★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK69 > 312.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
本庄事件朝日新聞浦和支局同人著 , 他
発売日:2009/05/29 | 定価:\2,940 | amazonで購入する
『「本庄事件 ペン偽らず」は渾身のノンフィクション』[ 2009 年 7 月 19 日 日曜日 ]
http://www.qualitysaitama.com/?p=3022
本サイトにて昨年の12月半ばにアップした記事「本庄事件を題材にした本庄ロケ映画『暴力の街』を観よう」(http://www.qualitysaitama.com/?p=732)に、なぜか半年もたったGW過ぎになってアクセスが増えている。通常、こうしたケースでは、何かをきっかけにグーグルで検索したりしてたどり着くことが多い。
そこで、ちょっと調べて見ると、『本庄事件 ペン偽らず』(朝日新聞浦和支局同人・日本経済評論社刊)が発刊されていた。早速、読んでみた。
舞台となるのは1948年の本庄。そこでは、暴力団が地元警察、検察、町議会と癒着し、インチキな支配で住民を苦しめていた。暴力団のボスによる支配のもと不正や暴力が横行し殺伐とした町。そんな中、朝日新聞記者への殴打事件をきっかけに立ち上がる浦和支局の記者たちと、町政刷新へと動き出した町の青年たちの姿を活写したのが本書だ。小さな事件がやがて、国を巻き込む大論争にまで発展するのだから、新聞記事の力は大きい。
事件自体は大したものではないが、一丸となって事件の真実を暴くべく奔走する記者の姿が実にリアルに描かれているのだ。60年前の朝日新聞記者の姿に筆者は迷わず敬意を表し、脱帽したい。
面白いのは、朝日以外の新聞社の記者たちは地元の既存権力と癒着し取り込まれてしまい、何ら動かないし、朝日を妨害するような事実ではない偏向報道を繰り返していた点だ。この点は現代とそうは変わらない。いや、朝日新聞すらも今では親米新聞に成り下がってしまっている。
ところで、本書は事件モノのノンフィクションとして非常に読み応えがあり、また本庄が暴力の街と化した背景についても分析も試みている。つまり、利根川を隔てて上州の接する本庄には、国定忠治を筆頭とする上州のやくざ風土の影響が大きいという。幕末期、博徒=ヤクザは、ヤクザでありながらも十手持ちという二足の草鞋が横行していた。
暴力裏社会と警察権力、政治権力の癒着という構図が既にこの時点でできていた。そして本庄事件で刷新されたかに見えるこの癒着の構図は、もちろん現代の日本にも温存されたままだ。薄汚い連中に対して敢然と闘いを挑んだかつての朝日新聞記者の姿を原点に、ジャーナリズムに携わる者はもう一度気持ちを奮い立たせるべきだ。そういう意味でも元気をもらえる1冊。
(磯 尚義)
▲このページのTOPへ HOME > 政治・選挙・NHK69掲示板
フォローアップ: