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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu197.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
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高速道路千円でも、高速道路無料化も、建設する事自体が間違いだ。
高速道路料金の一部を鉄道などの公共交通機関の維持に向けるべきだ。
2009年8月12日 水曜日
◆新書発売を記念して、没原稿を何回かに分けてアップする(1) [道路整備事業の大罪]
http://urban-diary.blog.so-net.ne.jp/archive/c2300671493-1
二〇〇四年三月、私はアメリカのデンバーに出張に行き、宿泊先のホテルですることもなくテレビの議会番組を見ていた。当時のアメリカは、まだニューエコノミーという収穫逓増の法則を説いた考え方が影響力を持っていて、地価は右肩上がりに上昇していた。その後、この国を襲う金融不況などは微塵も想像できず、人々は好景気を楽しんでいた。
その番組で、アメリカ連邦政府の貿易担当の役人が政治家に答弁していた。日米貿易問題についての答弁で、さして関心も持たないで見ていたのだが、そこで思わず耳を疑うような発言をその彼は発した。
「日本は愚かにも、誰も通らない地方に道路を整備したりしているから、いつまで経ってもアメリカの後塵を拝しているのです」
確かに、日本の道路整備はムダが多いかもしれないが、アメリカ人に指摘されると無性に腹が立った。今ならば、アメリカは道路にムダ遣いはしなかったかもしれないが、サブプライム・ローンなどで金融バブルを膨張させ、その挙げ句に破裂させてしまい、その尻拭いに巨額の税金を投入しているんだから目くそ鼻くそを笑うの類だ、と相手にしなければいいだけだ。
しかし、そのときは日本がバカにされて悔しいと思うと同時に、なぜアメリカ人にまでバカにされる道路整備を日本は続けているのか、という情けなさでいっぱいになった。私は、平均的な日本人に比べると愛国心に欠けていると思うが、このときばかりは心の底から愛国心が湧き出てくるのを抑えられなかった。
アメリカにここまで愚弄される道路政策を、なぜ日本は顧みることもなく邁進し続けるのか。そして、そのことで日本がアメリカなどからバカにされていることを道路政策推進論者は知っているのだろうか。
このテレビに出演していた役人だけではない。東洋文化研究者であるアレックス・カーも、その著書『Dogs and Demons:Tale from the Dark Side of Modern Japan』で、「(日本は)海を埋め立てするために山を削り、山々は破壊的(destructive)でムダ(useless)な道路のために穴だらけになっている」と述べている。
以上である。アメリカ人に馬鹿にされる日本の道路整備事業。民主党に政権が変わりそうであるという期待が日本株を外国投資家が買うトレンドを現在、つくりあげているという意味を我々は本当に考える必要がある。
本州四国架橋が整備されたことで、四国側の着岸地の一つである坂出市は開業当初、「観光客の爆発的な増加に圧倒される思いがあった」というが、実際に地元に貢献した観光収入は小さく、しばらくすると通過点になってしまった。
鉄道旅行の場合は、たとえ特急が走るようになって利便性が高くなっても、目的地に宿泊する傾向は変わらない。これは、鉄道での旅行の場合、手荷物を運ばなくてはならないため、目的とする観光地に到着するとホテルにチェックインして、荷物を預けて身軽になって観光したいと旅行者が考えるからだ。
それに対して、自動車旅行はそのような荷物はトランクに入れっぱなしなので、目的とする観光地で必要とするのは単に駐車場となる。そして、宿泊先はどこでもよくなる。目的とする観光地に泊まることも選択肢には入るだろうが、そのような観光地より安く泊まれる宿が周辺にあれば、そこに移動することもできる。ましてや、高速道路などが整備され、簡単に移動できるようであればなおさらだ。
しかも、観光客は自家用車で来ると、その地にあまりお金を落とさない。自分でお酒から何やら持ってこられるからである。
道路整備による観光への波及効果は、拠点性の高いところにはプラスになるかもしれないが、前述した五箇山のようなケースではマイナスのほうが多くなる。どんなところでも、道路が整備されれば観光客が増えて、儲かるだろうと考えるのは早計に過ぎるのだ。実態はそれほど単純ではない。
