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2009年08月11日01:30 カテゴリ社会・世界情勢
「外務省は戦争省か!」
今年の田上富久・長崎市長の平和宣言は、核を持っている国々の元首に、一人ひとり名前をあげて、長崎に来てほしいと呼びかけたのが印象的でした。そうでなくても毎年、聞く者に呼びかけるような文体の長崎平和宣言ですが、それにくらべると、秋葉忠利・広島市長の平和宣言は、核をめぐる国際政治への関与を具体的に語って、例年いわば硬派な趣です。
が、今年は一風変わっていました。たとえば市長は、日本政府に「核兵器廃絶運動の旗手として世界をリードす」ることを求めるにあたって、「省庁の壁を取り払」うことが必要だと言いました。このくにの被爆者援護政策や外交政策にいつも歯がみしている広島市長の実感ではあるのでしょう。でも、具体的になにを指しているのかまではわかりませんでした。
あるいはこれは、列席の麻生総理大臣をはじめとする政府関係者向けの苦言だったのかもしれません。彼らはきっと、その内実を理解したでしょう。理解できないふりをしたかもしれませんが。
温暖化防止やグラミン銀行にまで言い及んだのも驚きでした。グラミン銀行は、バングラデシュの経済学者ユヌス博士が創設した、貧しい人びとに担保なしで少額の融資をする「マイクロクレジット」の金融機関です。「マイクロクレジット」は、貧困撲滅におおいに役立ち、60カ国以上に広まって、2006年、ユヌス博士はノーベル平和賞を受けました……と、ここまで予備知識があって市長のスピーチを聞いた人が、いったいどれだけいたでしょうか。
市長としては、これらを、NGOの国際的な連帯によって実現した対人地雷の禁止と並んで、地球規模の民主主義が力強く育ちつつある実例として挙げたわけでしょう。この民主主義こそが核廃絶の大きな力になるという、その気持ちはわかるものの、原爆の犠牲となった方がたへの慰霊に思いをいたす場には、ちょっと迂遠な印象を受けました。
こう書いたからと言って、秋葉市長を批判したいのではありません。その意図がわたしにはにわかに理解できなかったことを白状しているだけです。
両市長とも、オバマ米大統領の「核のない世界」を踏まえて、ようやく核廃絶の気運が高まったと期待を寄せ、平和憲法に言及していました。これには、多くの人が共感したのではないでしょうか。
秋葉忠利さんは国会議員だったとき、「外務省は戦争省か!」と声を荒げたことがあります。98年のイラク危機に際して、日本が米英のイラク攻撃を支持するよう、外務省が画策していたことに怒りを爆発させたのです。
11年前の秋葉市長の喝破の前も、いまに続くその後も、外務省は戦争省であり続けています。条約局とならんで北米局がいちばんえらいことになっていて、そのなかに日米安保条約課があって、それがまた北米局のなかでもいちばんえらい、というのが外務省という役所です。
(日米安保条約だけ条約局ではなく独立の部局があつかうということ自体、この条約が「条約の中の条約」であることを示しています)
このくにが唯一結んでいる軍事同盟にかかわることが、この役所の至上命題だというのですから、外務省はまさに戦争省に違いありません。
その意を受けたかのように、麻生総理は式典に参列した後、アメリカの核の傘の必要性を語って、どうしても反核に傾く式典スピーチとバランスをとりました。いったいどっちがホンネやら。そのいっぽう、鳩山由紀夫・民主党代表は、オバマ米大統領に被爆地訪問を要請すると言い、また非核三原則の法制化を検討する、とも言いました。来る選挙ではどちらが支持を集めるのでしょうか。
戦争省、いえ、外務省はオバマさんに、広島・長崎に来てほしいと言うつもりは毛頭ないそうです。それはそうでしょう。シカゴ大学の学生時代、学内で被爆写真展を見て、「自分が大統領になったら世界の核をなくす」と言ったオバマさんが、被爆地でその思いを新たにすることは、外務省としてはもっとも避けたい事態だからです。
政権が交代しても、外務省はオバマ米大統領の被爆地入りをあくまでも阻止しようとするのでしょうか。いまから見ものです。
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