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近年の日本では、福祉大国は高福祉だが、高負担で税金が高い為に競争力が低下し、社会の活力が低下し、国家が衰退すると言われて来ましたが、本当でしょうか。
信用バブルの破裂以降、苦境にあるとされているスウェーデンのホントウの姿を探ってみると、そこには以外な姿がありました。
ロバート・オーウェンの理想社会ではありませんが、本当に経済成長は必要なのでしょうか、必要なのは、強欲な金融資本やブルジョワジーだけなのでは・・・・・そんな疑問が次から次へと湧いてきます。
とにかく騙されたと思って読んで見て下さい。
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出展: http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1606
【スウェーデン・モデルは成功か失敗か】------JB PRESS
【福祉大国「素顔」を現地ルポ 2009年08月25日(Tue) みゆき ポワチャ 】
会福祉大国スウェーデン。税金と社会保険料負担が国内総生産(GDP)の50%という巨大な公共部門を抱え、年金や児童手当、傷病手当などの現金給付を国の事業(社会保険)として行い、全ての国民に平等で良質の生活を保障する社会を実現した。
しかし2008年以降の世界経済危機は、スウェーデン・モデルの根幹を揺るがし始めている。福祉大国の「素顔」を現地から報告する。
スウェーデンの教育は、私立も含めて小学校から大学院まで無料である。昨年、長男が小学校に入学したところ、教科書や教材はもちろん給食まで無償だし、個人が使うノートさえ支給された。コミューン(自治体)によっては、通学定期ももらえるという。
「学校で使う鉛筆や消しゴムを買わなくていいのか」「長男はなぜ手ぶらで通学しているのかなあ」と不思議に思っていたら、学用品は全て学校側が用意していた。
1クラスは十数人程度で、教室には楕円形の大きな机。その真ん中にある鉛筆や消しゴムを皆で共有し、自由に使っている。遠足など課外活動の費用も無料。ある学校が旅行のバス代を父兄から徴収しようとしたら、「違法行為だ」と問題になったこともあった。
1996年、筆者はヨーテボリ大学の日本語教師アシスタントとしてスウェーデンに赴任した。その後、市民権を得てスウェーデン人と結婚したが、国籍は日本のままである。それでも、スウェーデン語教室、大学、大学院修士課程まで学費は全て無料。しかも政府から奨学金をもらい、学生ローンを借りて生活してきた。
書籍も全て図書館が購入するため、個人ではほとんど買わずに済ませた。大学のコンピューターも自由に使え、プリントアウトも全て無料。ベクショー大学に留学した日本人の友人は、大学から住宅手当までもらっていたと言う。手厚い奨学金制度が整い、海外留学でさえ奨学金が支給される。親の所得や当人の財産などには全く関係なく、誰でも(外国人でさえ!)タダで大学や大学院で学ぶことができるのだ。
【教科書はボロボロ、バス旅行中止の自治体も】
とはいえ、1990年代以降の欧州の財政難や今日の経済危機は、スウェーデン経済にも暗い影を落としている。国民一人ひとりの生活にも、目に見える影響が出始めた。
依然として教育は無償だが、レンタル扱いの教科書は何年にもわたって引き継がれる。先輩たちが使ってきたテキストは、手垢にまみれてボロボロ。
テープで修理しながら使っているのが実情だ。小さい自治体はバスで行く修学旅行を取り止め、徒歩旅行に切り替えた。
外国人の親を持つ子どもは、家庭内で使う言語がスウェーデン語ではない場合、週1回ぐらい親の母国語で教育を受けられる。そのおかげでアラビア語や中国語を学べるのだ。
しかし、日本語をはじめマイナーな言語は希望者が少ないため、予算が付かずコースを開講してもらえない。長男と同じクラスの中国人の子どもは既に漢字をたくさん書けるが、うちの子はやっと平仮名が読めるくらいだ。
【歯科矯正まで医療無料だが、医師・看護師不足が・・・】
1928年施行の病院法は住民への医療サービス提供を国に義務付けており、医療費は20歳までは全額無料。歯科に関しては18歳になるまで、虫歯治療も矯正費用もタダである。