それでは、没原稿3号(しつこいのでこれで最後にする。田中角榮が道路利権をつくったという指摘は正しいと思われる。しかし、彼は別に道路に拘っていた訳では全然なかった。その点を指摘した箇所が数点あったのだが、残念ながら字数の関係でカットされている。私は角榮は道路といった視野の狭い考えに囚われたわけでは決してなく、より国土、地方のことを考えていたと捉えている。しかし、その後継者は道路の利権にだけ、その政治的旨味を感じ取り、バランスの欠いた国土基盤政策を実施していく。というのが私の意見なのだが、そのことは全般的にカットされてしまったので、ここに再掲させてもらう)。
現在のわが国の道路利権を拡張させた張本人とも指摘される田中角榮だが、必ずしも地方における道路整備ばかりを主張していたわけではない。田中は「中央と地方との格差」を是正することを目的としており、道路を整備するというのはその手段として捉えていただけである。たとえば、豪雪地帯においては道路を整備するより、鉄道のローカル線を維持したほうがいいと言及している。
「豪雪地帯における赤字地方路線を撤去し、すべてを道路に切り替えた場合、除雪費用は莫大な金額にのぼる。また猛吹雪のなかでは自動車輸送も途絶えることが多い。豪雪地帯の鉄道と道路を比較した場合、国民経済的にどちらの負担が大きいか。私たちはよく考えなくてはならない。しかも農山漁村を走る地方線で生じる赤字は、国鉄の総赤字の約1割にすぎないのである」(『日本列島改造論』)
このような記述を読むと、田中角榮の意志に反して地方ではローカル線が廃止されたのに、他方では道路整備が推進されてしまったことは残念ともいえる。道路利権というパンドラの箱を開けたといわれる田中角榮だが、実際は、地方と中央とのギャップの解消こそが目的であり、むしろ状況によっては道路より鉄道のほうが優れているといった持論も展開していたのである。
(中略)
現在の官民協働の道路整備システムを構築した田中角榮は『日本列島改造論』で次のように記している。
「私が日本列島改造に取組み、実現しようと願っているのは、失われ、破壊され、衰退しつつある日本人の“郷里”を全国的に再建し、私たちの社会に落ち着きとうるおいを取り戻すためである」
その手段として全国的な高速交通網の確立を図り、それを推進させる法体系、制度を構築していく。だが、田中角榮自体は特に道路にこだわっていたわけではなかった。
しかし結果的に、角榮を引き継いだ人々は、他の交通施設に比べてはるかに利権をもたらす道路だけの必要性を強調し、道路を中心とした交通網の整備に邁進する。そして、その結果、角榮が願った「郷里の再建」は実現されず、地方はより破壊され、衰退の一途をたどっていくのである。
(私のコメント)
自民と民主のマニフェストがテレビなどでも議論されていますが、一つ一つの政策に対して徹底した議論がなかなか行なわれていない。テレビでは時間が取れないせいもありますが、政党の幹事長や政策責任者の資質が低くて聞いていても退屈なばかりで、国民は何処が争点なのかも分からない。
「株式日記」でも世襲の問題から外交防衛の問題から、アメリカとのFTAをめぐる問題まで書いてきましたが、徹底した議論をするにはネット上で論戦を行なわないと中身のある議論は出来ないだろう。米の減反政策も書いてきましたが、民主党内でも議論が割れているようだ。結局のところ政策の中身が分からないから政策論争が出来ないのだ。
民主党のマニフェストの中には高速道路の無料化の問題もありますが、高速道路が無料化したらどのような影響が出てくるのか、徹底した議論が必要だ。麻生内閣が打ち出した高速道路1000円の政策は中途半端であり商業車両は対象外だから、週末だけ高速道路が渋滞する結果をもたらしている。
今まで道路整備費用や高速道路の建設に莫大な費用をかけて建設してきましたが、投資効果が上がっているとは言えない状況だ。高速道路が出来れば地方も工場進出などがあって繁栄すると思われてきましたが、逆に高速道路が出来るとストロー効果で買い物客が大都市に行ってしまう逆効果をもたらしている。
東京湾アクアラインも1兆円かけて作られましたが、高い料金がネックになって利用者が少なく、木更津あたりはストロー効果で買い物客は川崎にまで行ってしまって木更津商店街は地盤沈下してしまった。本四架橋も同じ事であり高い利用料金が元で経済効果がマイナスに出てしまった。
だから高速道路や新幹線は地方にとっては良い事ではなく、大都市集中がかえって進んでしまう逆効果をもたらしている。離島に対しても橋をかければ島の商店が潰れてしまうのは当然予想できる事だ。車の普及や高速道路の建設は人間の活動範囲を広める役割は果たすが、都市集中を進める結果となってしまう。
だから東京だけが繁栄して地方が衰退しているのは高速道路を作りまくった事が原因なのであり、高速道路沿いの大型のショッピングセンターができて駅前商店街はシャッター通りになってしまった。ならばどうしたら逆ストロー効果をもたらして地方に客を呼び寄せる事が出来るようになるのだろうか?
