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アメリカの周到な対日経済戦略・改革幻想の罠からの脱出 『平成経済20年史』(紺谷典子著)書評!! 【神州の泉−高橋博彦】
http://www.asyura2.com/09/senkyo69/msg/716.html
投稿者 弥太郎 日時 2009 年 8 月 24 日 15:49:59: 2j9DCs8Lv3S7M
 

【神州の−高橋博彦】
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2009/08/post-8a1f.html

2009年8月24日 (月)
『平成経済20年史』(紺谷典子著)書評!!

 今年の1月下旬頃だったと思うが、エコノミストの紺谷典子さんからメールが来て、『平成経済20年史』(幻冬舎新書)という本を出したので、高橋さんにも送りたいが、名刺を紛失したので住所を教えて欲しいとあった。管理人は、小林よしのり氏の季刊誌『わしズム』で、紺屋さんの記事を読んで以来、憂国のエコノミストとして、とても尊敬していた。管理人が大好きなエコノミストである。なるべく彼女のテレビ出演や記事には注目していた。

 ところが、国益派の紺谷典子さんは小泉政権以降、植草一秀さん、森田実さんなど、小泉政権を痛烈に批判する有識者たちと同様に、大きなメディアの表舞台から遠ざけられてしまっていた。小泉政権の国益派パージに引っ掛かったのだ。管理人は本を送っていただけると聞いて、厚かましくも先生のサインを本にお願いしますと、ミーハー的に言ってしまったが、送られてきた本にはきちんとサインが書かれていたので、とても恐縮した次第である。

 嬉しかったので、先生の書評を「神州の泉」に書きますと言ったように記憶しているが、管理人はだらしなくて、書評が今日まで延びてしまい、大変申し訳なく思っている。

 さて紺谷さんの『平成経済20年史』は、平成20年の経済通史であるが、内容の集中度といい、分析といい、平成の経済傾向と小泉政権を語る上で、第一級の資料と言っていい。特に小泉政権が行った非道な構造改革の本質を見究めるうえで、この本の価値は測り知れないものがある。財務省(旧大蔵省)や日銀批判といい、不況に有効な手を打たない政府批判といい、紺谷さんの舌鋒は小気味よいほどに鋭利で、見事に本質を衝いている。紺谷さんが言うように、平成経済は休む間もなく“改革”の嵐だったが、その改革がどういう出力を出したのかという視点に力点を置いている。

 淡々と叙述されているが、国民を苛めるパワーに対して紺谷さんの熾烈な怒りが随所に迸(ほとばし)っている。経済通史ではあるが、こんな痛快な読み物もない。「神州の泉」の読者さんなら、この本が小泉売国政権の本質を語るうえで、歴史的経緯を踏まえた重要な説明に終始していることがわかるだろう。

 紺谷さんは管理人に宛てた手紙のなかで、下記のように書いている。

「この20年は、改革という名の改悪に明け暮れた20年であったと存じます。改革が進めば進むほど、日本経済と国民生活が悪化するのは不思議なほどでした。国民生活の再建を犠牲にして財政再建のみをめざす財務省、日本経済の正常化を犠牲にして金利正常化をめざす日銀、そしてそれを黙認してきた多くのマスコミと専門家に対して、ささやかな抗議を試みました」

 管理人は著書を読了して、上記の「ささやかな抗議」という表現を思い出し、にんまりとした。「ささやか」どころか、紺谷さんの政治批評はいっさいの妥協を許さない猛烈なものだ。管理人はその歯に衣を着せない紺谷流の語り口が大好きなのだ。その意味でこれほど痛快な読み物もない。平成の経済通史であるから、時系列的にその時々に起きていた経済事象を、紺谷流視点で丹念に説明し、痛烈な分析、批判を加えているところは読み応えがある。

 『平成経済20年史』を読み進めていくうちに、小泉政権という破壊的な政治現象にいたるまでの、日本のリアルな経済推移がよくわかる。平成の20年を紺谷さんの本で俯瞰すると、アメリカの対日経済戦略の緻密、かつ用意周到な計画が浮かび上がってくる。

 日本は御用有識者ばかりがのさばっていて、植草さんや紺谷さんのように良心を捨てず国民目線を保った有識者は稀有な存在である。改革、改革と目の色を変えて呼号し続け、日本をグローバル資本主義とアメリカの経済戦略に合わせて来た有識者どもは許しがたい。改革は無条件に善だという暴力的な前提を国民に押し付けてきた勢力は、国民の審判を受ける必要がある。