筆者はこの国で結婚して子どもを3人産んだが、出産費用も全て無料。乳児用の服やおむつ、母親が病院内で着る寝巻き、タオルやナプキンも病院に備えられていた。
「陣痛が始まったら、病院にスリッパだけ持ってきてください」と言われていたが、文字通りスリッパ以外の必需品が全て揃っていて自由に使えた。
ちなみに最初の子は出産時になかなか頭が出ず、会陰切開をしてもらった。3番目の子は帝王切開だったが、こうした手術費用も全て無料。
費用がかかったとすれば、出産直後に夫や上の子どもが赤ん坊の顔を見に来た際、一緒に行った病院内レストランでのランチ代ぐらいだったと記憶する。
しかし、財政難は医療現場にも押し寄せている。「国は住民への医療サービスを行う義務がある」と法律上は高らかに謳われているものの、実際に医者に診察してもらうまでは一苦労だ。
3歳になった直後、長男が高い滑り台からジャンプし、唇の端をザックリ噛み切ってしまった。ボードセントラーレン(Vardcentralen)という、自治体に属する診療所に連れて行ったが、状態がひどいので総合病院に向かった。
ルンド大学病院へ運んで専門医に診てもらい、切れた唇を縫合するため全身麻酔を行うことになった。 長男は飲まず食わずの状態で、痛みに震えながら真夜中まで待たされた。夫が怒りをあらわにして「いつまで待たされるのか」と大声を上げていなければ、もっと時間が掛かっていたはずだ。
病院内のスタッフは、同じ病棟内でも携帯電話で互いに連絡を取り合い、迅速且つ効率よく仕事しているのだが、それでも医師・看護師の不足はスウェーデン医療の深刻な問題になっている。
それに追い打ちを掛けるように、削減項目が1000を超える医療サービスコストの見直しが進められている。一部の総合病院では入院病棟のベッド数が3分の1〜2分の1まで削減され、外来救急は救急車搬送の患者以外を受け容れなくなった。
【高福祉・高負担のスウェーデン・モデルは破綻したのか?】
「住民全てに平等な社会サービスの実現」という理念に、カネが追いつかないのが現状だ。
このため、「福祉国家は経済効率が悪い」「グローバル経済競争の下では、高福祉・高負担の国家は生き残れない」と批判され、「公的部門の肥大化とその財源である税負担の増加をもたらしたスウェーデン・モデルは失敗」と決めつける論者もいる。
と言っても、これは新しい問題ではない。
1990年代後半の出生率低下を「スウェーデン・モデルの失敗」と指摘した学者がいたし、古くは1970年代からこのモデルの「破綻」「崩壊」が言われていた。
その要旨は、極端なまでの男女完全平等と女性の社会進出を実現し、子育てや介護を社会システムに組み込んだ結果、「ジェンダーフリー」による家族解体を促し、膨大な財政赤字を残して失敗したというものである。
「福祉国家は経済効率が悪い」というのは本当だろうか。
国民1人当たりのGDPだけでなく、労働時間も考慮に入れるとこの国の経済効率は決して悪くない。
ここでは数字を挙げて詳述することを避けるが、1つの例を挙げたい。
欧州連合(EU)が最近行った調査によると、スウェーデン人は加盟国中最長の休暇(年平均33日間)を取り、週当たり労働時間(37.5時間)も最短だという。
スウェーデン人は長時間働いて高所得を得るより、家族と過ごす余暇や充実した時間を大切にするのだ。
年金や医療保障が充実しているため、無理に長時間働いて高所得を得る必要性に乏しい。
税の負担率は、数字だけを比較すれば確かに高い。
しかし、筆者は「税金が高い」とぼやくスウェーデン人を1人として見たことがない。
国民の多くが「(政府ではなく)自分たちが選択したことだから」「自分の将来や子どもに返ってくるものだから」と認識し、不満を感じる人はほとんどいないように見える。
「重い税負担が国民の肩にのしかかっている」と批判するのは、国外のとりわけ日本と米国の学者と政治家ではあるまいか。
【結婚式や洗礼式でさえ・・・生活にカネのかからない国】
実際に住んでいて感じるのは、「低所得者ほど税をきちんと納めれば、それ以上のサービスが返ってくる」「基本的に生活にカネがかからない国だ」ということである。
市役所で職員の立ち会いの下、筆者は簡単な結婚式を挙げ、3人の子どもは教会で洗礼式を行った。そういったセレモニーにも、一切コストがかかっていない。式の時に子どもに着せる服や、参列者に簡単な食事とコーヒーを振る舞う会場ですら、教会がタダで貸してくれた。
