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2009年8月19日 (水)
日本で無血市民革命=政権交代が成功する理由
7月31日付本ブログ記事再掲載
私は民主党を絶対視しない。
民主党が危ういと思う点も多くある。
しかし、現実を変化させるには、現実のなかから選択肢を見つけなければならない。現状を変革するには、民主党に中核的な役割を担ってもらわなければならないと考える。
「変革」とは何か。
最大の「変革」は政治の主人公が変わることだ。
これまでの政治を振り返ると、政治の主人公は「国民」ではなかった。「国民」はうまく利用されてきただけである。
誰に利用されてきたのか。
@特権官僚
A大資本および特権階級の個人
B政治屋
による「利権互助会」にである。この「利権複合体」に新たに加わったのが、
C外国資本
D御用メディア
である。
これを私は「政官業外電=悪徳ペンタゴン」と呼んだ。
国家予算の規模は、一般会計、特別会計を合わせて207兆円。国債費や繰入金の90兆円と社会保障給付の46兆円を除くと71兆円。日本のGDP497兆円の14%にあたる資金が政府の手に握られている。「利権互助会」はこの巨大な政府資金と政府の許認可権に群がる。
自民党は2007年の実績で、168億円の企業献金を受け取った。企業献金を禁止する代償として導入された政党助成金に基づく交付金は、自民党の場合、2007年に166億円だった。自民党は今なお政党交付金を上回る企業献金を受け取っているのだ。
民主党は同じ2007年、企業献金を18億円受け取り、政党交付金を111億円受け取った。
自民党への168億円の企業献金が示すのは、自民党政治の目的が大企業の利益追求に置かれてきた可能性の高さだ。
政治屋は企業から各種陳情を受けて、その意向を反映する政策立案を高級官僚に任せる。高級官僚は各種業界を監督する立場におり、政治屋から発注された仕事をこなす一方で、業界や国費の負担による巨大な「天下り利権」を確保する。
政官業は相互癒着の関係を作る。これが強固なトライアングルを形成して、日本の政治を支配してきた。
自民党が与党、社会党を軸とする政党が野党の図式が長く続いてきた。55年体制と言われる。
日本経済が成長を続けていたころ、「労働」と「資本」の対立は尖鋭化しないで済む状況にあった。経済のパイが増大し、「資本」も潤い、「労働」もそれなりに潤う時代が続いた。
「資本」と「労働」は対立せずに労使協調が成り立つ部分が大きかった。
政治の世界でも、自民党と社会党が表面では対立しても、テーブルの下で手を握る図式が持続した。
しかし、1990年を境に時代環境は変化した。
三つの大きな変化が生じた。
第一は、冷戦が終焉したことだ。中国などの新興国が急成長し始めた。企業は生き残りのために、労使協調を言えなくなった。
第二は、日本のバブル経済が崩壊したことだ。1990年から2009年まで20年に及ぶ長期停滞が日本経済を襲った。経済の長期停滞の最大の理由は、政府の経済政策運営の失敗にあった。経済の停滞持続も労使協調を破壊する要因になった。
第三は、ITの飛躍的発展により、多くの事務労働者の地位が低下したことだ。企業は事務労働者の賃金引き下げに本格的に動いた。
これらの三つの要因によって、社会に重大な変化が起こった。企業は生き残りに全力疾走で向かい、戦後日本が築き上げた「総中流社会」の破壊に動いた。「共生社会」が突然「格差社会」、「生存競争社会」に変質した。
この時代環境を踏まえれば、政治は、「市場原理主義」ではなく「セーフティネット重視」に舵を切らなければならなかった。世界の大競争のなかで、企業が生き残りのために「格差創造」の方向に動く。この企業の行動によって発生する「ひずみ」を吸収するために、政府は「セーフティーネット強化」の方向に舵を切らなければならなかったのだ。
ところが、不幸なことに日本の現実は逆の方向に向かった。2001年に小泉政権が発足し、「市場原理主義」を政策方針の中心に据えた。経済の構造変化と、その変化を加速させる「格差創造」の「市場原理主義」によって、日本社会はあっという間に世界有数の「格差社会」に変質した。
