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2009.08.19 Wed 12:08
公職選挙法:選挙期間中のブログ・ウェブページでの政治的言論表明は違反?
18日に衆院選が公示されたが、やんなっちゃうのは、ブロガーの中に、公職選挙法で、選挙期間中のブログ・ウェブページでの政治的言論表明が規制されていると勘違いされている人が多いことである。
2007年の参院選前に政党と何の利害関係がない国民が選挙期間中にブログなどで特別な政党や政治家を応援することが違反に当たるかどうか調べた結果、公職選挙法には違反しないという結果に至ったことをもう一度、申し上げておく。詳しくは下記のエントリーをご参考いただければと思う。
選挙期間中のブログ・ウェブページでの政治的言論表明は公職選挙法には違反しない
ちなみに、総務省はこの情報を知られたくないらしく、上記のエントリーはタイトルを入れてもGoogle八分されている。携帯用のサイトだけがトップに表示される。ネットで公示日以降、選挙直前に国民が政治についてブログに書いたら、自民党にとってかなり不利な展開になるからではないだろうか。だから、実際は規制されていないのに、規制されているかのようなフリをしているのだろう。きっとこのエントリーもGoogle八分されちゃうんだろうなぁ。
さらに、日付が書いてないのでいつされたのかわからないが、総務相のHPがリニューアルされたようで、上記の文中で紹介した「総務省によるIT時代の選挙運動に関する研究会」のPDFファイルへのリンクは切れていた。そのファイルの最後は下の文面で結ばれていた。
現行の公職選挙法においても、電話による選挙運動は第三者が自由に行うことができるのであるから、研究会としては、ホームページによる選挙運動は第三者が自由に行うことができるよう、主体制限をかけないことが適当であると考えられる。
このファイル、新しい総務省のHPを探しても全く見当たらないのだが、総務相から変更したとの報告もでていないことだし、現在でも有効と思われる。もし、読者の方で、総務相のHPでブログでの政治的言論表明の規制についての記事など発見された方がいらっしゃったら、コメント欄で教えていただけたら嬉しい。
しかし、ブログサービスによっては、「不正をしながら芸能人を気取る赤城徳彦農相」というエントリーで紹介したように、ブログ上での政治的言論表明は一切禁止されている時代遅れのブログサービスもあるので気をつけるべきだと思う。
関連過去ログ:
選挙期間中のブログ・ウェブページでの政治的言論表明は公職選挙法には違反しない
『Matiblog』 no_action_letter総務省の迅速な対応 (2005/08/29)より抜粋。
総務省法令適用事前確認手続規則(平成13年8月29日総務省訓令第197号) 第3条第2項の規定に基づき、下記のとおり照会します。
なお、照会者名並びに照会及び回答内容が公表されることに同意します。
記
1 法令の名称及び条項
公職選挙法、特に146条、148条
憲法21条
2 将来自らが行おうとする行為に係る個別具体的な事実
(1) インターネットのウェブページ(特にいわゆるブログ)を用いて、一般に公表して、衆議院議員選挙の立候補予定者および立候補者、政党などを、その特定の氏名・名称を挙げて、政治姿勢や選挙運動など一切の行為を指摘し、批判または積極的評価を下す行為
(2) 前項の行為を、対象となる候補者および政党の特定の氏名・名称を挙げないでする行為
(3) 特定の選挙区内または選挙区をまたいで、複数の候補者に関する政治姿勢や政見、選挙運動など一切の行為を指摘して比較する一覧表を、インターネットのウェブページ(特にいわゆるブログ)を用いて一般に公表する行為
3 当該事実が照会法令の適用対象となる(ならない)ことに関する照会者の見解及び根拠
公職選挙法第146条は以下のように定めている。
「何人も、選挙運動の期間中は、著述、演芸等の広告その他いかなる名義をもつてするを問わず、第142条(文書図画の頒布)又は第143条(文書図画の掲示)の禁止を免れる行為として、公職の候補者の氏名若しくはシンボル・マーク、政党その他の政治団体の名称又は公職の候補者を推薦し、支持し若しくは反対する者の名を表示する文書図画を頒布し又は掲示することができない。」
これによれば、上記2記載の行為は禁止されているようにも思われる。
しかしながら、憲法21条は表現の自由を保障しており、しかもこれは国民主権主義を具体化するのに必要なツールとして、特に政治的言論に関しては手厚く保障されるべきものである。このことは裁判の公開制限(憲法82条)の例外や名誉毀損の免責事由などにも現れている。
加えて公職選挙法は平等公平な選挙を実現することを目的としており、その限りで憲法の定める自由を制約することとなってもやむを得ないが、その制限は可能な限り少なく、かつ明白かつ現在の危険を避けるために必要な限度にとどめられることが、憲法の許す範囲の制限である。
従って、一般市民が、衆議院議員選挙の公示前後を問わず、政治的意見の表明をすることは推奨されこそすれ、法的制限にかかるものではなく、公職選挙法の上記条文もまたその趣旨に従って解釈すべきである。
なお、146条は「何人も」とあるが、その行為は142条または143条の禁止を免れる行為としてであるため、選挙運動のためにすることが要件となっている。上記2記載の各行為は選挙運動のために行うものではないが、禁止をされるには選挙運動のためにされていることが立証されなければならない。従って、公職選挙立候補者との委託関係が立証されない限り、一般市民がその政治的見解を特定の候補者名・政党と結びつけて表明することは、当然許され、またそれがインターネットのウェブページやブログを通じて公開されることも禁止されるべきでない。
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なお、この選挙の話とは別に、ノーアクションレターはもっともっと活用されて良い。国会議員の質問主意書と同様に、行政庁の見解を正式に問う正式の制度であり、回答義務が原則としてあるからだ。
ブログでルポルタージュを行う方々なども、活用してみてはどうだろうか?
