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佐賀市 北山ダムに大量土砂 想定の2.6倍、森林荒廃原因か 対策工事55億円 農業に影響も
2009年7月30日 06:34
九州最大の農業用ダム「北山ダム」(佐賀市)で、建設時に想定した容量の2.6倍に当たる約65万立方メートルの土砂がダム底に堆積(たいせき)していることが29日、分かった。このままでは土砂で取水門が埋まる恐れがあり、九州農政局は55億円をかけてしゅんせつや水門設備の更新などを施す防災工事計画案をまとめた。取水門が埋まってしまえば、ダムの防災機能は大きく低下するという。農政局は来年1月から農業用水の受益者8215人(今年4月現在)への同意手続きを進める方針だ。
農政局は、想定以上に堆積した原因について「周囲の森林の荒廃などで想定をはるかに超える土砂が流入した」と説明。建設時の計画に関しては「問題があったかどうかは不明」としている。
防災工事は冬場にダムの水を抜いて実施。佐賀平野にほかに農業水源はなく、渇水の年に当たった場合、貯水率が十分に回復せず農業生産に影響が出る恐れもある。
北山ダムは国営嘉瀬川土地改良事業で1957年に完成し、有効貯水量は福岡ドーム約12杯分の2200万立方メートル。佐賀平野の農地約9500ヘクタール(佐賀市、小城市)に用水を送るほか、発電にも利用されている。ダム施設は国の委託を受けた佐賀土地改良区(佐賀市)が管理している。
農政局北部九州土地改良調査管理事務所(福岡県久留米市)が2007年度からの調査で、のり面の約80カ所で崩落や浸食を見つけた。放置すればあと数年で7門ある取水門のうち最下部の門が土砂で埋まって変形し、流量調整機能に支障をきたす恐れがあるため、有識者でつくる協議会などの意見を踏まえて防災工事の事業計画案を作成した。
事業期間は10−18年度の9カ年。ダム底のしゅんせつのほか、土砂の流入を防ぐ「貯砂施設」を新設し水門設備などを更新、のり面の保護工事も施す。農林水産省が内容を審査しており、年内には結論が出る見込み。事業着手には受益者の3分の2以上の同意が必要。
堆積した土砂を完全に除去するには最低2回、ダムの水を空にする必要があるという。同事務所は「農家に影響が及ばないよう施工に万全を期す」としている。
ダム周辺には「県立21世紀県民の森」があり、佐賀、福岡両県民のレジャースポットになっている。ダム湖では年間を通してバスなどの釣りが盛ん。農政局は生態系への影響も調査している。
■全国のダム、共通の問題
佐賀大農学部の五十嵐勉准教授(地域社会開発学)の話 建設時の見積もりが過小だった可能性も残るが、林業の衰退で間伐されずに放棄されたままの民有林が増えて、山が荒れたことが原因ではないか。ダム周辺の森林の保水力が低下して、水と一緒に土砂がダムに流れ込んでいるとみられる。全国のダムに共通する問題だ。
=2009/07/30付 西日本新聞朝刊=
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/112114
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