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墓銘に残す核廃絶のメッセージ(毎日新聞)
http://www.asyura2.com/09/senkyo68/msg/696.html
投稿者 クマのプーさん 日時 2009 年 8 月 05 日 11:03:21: twUjz/PjYItws
 

http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20090805k0000m070128000c.html

記者の目:墓銘に残す核廃絶のメッセージ=滝野隆浩


 浜松市に、核廃絶を願うメッセージを刻んだ墓がある。好きな言葉を墓銘にする人は増えてきたが、「核」の文字を残すには覚悟が必要だっただろう。被爆者の杉山秀夫さん(86)にとって、核廃絶運動への参加は夫婦の歴史そのもの。だから、昨年末に亡くなった愛妻春子さん(享年83)の墓に、思いを刻んだ。墓前で手を合わせながら私は、一部で出ている核保有論について考えた。保有論はもう、退場願いたい。

 きっかけは春子さんが亡くなる前に書いた「遺言」だったという。デイケア施設で、不自由な手で絵馬にこうつづった。「けんこう 第一です せんそうしないでください」。春子さんは被爆者ではなかったが、結婚以来57年間、2人で署名を集める活動をし、平和行進をしてきた。

 杉山さんは陸軍技術部見習士官として広島市に入ったとき、爆心地から1.2キロの軍会議室で原子爆弾にやられた。そこにいた8人が死んだ。戦後、故郷の静岡県で高校教師をしながら核廃絶運動にのめり込む。県原水爆被害者の会を設立、被爆者の描いた絵を抱えて米ニューヨークで行進もした。絵を見て泣いてくれた米国人がいた。市民同士なら分かり合えると信じている。墓銘は<核兵器の廃絶 憲法九条を守る>にした。「仲間を助けられず私だけが生き残った。運動をしないわけにはいかないんです」

 この夏、私は平和取材班の一人として、被爆者に話を聞き続けた。体験を記録した本も多く読んだ。核廃絶の思いは同じでも、差別を恐れ沈黙してきた人も多い。だが、杉山さんは怒り、悲しみ、勇気を奮い起こしながら核廃絶に取り組んできた。壮絶な決意が墓銘になったのだ。

 北朝鮮が今年4月に弾道ミサイル実験をし、さらに2度目の核実験を強行したことで、国内で核保有論が持ち上がっている。戦後何度目かのことで、その度に「核アレルギーを乗り越え、真の独立国家になろう」と国民意識はくすぐられる。「強さ」へのあこがれなのかもしれない。

 「核アレルギー」。嫌な言葉だ。あんな悲惨な目には二度と遭いたくない、そう思う気持ちは過敏反応なのか。むしろ正当な反応ではないのか。被爆国の安全保障政策は、被爆体験から出発すべきだとさえ思う。数十年にわたって核を研究してきた自衛隊OBはこう断言する。「軍事的にいえば核に行き着く。しかし、国民感情や国際情勢を総合的に考えれば、日本に核保有はありえない」

 毎年数千億円をかけて試作し、秘密裏に地下実験をし、その何倍、何十倍の予算をつぎ込んで大量生産のプラントをつくり、運搬手段を整備し、配備し、防護も考え、必ず出る核廃棄物の処分も検討する−−これが核保有の実現化プロセスである。加えて、日米同盟は破棄され、NPT(核拡散防止条約)からも脱退して国際的に孤立することになる。さらに気になっているのは、社会のありようを変える危険性だ。核という「国家最高の機密」の保有を決意した瞬間から、一気に軍事機密の情報管理が始まる。つまり、軍事優先の社会に変わらざるを得ないのだ。

 私は核を即時廃止せよという訴えには賛同しない。すぐ近くに核を振りかざそうとする国がある以上、何らかの対処が必要だと思う。米国とは「核の傘」について、軍事技術の専門家を交えて話さなくてはならないし、抑止力として敵地攻撃能力についても検討を始めていい。

 潜水艦発射型の巡航ミサイルの研究をしていることは、複数の自衛隊高級幹部が私に認めている。一人が明かす。「先制はしない。何発か核を撃たれたとき初めて、国の意思として潜水艦から反撃できる態勢を整えれば抑止になる。米軍は容認するという感触も得ている」

 自分の国が核テロの脅威にさらされて初めて、米国は核廃絶を言い出した。オバマ大統領のプラハ演説の本質はそこだろう。決して、原爆投下の反省からではない。だが、世界が少しでも核廃絶に向かうならそれでいいではないか。

 がんが見つかり、杉山さんは抗がん剤治療中だ。代わりに娘の磯部典子さん(58)が浜名湖近くの市営墓地に案内してくれた。花こう岩に端正な文字。家紋のある部分には「折り鶴」の絵まであった。

 典子さんが問わず語りに話す。「せっかく被爆2世に生まれたのだから、父の話に耳を傾け、平和の心を受け継いでいきたい。みんな、心は被爆者になればいいのよ」

 何と力強い言葉なのだろう。杉山さんが「がんとの闘いは、核兵器との戦いです」と言うのを思い出した。来年5月のNPT再検討会議までは絶対生き抜く、と。(東京社会部)

 

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