と言っても、カネをかけて盛大な結婚式を挙げるカップルはたくさんいる。日本のお宮参りやお食い初めに近い洗礼式では、多くの親が赤ん坊の豪奢な衣装を自前で用意しているようだが・・・。
筆者の子どもは1歳時から託児所へ行った。少人数を預かってくれるところが歩いて数分以内に何軒もあり、負担額は所得に応じて決まる。私も夫も学生だったため、極貧に近い層に分類されており、子ども2人を9〜17時と預けても1カ月に数千円程度。「これでは子どものおやつ代にも足りないのではないか」と驚いたものだ。
アパートには、地下に大きな洗濯室と乾燥室があることが多い。住民が共同で使えるから、自分で機械を買う必要はない。室内には冷蔵庫や冷凍庫、オーブン、食器棚なども大抵は備え付けだ。したがって、引っ越しも非常に楽になる。
出産後は、夫と交代で育児休暇を取った。休暇中は働いていた時の給与の最大約80%を国が保証してくれる。ミルクやパン、チーズなどの基本的な食料は高くないから、贅沢さえしなければ十分に従来通りの生活ができる。
【夕飯作り・買い物は夫の担当、数字で測れない「幸福度」】
「主夫」が活躍する国(スウェーデン・ボロース市内のスーパー、筆者撮影) 「男女の平等や女性の社会進出が進んだ結果、福祉国家は家族を解体した」というのは本当だろうか。
筆者の体調が悪くなった時、夫は私より先に「妊娠だ」と看破した。性教育も含め、徹底した「男女平等教育」の成果を垣間見たとの思いがした。
出産時には夫が終始立ち会い、3人の子のへその緒も彼が切っている。
男と女はもちろん生物学的に差異があり、それは出産という行為において最も顕著だろう。だが、この国で男女の社会的な性差は限りなく縮小され、この「聖域」ギリギリの所まで来ている。
1週間のうち5日は夫が夕飯を作り、スーパーでの買い物もほとんど彼が担う。スウェーデン語が面倒な私の代わりに、子どもの学校の手続きや先生との話し合いも、ほぼすべて夫が主導している。
これは我が家に限ったことではない。スウェーデンで家庭を持ち、生活している日本人女性は「今さら日本には行けないわ」「日本で子育てできないよね〜」と口を揃える。
これを「男女の役割の喪失」あるいは「家族の解体」と定義するのは自由だ。
その一方で、所得やGDPといった数字だけで「幸福度」が測れるものでもない。
スウェーデン・モデルは「生活インフラ」と「セーフティーネット」をキメ細かく充実させながら、進化を続けてきた。それを可能にした原動力は、やはり「教育」なのだ。
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みゆき ポワチャ Miyuki Puaca
在スウェーデンのジャーナリスト。埼玉県生まれ。1996年スウェーデン・ヨーテボリ大学で日本語教師、1997年ロンドン・スクール・オブ・ジャーナリズム基礎コース終了、2004年スウェーデン・ルンド大学大学院経済学修士課程終了。スウェーデン中西部のボロースでスウェーデン人の夫、子ども3人と在住。
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(ひとこと)
「税金が高くなり、活力が無くなる」などとワメイテいるのは何処のダレなんでしょうか・・・・
私の記憶では、人肉食種のブルジョワジーの方々やセレブと称している搾取階級の方々のような気がしてますが。
国家が多額の税金を投入し社会資本を整備し、企業を育成するのは何の為でしょうか。
ブルジョワジーの方々は賃金が上がり、儲けが少なくなったり、税金を取られるようになると、国家や国民が企業に対して行なってくれた「優遇措置」という「アメ」だけを取って逃げていきます。
全くの恩知らずですな・・・・イヤ、泥棒かもしれません。
彼らにとって国家や国民は自分の儲けの為の手段でしかなく、見捨てた地域や労働者や高齢者が食えないのは、企業の責任ではなく彼ら自身の問題であり、世界競争に負けてしまうからとの事です。
私には「資本の論理」や「自由競争」は実際には、イナゴのように安い労働力や有利な条件を求めて世界を徘徊するための口実のように思えます。
国民国家である筈の国家が国民を使い捨てにし、貧困層が増加し、基本的な人間生活ができないようでは、いったい国家はだれの為にあるのでしょうか。
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