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http://news.goo.ne.jp/elex/news/article/newsengw-20090819-01.html
■本日の言葉「don't know for sure」(はっきりとは分からない、確証はもてない)■
英語メディアが日本をどう伝えているかご紹介するこの水曜コラム、今週はやはり衆院選公示について。しかも、今まで全くご紹介できていなかった、アメリカの保守系シンクタンクが日本の政権交代の可能性をどう分析しているかについて、です。(gooニュース 加藤祐子)
○選挙戦キックオフ
いよいよあと10日余りで選挙です。18日の「衆院選公示」を英語メディアはさすがにあちらでもこちらでも報道。すでに投票日が決まっていても「公示」をもって選挙活動が正式に始まるという日本の選挙独特のこの通過点について、BBCは「Campaigning has formally begun(選挙戦が正式に始まった)」と。AP通信は「Campaigns begin(選挙戦開始)」と。また、英語メディアと呼べるかどうかですが、新華社英語版とアルジャジーラ英語版は共に同じ 「Japan election campaign kicks off(日本の選挙戦キックオフ)」という見出しで伝えていました。
そんななか、これまで総選挙に向けての解説や分析というと主にイギリスのメディアばかりだったのですが、今回は17日付の米ウォールストリート・ジャーナル紙がワシントンの保守系シンクタンク研究者による詳しい解説記事を載せていたのが目を引きました。
「The New U.S.-Japan Alliance: Washington will have to work harder, but the DPJ will stay loyal.(新しい日米同盟――ワシントンはもっと努力が必要だが民主党の忠心は変わらない変わらない)」という解説記事は、ワシントンの保守系有力シンクタンク「アメリカンエンタープライズ研究所(AEI)」のアジア研究員ダン・ブルーメンソール氏と、戦略研究員ゲリー・シュミット氏によるもの。
両氏もやはり民主党がおそらく勝つだろうと予測し、「その潮目の変化(sea change)は、米政権がアジア太平洋安全保障の礎石と位置づけている日米関係に、どう影響するのだろう?」と問題提起。
○誰にも確証はもてない
「手短に答えるならば、誰も確証は持てない(nobody knows for sure)」というのが、いきなりの結論です(ちなみにここでちょっと英語解説を差し挟むと、「noone knows for sure(誰もはっきりしたことは分からない、確証はもてない)」、「I don't know for sure(私にははっきりしたことは分からない)」というのは、よく使う便利なフレーズです。「don't know for certain」とも言い換えられます)。
ただし、ただ正直に「確かなことは分からない」と言っているだけでは解説記事にならないので、両氏は「おそらく」ベースで8月30日以降の展望を予測しています。繰り返しますが、AEIは共和党に強い影響力をもつ有力保守系シンクタンクです。オバマ政権には基本的に批判的なので(チェイニー前副大統領が講演の場に選ぶほどの)、ここでブルーメンソール、シュミット両氏が書いていることがオバマ政権の対日政策にいきなり影響するとは思えませんが、読む限り、保守とかリベラルとかいう偏りはあまりなく、ワシントンの対日観の最大公約数的な部分をすくいあげているような気がします。
いわく、野党としての民主党は日米同盟について自民党よりもかなり懐疑的で平和主義的なスタンスをとってきたが、いざ政権獲得が現実味を帯びてきた今、対米姿勢を軟化させていると。なにせ「小沢一郎のような民主党幹部は、情け容赦ないほどプラグマティック(ruthlessly pragmatic)に現実的だという評価を得ているのだから」と。さらに「前原誠司のような、若いが重要な民主党メンバーたちは、保守的でタカ派だから」と。故に「端的に言えば(In short)」日本政府の外交は「極端には変わらないだろう(is unlikely to change drastically)」と。
けれども「ワシントンは自分をからかってはならない(Washington should not kid itself)」と。これはわざと直訳しましたが、つまり米政府はきちんと現実を見つめなくてはならないと。なぜなら、日本の政治は確実に変わるから。日本に真に競争力のある野党が出現するというのはつまり、日本の安全保障政策はもはや与党重鎮と高級官僚だけで決めるものではなくなり、国民世論が影響するようになり、同盟国・日本はアメリカに対してきっちり主張する国になるということだから。そう言うのです。
○「明るい側面もある」
そしてこの記事いわく、日本の政権交代には「明るい側面もある(There are bright sides)」と。民主党政権の誕生は米国にとってもチャンスだと。自民党と違ってアジア外交重視を掲げる民主党が政権をとれば、日本は東アジア地域において中国と並ぶ主要リーダー国となることができるし、そうすれば中国の急速な台頭を懸念する米政府にとってのメリットにもなると。
さらにこの米保守系シンクタンクの研究者たちは、私がこれまで紹介してきた主に英国人リベラル系新聞記者と同じようなことも言っています。「Japan will become a more "normal" liberal democracy (日本は以前よりも「ノーマルな、正常な、普通な」自由民主国家となる)」と。そして「A more equal partner could become a stronger partner(より対等なパートナーは、より強力なパートナーになることができる)」と。こうした「政権交代のある正常な民主国家」に対する本能的な信頼というのは、リベラルだろうが保守だろうがアングロサクソンの政治感覚において基本中の基本といえるベーシックな安心感なのだと思います。
ただし、「アジアの様々な課題やチャンスに取り組むための、戦略的な道しるべは、主に日本なのだとオバマ政権は認識していない」のだそうで、その認識がなければ良好な日米同盟の維持は難しいという締めくくり。つまりはやっぱりオバマ政権批判なわけですが。とりあえずアメリカの保守派も「確かなことは分からない」なりに、イギリスのリベラル系メディアと同様に、8月30日以降の日本を「明るい側面もある」と捉えようとしているというのは、日本にとっても明るい材料ではないかと思います。
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