おそらく一旦高速道路を作ってしまったら地方の経済発展は無理だろう。文明が進めば進むほど大都市集中が進むのであり、地方分散化はパラダイムの転換が起きないと無理だろう。ならばどうしたらパラダイムの転換が起きるだろうか?
それは車を中心とした社会建設を止める事であり、車なしでも快適な生活が出来る環境を整える事だ。東京はすでに車なしでも快適な生活が出来るし、地下鉄を利用した方が早く正確に移動する事が出来る。このような環境を地方の中核都市でも建設していく事が地方再生の切り札になるだろう。地方都市では地下鉄は無理だがLRTなどを走らせて車を排除した都市を作ることだ。
地方の財政は何処もパンク状態ですが、自動車を中心とした社会インフラを整備しているからだ。道路整備や維持管理には非常に金がかかるのであり、駐車場も整備するには広い土地が必要であり市役所も病院も学校も消防署も広い駐車場を作るために分散してしまう。住宅も広域に分散するから上下水道やガスや電気も維持管理が大変だ。高級住宅地ならいいのでしょうが日本全国がそうなったら地方自治体がパンクする。
車社会はある意味では快適なのですが、車社会インフラの建設や維持管理には非常に金がかかる社会だ。ロサンゼルスを見ればその限界は明らかであり、石油多消費社会が成立し得ない事は明らかだ。それでも宮崎県の東国原知事が言うように地方の人は高速道路を欲しがる。むしろ高速道路が無い事を売りものにする発想はできないものだろうか?
高速道路と大型のショッピングセンター建設が地方衰退の原因であり、地方自治体に大きな負担をかけている原因となっている。若い人なら車を乗りこなせますが70歳過ぎた老人には車の運転は負担がかかり、買い物一つ出来ない事になってしまう。高齢化社会を迎えて車中心の社会インフラ作りは大きな間違いだ。
地方は赤字財政で第三セクターの鉄道など廃止していますが、高速道路建設に回す金の一部を回すだけでも維持管理は出来るだろう。地方鉄道が赤字なのは高速道路の建設が進んだからですが、鉄道は老人や子供達の交通弱者にとっては公共交通機関は欠かせない。バスに置き換えても赤字が解消するわけではないから、地方から公共交通機関がなくなれば過疎化はますます進む。
田中角栄が「日本列島改造論」で言っているように、雪国で道路が雪でふさがれれば除雪費用だけでも大変だ。高速道路1000円の影響は鉄道やフェリーなどに大きな影響が出ていますが、民主党の高速道路無料化では地方鉄道に致命的な打撃になる。高速道路1000円では5000億円の予算がかけられていますが、一部でも赤字鉄道に回すべきだろう。
車の利用者には使われない高速道路を遊ばせておくよりかは1000円にしたり無料化したほうがいいのでしょうが、鉄道などの公共交通機関への補助も必要だ。結果的に考えれば高速道路は税金をバカ食いして建設されてきた。それは地方の発展に結びつくと考えられてきたからですが、地方鉄道の維持管理に向けていた方が地方のためになるのではないかと思う。
車社会で一軒に数台の車を持っている家が少なくありませんが、郊外型の生活は確かに快適だ。しかしそれは車を持っている人たちだけであり、車を持てない経済弱者は買い物も出来なくなり過疎化が進んでいく事になる。そのような経済弱者や老人や子供達にとっては公共の交通機関がないと生活が出来ない。だから高速道路料金を公共の交通機関の維持に回す事にすればいいのではないかと思う。
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