 紺谷さんの基本思想は、管理人の思いに似ているところがある。第2章の「日本異質論」の最後で著者は言う。

「どの国も与えられた条件の中で、自国に最も適したシステムを自然に選択しているはずである。それぞれの国の条件が異なる以上、結果として選択されるシステムが同じであるわけはない。資本主義の形も一様ではない。それぞれの国々は、それぞれに異質な、というより個性的なシステムを持っているのである。」(P37、第2章「改革」という名の破壊」

 日本の独自性を捨てるなという強い意志が感じられる。これからもわかるように、紺谷さんのこの本はグローバル資本主義の趨勢に対して痛烈なアンチテーゼとなっている。別な言い方をすれば、紺谷さんは女のサムライなのである。女傑なのだ。アメリカ・スタンダードは最適な経済思想だ、グローバル資本主義は不可避な世界潮流だ、という巨大な虚構に幻惑され、日本人はそれを盾に押し付けたアメリカの外圧(内政干渉)を受け入れてしまった。その結果、小泉・竹中構造改革なる「悪魔の国策」が誕生してしまったのだ。

 第20章「誰のための郵政民営化」では、小泉氏は、出口の統廃合を論じるよりも、入り口の郵貯・簡保の民営化にこだわったと書いてある。この固執は植草さんが、小泉政権発足時の一年前、小泉氏にレクチャーに行った時、郵政民営化の正常な方向性は入り口論よりも出口論にあると言った時、小泉氏が激怒した場面を思い出す。

 紺谷さんは面白い。小泉純一郎氏が郵政民営化出口論が本末転倒で「郵政三事業」の見直しこそが、突破口だと言ったことに対して、「そこに資金があったからだ」という「入り口論」は、「盗んだのは、そこに物があったからだ」という暴論に等しいと喝破している。実は紺谷さんのこの表現は、小泉構造改革の本丸である「郵政民営化」の本質を衝いているのだ。

 要するに小泉氏の本音は、ゴールドマン・サックスに貢ぐための郵政資金(郵貯・簡保の340兆円)がそこにあるから、俺は入り口論に強くこだわるのだと言っているに等しいことになる。(笑)だが、ことは笑い事ではない。国家経済の崩壊に直結する深刻な事態なのだ。日本郵政に売国奴の西川善文氏が温存された現状は、国民の大事な財産である郵政資金が外国へ流出してしまう瀬戸際にあることを示している。もはや一刻の猶予も許されない。

 紺谷典子さんの『平成経済20年史』は、小泉・竹中構造改革の売国本質と、歴史的経緯を把握するには、格好の書物である。是非、皆さんに読んでもらいたい。強くお勧めする。

 下記に各章の項目を書いているが、すべての章に有益な分析と批判があり、管理人はそれらを細かく書評したい強い誘惑に駆られるが、それでは営業妨害になるから、やめておく。それほどまでに、この本は紺谷さんの思想と、彼女の一貫した倫理観の集大成になっているのだ。これほど濃度の高い本は、滅多にない。経済に精通している人も、疎い人も抵抗なく読める本である。

 紺谷典子さんの『平成経済20年史』を読めば、平成の20年に及ぶ「改革幻想の罠」から、完全に逃れられるのだ。是非、読んでもらいたいと思う。

                             管理人 高橋博彦
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平成経済20年史 (幻冬舎新書 こ 9-1)
著者:紺谷 典子
販売元:幻冬舎
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『平成経済20年史』(幻冬舎新書)

第1章 平成の20年が日本を壊した

第2章 「改革」という名の破壊

第3章 バブル崩壊

第4章 回復のチャンスを潰した

第5章 橋本改革

第6章 橋本郵政改革

第7章 作られた「財政危機」

第8章 金融ビッグバン

第9章 拓銀と山一

第10章 「ダメな銀行は潰せ」

第11章 外資だけが利益を得た

第12章 回復なくして改革なし

第13章 小泉改革が始まった

第14章 道路公団の民営化

第15章 意図された金融危機

第16章 景気回復の嘘

第17章 格差の拡大と日本的経営の破壊

第18章 年金は本当に危機なのか

第19章 医療崩壊

第20章 誰のための郵政民営化

最終章 サブプライム・ローン問題の教訓
 

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