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2006年8月15日、靖国神社に現れた小泉元総理は、歓声が飛び交う中を「公式参拝」した。小泉元総理が毎年繰り返した「靖国参拝」のラストシーンは最高潮に達して、否が応にもこの問題についてしっかり考えなければいけないという機運が醸成された。私は、靖国神社と千鳥ヶ淵戦没者墓苑の歴史的資料を探り、社民党内に「千鳥ヶ淵戦没者墓苑・平和祈念施設提言委員会」を設置し、読売新聞の渡邉恒男会長・主筆を招いて勉強会を開催するなど約1年をかけてプランを練った。本日、私は社民党在京幹部会の後で記者会見し、「国立追悼施設をつくる道筋を4年以内にとりまとめたい」と数年間にわたって温めてきた構想の概要を語った。 戦没者追悼施設、4年で計画策定 社民、各党に働き掛け 社民党は13日の在京幹部会で、新たな国立戦没者追悼施設について、4年以内に建設計画を取りまとめることを決めた。各党に協力を働き掛ける。 保坂展人副幹事長は記者会見で、民主党の鳩山由紀夫代表が新たな追悼施設建設に積極姿勢を示したことを評価。戦没者の遺族らが高齢化しているとして「このタイミングでないとつくれない。どう具体化するかしっかり議論したい」と述べた。 また鳩山氏が首相に就任した場合、靖国神社に参拝しない意向を表明したことを「大変妥当な判断だ」と歓迎した。 社民党の提言委員会は小泉内閣退陣から07年の夏まで精力的に作業を続けたが、安倍総理、昨年の福田総理と靖国参拝を見送り、麻生総理も同様の構えのことから8割がたの作業を終えたところで、中断していた。けれども、民主党の鳩山氏がこの話題にふれたこともあって、ぜひ戦争体験者・原爆被害者・沖縄戦生存者・シベリア抑留体験者が「歴史的証言」が出来るうちに道筋をつけておきたいと思いを述べた。そこで、一昨年に私がまとめた草案をここに示すので、今後の議論のたたき台としてもらいたい。
社民党は、2006年8月10日の常任幹事会において、「千鳥ヶ淵戦没者墓苑・平和祈念施設提言委員会」を設置した。学識経験者をはじめとして各方面からのヒアリングを積み重ねて、提言起草のための論点をまとめた提言骨子(案)を以下のように記す。 はじめに 日本国憲法はその前文において「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し」と、不戦国家への道を歩むことを高らかに宣言している。また政府は、95年の村山総理談話において、わが国の戦争責任を明らかにするとともに、内外すべての戦争犠牲者への哀悼の念を表している。(※1)社民党が構想する「国立追悼施設」は、平和憲法の理念に則り、国と国民の総意として、内外すべての戦争犠牲者を追悼するとともに、過去の戦争を反省し、未来にわたって二度と戦争をしないことを誓う場とするものである。 1、わが国には、外国の賓客が訪問することが出来る「無宗教の国立戦争犠牲者追悼施設」がない。日本が平和国家として、アジア各国・諸国民と平和・共生と信頼醸成が出来るような国立追悼施設を建設するべきである。 2、すべての人々が戦争犠牲者を追悼し、平和への決意を新たにするためにも、その追悼対象は「すべての戦争犠牲者」とするべきである。日本の軍人・軍属のみならず、日本国内外の民間人、そして日本の過去の戦争によって犠牲になった外国の軍人・民間人も包括して「すべての戦争犠牲者」と呼ぶ。ヒロシマ・ナガサキの原爆をはじめとして、東京大空襲等の空襲犠牲者や、戦争に起因するあらゆる犠牲者を対象とする。ここに犠牲者の国籍・民族・宗教など分け隔てなく追悼対象とする。 3、「千鳥ヶ淵戦没者墓苑」を拡充する。千鳥ヶ淵戦没者墓苑に隣接する国有地等を利用して「千鳥ヶ淵」の敷地を拡げることで、国立追悼施設の候補地としたい。千鳥ヶ淵戦没者墓苑には、日中戦争から第2次世界大戦で戦没した軍人・軍属35万人の遺骨が眠っている。私たちの考える国立追悼施設は、「すべての戦争犠牲者」を対象としているので、拡充された「千鳥ヶ淵」を追悼と平和への祈りを捧げる場としたい。
5、安倍内閣は、02年に小泉内閣の福田官房長官(当時)の私的懇談会としてまとめた報告書(※2)で提案された「国立追悼施設」の調査費予算を計上せず、建設計画を事実上凍結することを明らかにした。私たちは、千鳥ヶ淵戦没者墓苑を拡充・整備することで、これらの提言を積極的に生かす道を探りたいと考えている。
(※1)わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。(村山談話) (※2)本懇談会としては、21世紀を迎えた今日、国を挙げて追悼・平和祈念を行うための国立の無宗教の恒久的施設が必要であると考えるに至ったが、施設の種類、名称、設置場所等の検討項目については、実際に施設をつくる場合にその詳細を検討すべき事柄であることから意見を取りまとめるのは時期尚早であると考え、将来、施設をつくることとなった場合の議論の参考に資するため、施設の概要を指摘するにとどめることとした。(報告書「はじめに」) [以上] 関連「どこどこ日記」→新国立追悼施設、安倍内閣で凍結を決定 |
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