『Matimulog』election:総務省の回答で紹介されていた「総務省によるIT時代の選挙運動に関する研究会」のPDFファイルの中に「第三者の選挙運動について」という項目があるのだが、その最後には、下記の結論が記されていた。現在は、総務相HPがリニューアルされて、このPDFファイルは見当たらない。
現行の公職選挙法においても、電話による選挙運動は第三者が自由に行うことができるのであるから、研究会としては、ホームページによる選挙運動は第三者が自由に行うことができるよう、主体制限をかけないことが適当であると考えられる。
「憲法21条は表現の自由を保障しており、しかもこれは国民主権主義を具体化するのに必要なツールとして、特に政治的言論に関しては手厚く保障されるべきものであり、公職選挙立候補者との委託関係が立証されない限り、一般市民がその政治的見解を特定の候補者名・政党と結びつけて表明することは、当然許され、またそれがインターネットのウェブページやブログを通じて公開されることも禁止されるべきでない。」というのは、町村教授の意見だが、全くその通りだと思う。
私の場合、公職選挙立候補者との委託関係は全くないので、これからも堂々と意見を書いていこうと思う。
参院選公示日以降のブログでの言論規制について
東京都選挙管理委員会の参議院選挙のHPを見てもブログに書いてはいけないことなど何も規制されていなかった。あるのは、候補者に対する規制が「選挙Q&A(選挙運動と政治活動 )」というページに書かれているのみ。
少し前に記事に下記の3つ全部を含むと選挙運動に当たるので違法になるというのをどこかで読んだ覚えがある。ただこれも私個人としては候補者に対する注意だと思うのだ。
選挙運動性(3つの観点)・・・選挙運動に関わる内容か否か
・選挙の特定(日付)
・候補者(政党)の特定
・投票依頼
たとえ、これが一般ブロガーに適用されるとしても、選挙名を書かずに「私は小沢一郎を応援しています」と書いても何ら問題ないことになる。投票依頼というのは、「参院選では民主党を応援しよう」というのが投票依頼になるかどうかによるが、「ぜひ民主党に投票して下さい。」というのは依頼だが、投票しようというのは、呼びかけであり、投票依頼にはあたらないと思う。
つまり、日本には今のところ選挙公示日以降に一般市民が言論の自由を規制する法律は皆無だということだ。法律がないものを守るすじあいはないので、私は今まで通り、与党批判の記事を続け、応援したい政党は応援して行こうと思う。
ただ、これは、私個人の意見なので、みなさまも自分で考えてからブログに書くことを決めて欲しい。自分の責任は自分で取るべきだろうと思うので。
それにしても、読者の方からのコメントで、goo以外にもアメブロでこういった言論の自由の規制をしていると聞いたが、とんでもないことだと思う。公職選挙法というのが候補者に対する法律であるということを本当に知らないで一般市民の言論の自由を規制しているのか、それともこれが候補者に対する規制だと知っているのにそれを一般市民に適用しようとして規制しているのか、その辺はよくわからないが、後者だとしたら、こういった権力にすりよったブログサービスを利用するのは考えものだ。私だったら、絶対に利用しない。
参議院選挙まであと16日となった。公示日をすでに向かえたわけだが、東京都選挙管理委員会委員長の小倉基氏による下記の挨拶や前述の東京都選挙管理委員会の参議院選挙のHPでも投票を促すのが主でブログでの言論規制についてはひとことも触れていない。
関連記事:
数々の規制「時代遅れ」=公約配布制限、ネットもご法度【09衆院選】
(時事通信社 - 08月19日 06:12)
(前略)
ネットの人口普及率は総務省調査で75%を突破したものの、本来ネットは選挙運動には使えない。しかし、各党は事実上のマニフェストをホームページ上に公開。公明党広報部長は「事前運動と指摘されないようテキスト版を載せた」とし、各党とも表向きは「選挙公約ではなく、政権政策」。公示後は更新もできないため、「こうでもしないと政策が伝わらない」というのが本音だ。
「べからず法だ」と批判し、議員立法による早期改正を訴えるのは、10年以上前から全国で公開討論会の開催支援を行っている「リンカーン・フォーラム」の内田豊事務局長だ。総務省から「公示前は問題ない」とお墨付きを得たのに、地方の選挙管理委員会から選挙違反と開催中止を求められたケースが過去100件以上もあり、「間違った思い込みも多い」という。
歯がゆいのは公示後。第三者による主催が禁じられているため、「合同個人演説会」の形で企画しても広報すらできず、「規制が重くのし掛かる」と話している。
関連資料:
ISSUE BRIEF
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/0517.pdf
我が国のインターネット選挙運動―その規制と改革―
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/0517.pdf
国立国会図書館ISSUE BRIEF NUMBER 517(MAR.6.2006)
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/0517.pdf
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