年収300万円以下の労働者が50%を突破する一方、年収700万円以上の労働者は10%しかいない。ほんの一握りの労働者が「勝ち組」である一方、労働者の半分以上が「負け組」に押し込まれてしまった。
この時代環境の下で、自民党は巨大な献金を受け取っていることを背景に、大資本の側だけを向いた政治を続けた。生活保護を切り、障害者支援を切り、高齢者医療を切る一方で、法人税減税、製造業の派遣労働解禁などを実行した。
参政権は自然人である国民だけに1人1票で割り当てられる。企業は巨大な献金を行なうが、自然人ではなく参政権もない。
時代環境は変化した。「大資本」の利害と「労働者」の利害は全面対立する時代に変化したのだ。
麻生首相は業界団体を連日訪問して、選挙応援を要請しているが、現実がまったく見えていないのだろう。政治の主人公は「大資本」ではなく、「労働者」である国民なのだ。
「大資本」と「労働」の利害が対立してしまった以上、いくら麻生首相が業界団体を回っても、業界団体に所属する労働者は大資本の応援をする気にならないだろう。
かつて、業界団体が選挙戦で影響力を持ったのは、業界団体の労働者が、「大資本」の意向に沿って行動すると、企業が潤い、その分け前を労働者も享受(きょうじゅ)できたからだ。
ところが、いまや、大資本の利益は労働者の不利益になる時代に変化している。
したがって、選挙では「大資本」ではなく「一般国民」の利益を追求する政党に支持が集まる。選挙の投票権は1人1票しか与えられない。大資本が168億円もの献金を自民党に投入しても、大資本そのものには、1票も投票権が付与されない。
官僚機構も一般国民から見れば、巨大な国家財政に巣食う寄生虫にしか感じられなくなった。公務員の給与は決して低くない。公務員に定年までの雇用を保証して、天下りを根絶すべきとの意見に多くの国民が賛同し始めている。
2005年には「郵政民営化」を掲げた「改革」=「リフォーム」の言葉に多くの国民が騙されてしまった。2005年の自民党マニフェストは、郵政民営化を実現すれば、世の中がバラ色になるとの宣伝文句で満載だが、この公約が嘘八百だったことに国民も気付いた。
「かんぽの宿疑惑」は「郵政民営化」の実態が「郵政私物化」、「郵政米営化」であったことを国民の前に見せつけた。もう二度と「リフォーム詐欺」に遭うまいと誓った国民が急増している。
こうしたなかで、「悪徳ペンタゴン」が最後の頼りにしているのが「御用メディア」だ。「御用メディア」の正社員は、確実に年収700万円以上の「勝ち組」に所属している。「御用メディア」下請けの制作会社非正規労働者、技術担当会社から派遣される非正規社員は確実に「負け組」に組み入れられているが、「勝ち組」が番組を制作し、「勝ち組」がコメントを述べるから、偏向番組が出来上がる。
この偏向報道に毒された人々が、自公政権を支持する残党として残るが、真実に気づいた人々から順次、政権交代を望む方向に変化する。
官僚のための政治
大資本のための政治
米国のための政治
を排除して、
国民のための政治
を実現することが「政権交代」の目的である。
民主党の一部に
官僚のための政治
大資本のための政治
米国のための政治
を指向する人々が存在し、また、軍事拡張主義を唱える人々がいる。
また、衆議院比例区定数削減を主張する人々がいる。
これらの危険分子を排除しなければならない。そのためには、民主党が社民党、国民新党としっかり連携することが大切であり、共産党の意見も随所で取り込む必要がある。少数意見を尊重するために、比例区の定数を削減するべきでない。
したがって、政権交代が実現しても、新政権が自公政権の路線に逆戻りしないか、厳しく監視する必要がある。
時代環境は変わった。このなかで、一般国民=民衆が主人公になる政治が日本史上、初めて誕生する可能性が広がっている。主権者である国民は、御用メディアの偏向報道に惑わされてはならない。
主権者である国民の幸福を追求する政府を樹立するために、すべての主権者が投票所に足を運び、「清き一票」を投じなければならない。すべての有権者が行動を起こせば、必ず「無血市民革命」は成功するだろう。
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