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http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090809/elc0908090244001-n1.htm
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【日の蔭(かげ)りの中で】京都大学教授・佐伯啓思 政権公約で隠されたもの
2009.8.9 02:43 産経新聞 より
自民、民主両党の政策マニフェストも、一応、出そろって、選挙戦を待つのみとなった。
この数年間、選挙となるとマニフェストというものが一人歩きして、両党とも、無理にでも差異を打ち出そうとする。
今回もかなり具体的な政策に踏み込んで違いを強調しようとしている。
具体的な政策を打ち出すのはよいが、しかし、あまり具体的に述べられても果たして有効な比較材料になるのだろうか、と思う。
たとえば、行財政改革について、天下り、渡りの全面禁止や次々回からの世襲候補制限を打ち出す自民党案と、
議員世襲と企業団体献金の禁止を打ち出す民主党案のいずれを選ぶのか、
あるいは、3〜5歳児の教育費の段階的軽減を唱える自民党案と、
中学卒業まで1人当たり年31万2千円を支給するという民主党案のどちらがよいのか、
さらには、3年以内に無年金・低年金対策を具体化するという自民党案と、
月7万円の最低年金創設という民主党案のいずれを選ぶのか。
具体的ではあるものの、果たしてこんな選択ができるものであろうか。
確かにマニフェストは一定の意味をもつ。
しかし、それよりも、議員世襲や天下りの禁止などにみられるように、その政策が本当に必要なのかどうかという検討も不十分なまま、
なにやら世論の支持をえるために、もっといえば世論にこびて、この種の政策がマニフェストによって既定化してしまう方が困ったことのように思える。
しかし、ここで述べたいことは、両者のマニフェストの比較ではない。
マニフェストに書かれていないことである。
それは、ほかでもない、この十数年におよぶ構造改革の評価についてだ。
いうまでもなく、この1年をとってみて最大の出来事は世界経済危機であった。
日本もこの大波に翻弄(ほんろう)された。
世界経済危機はアメリカ発であったが、日本がこの大波に翻弄された理由の少なくともひとつは、構造改革にある。
経済構造改革は、基本的に、アメリカ主導のグローバル経済、とりわけ、金融グローバリズムを支持し、
日本経済を積極的にその中へと投げ込む政策だったからである。
だとすれば果たして、この方向がよかったのかどうか、これは本来、今回の選挙の大きな争点たるべきものだろう。
しかも、構造改革のゆがみが、雇用問題や地方の衰退として顕著に現出している、といわれていたことを考えれば両党ともが、
構造改革の評価についてまったく触れないのは、むしろ異常なことなのではなかろうか。
とりわけ、自民党にとって、小泉構造改革は大きな打撃をもたらした。
前回の郵政選挙は、郵政民営化の是非(ぜひ)という一点をめぐって自民党内に大きな亀裂をもたらし、
結局、そのつけが今回の自民の衰退の直接的な原因となった。
自民党は前回の郵政選挙の大きなつけを払わざるをえないのである。
朝日新聞に面白い記事がでている。郵政法案の参院採決の1時間前、小泉首相と麻生氏が対面していた。
麻生氏は、解散総選挙に持ち込んだ場合、選挙に勝てるか、と首相に問うた。
返ってきた答えは、「勝てる」というものではなく、「それはばくちだよ」というものであった。
◇
麻生氏は、驚いて言った。「それでは選挙に踏み切るのは、民主党と政権を争うというより、内なる抵抗勢力を一掃するためのものですか」。
小泉首相は「うん」といった…。
小泉氏が「自民党をぶっこわす」といったのは、こういうことである。
自民党を一丸として民主党と争うよりも、自民党内の抗争に勝利することの方が大事だったのである。
そして、そのつけを自民党ははらわざるをえない。
小泉政権のもとにあって、自民党は構造改革を支持したために、公式的には構造改革を批判できないのである。
麻生氏が郵政民営化に批判的だったのは事実であろうし、構造改革からも距離をとっていたことは間違いないものの、上の経緯からしてこれを批判することはできないのである。
一方、民主党はといえば、これも構造改革を批判しづらい。
もともと民主党は構造改革推進派であって、
彼らの主張は、
「自民党では十分な構造改革ができない」
というものだったからである。
「構造改革」というこの十数年、日本の政治やマスコミをリードしてきた魔術がいまだに政治においてたちはだかっているのである。
しかし、いつまでもそんなことはいっておれまい。
明らかに世界経済は、グローバルな市場競争を無条件で是認する時代から、
その次の新たなステージへと移行しようとしている。いや、移行しなければならない。
このまま、過激なまでのグローバルな市場競争を続けてゆけば、もっとも大きなダメージを受けるのは日本経済であろう。
この状況の中にあって、日本経済の長期的な方向をどのように舵(かじ)を切るかは、もはや待ったなしの重大事なのである。
どうしてそのことが争点にならないのか、私には不思議でならない。
構造改革の評価なしには、次のステージには移れないのである。
両党ともメンツにこだわっている場合ではなかろう。
この問題を避けて通るのでは、いくらマニフェストなどといっても体の良い官僚の作文とさして変わるまい。(さえき けいし)
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【私のコメント】
(投稿者注:ブログ「教育の崩壊」(リンクは1列目に記載)管理人氏のコメント)
今回の選挙は語られていないことの方が重要だ。
胃に癌があるのに、それを知っていて、足腰を強くする運動を提案しているようなもので、患者(国民)にとっては、
『違うんだよ』という思いばかりが強くなる。
だから次の病院に行くと、今度は腕の筋肉を鍛える運動をすすめられる。
『やはり違うんだよ』
『あなたは胃癌です』
それを言っているのは郵政民営化の見直しを掲げている国民新党だけである。
コイズミ・タケナカ構造改革をどのように総括するか、
そこからしか道は開けない。
足腰を鍛えるでもなく、腕の筋肉を鍛えるでもなく、
『あなたは胃癌です』
そういってくれる医者が必要なのである。
胃癌を怖がっているだけでは、胃癌は治らない。
『胃癌を治す』
そういう公約が必要なのである。
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