能力」にも疑問符がつきます。とくに、選挙戦後半、民主党へのネガティブキャンペーンに終始したことは、そうした不信を拡大しています。
閣内からは社民党や国民新党によるチェック機能に期待したいと思います。一方で、国会の与野党論戦の軸のひとつは「民共」対決になってくるのではないでしょうか。
http://www.news.janjan.jp/government/0909/0908319520/1.php
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