★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK70 > 114.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
http://www.the-journal.jp/contents/yamaguchi/2009/08/300.html
待ちに待った総選挙の投開票が明日に迫った。どの政党が勝っても今回は、政治家が有権者の「怖さ」を嫌というほど思い知る選挙になるだろう。これは自民も民主もどちらも同じだ。先週、朝日新聞が「民主、300議席うかがう勢い」と報じたのを皮切りに新聞各紙がいっせいに「民主300超え」の情勢調査を伝えた。政治記者や評論家の多くは、この時期の調査発表はアナウンスメント効果を呼び、より戻しが起きる可能性もあると指摘したが、中盤から終盤に至っても民主党優位に衰えは見られなかった。各社の生データや漏れてくる期日前出口の数字を聞くと怖いほどだ。もちろん、世論調査の数字と実際の投票行動には当然開きがあって現実の議席数は明日の投開票を待たねばならない。
それにしても、なぜここまで世論の差が開いてしまったのか。端的に言えば、自民に対する「不満」が民主に対する「不安」をまったく問題にしないほど、とてつもなく大きくなっていたということだ。なぜなら、有権者のほとんどが、民主党政権に期待をしていないことが、やはり世論調査によって明らかになっているからだ。朝日新聞の調査によれば、政権交代で日本の政治が「よい方向へ向かう」と思う人は24%に過ぎず、「変わらない」と思う人が56%もいた。民主党の政策の目玉である高速道路の無料化は67%が「評価しない」、財源については83%が「不安を感じる」と答えている。
つまり、「民主300超え」の民意の正体は、民主党に対する「期待」ではなく自民党に対する「怒り」であり、結局、選挙でテキトーなことを言って、政権を取った途端に気ままな政治をすればどうなるか、という話なのだ。
4年前、自民党は小泉純一郎首相の郵政選挙で「郵政民営化すれば日本はよくなる」と言って圧倒的な議席を得た。郵政は民営化されたが、地方経済は疲弊し「格差」が生まれた。低所得の非正規雇用労働者が増え、企業や株主は儲かっていながら国民生活は一向によくならないという社会が出現した。治安は悪化し、「相手は誰でもよかった」殺人が注目された。秋葉原無差別殺傷事件も土浦の通り魔事件も、岡山の突き落とし殺人も、この種の事件の背景には必ずといっていいほど雇用問題が控えていた。そしてこの間、首相が3回も変わって、肝心の郵政民営化も「かんぽの宿」問題に象徴されるような黒い思惑≠ェ露呈した。小泉元首相から数えて4代目≠フ麻生太郎現首相に至っては、国会で「私は郵政民営化には反対だった」とまで言い出す始末だ。
選挙を控え、新聞は各党のマニフェスト比較に力を入れていたが、こうした過去に対する査定・評価にはあまり熱心でなかったような気がする。週刊朝日では自公連立10年で日本経済がどうなったかを数字で示した。以下、その一部を紹介すると――。
10年前、自自公連立政権がスタートした日に1万7784円だった日経平均株価は麻生太郎首相が「解散宣言」をした7月14日の前日の終値9050円と約半分にまで値下がりした。これによって東京証券取引所の時価総額も99年10月末の411兆5000億円が、今年7月末時点ではマザーズ市場を加えても317兆524億円に減少し、10年で約94兆円の時価総額が吹っ飛んだ計算になる。
国の借金である公債金は10年前の小渕政権下で当時過去最高の38兆6160億円を記録し放漫財政の批判を浴びたが、その後も膨らみ続け、麻生政権の現在までに44兆1130億円と5兆4970億円も増えた。さらに、国と地方の長期債務残高は、99年度末で600兆円だったものが09年度末には816兆円と、この10年で216兆円、対国民総生産(GDP)比で168%にも膨らんでいる。
これだけの借金を抱えて経済がよくなったのかといえば、00年度の名目GDP504兆円から08年度名目GDP497兆円と約7兆円減り、完全失業率は4.6%から5.7%(過去最悪)へと上昇した。世帯年間平均所得は69.8万円少なくなり、家計貯蓄率は6.7ポイント減少、生活保護受給世帯数は約45万世帯も増えている。
こうした数字を把握していなくても、国民は生活がまるで良くなっていないことを実感している。もちろん、すべてが政治のせいばかりではないだろうが、新聞の調査で世論にあそこまで差がついてしまったのは、結局、こうしたことへの対応が評価されていないということだ。要は自民か民主かの選択ではなく「自民党以外なら何でもいい」ということなのだ。これではいくら選挙中に頑張っても挽回は無理だ。しかし、これまで自分たちがやってきたことの結果だから、受け入れるしかないのである。
逆にいえば、今回の選挙で自民と民主の差が開けば開くほど、それは民主にとっても恐怖となる。なぜなら4年後、こんどは民主党が今回の自民党のように、有権者から「査定・評価」を受ける立場になるからだ。高速道路の無料化や子育て手当など、民主党が掲げる政策はどれも生活者にとってはありがたいものばかりだ。しかし、自民党が批判するように財源や実現可能性が疑わしい。もし、選挙であれだけ大々的に宣伝しておきながら、実現できなかったらどうなるか?財源がなく赤字国債を発行したり、消費税値上げを言いだしたらどうなるか?
簡単だ。こんどは民主党が有権者の1票によって政権から引きずり降ろされることになるだけだ。もちろん、国民から評価される政治ができればその限りではない。選ばれる政治家も有権者も、こんどの選挙で初めて「1票のすごさ」を知ることになるだろう。もし民主党が世論調査の結果のように勝っても、そのことを忘れないほうがいい。
そして私たち有権者も、そのことに対する覚悟と責任を持って、投票に臨みたい。棄権などもってのほかだ。
投稿者: 山口一臣 日時: 2009年8月29日 22:03 | パーマリンク
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK70掲示板
フォローアップ: