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・森田実/2009.7.30(その3)
《新・森田実政治日誌(101)》政治と国家公務員の関係はどうあるべきか――イギリスにおける政官関係と国家公務員規範について[公務員制度改革関連法案の廃案に関連して]
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C05555.HTML
7月21日に麻生内閣が衆議院を解散したことによって114本の法案が廃案になった(政府提出17、議員立法97)。このなかに政府提出の「公務員制度改革関連法案」も含まれている。同法案は十分な議論がなされないまま一部の感情的な反公務員派が先導したもので、廃案は当然である。真面目で中立的に生きている公務員に対し不当な制約を加えることは過ちである。欠点のある法律が制定されたら大変である。これが回避されたことを評価したい。
来る8月30日投票の総選挙において民主党政権が誕生する可能性は高い。民主党は「官」に対する政治主導を強く主張している。民主党の菅直人代表代行は、政権準備のためイギリスを訪問し、政官関係を調査してきた。
イギリスでは与党議員100名以上が大臣、副大臣、政務次官、政務秘書官として行政府内に入る。この点は民主党の「政治主導」の主張に合う。しかし、職業公務員(事務次官以下)は中立の立場に立たなければならない。政権政党による官庁支配を禁じているのである。この点、民主党のイギリス官は不十分だったのではないかと思う。イギリスの実情を正確に知る必要がある。
イギリスの「大臣規範」は次のように規定している。
《大臣には、次の責務がある。
・公務員の政治的中立性を尊重し、公務員に国家公務員規範に抵触するような行為を求めない責務
・政策の決定に当たって、その分野に通じた公務員の中立的な助言に対し他からの助言と同様に適正な考慮を払う責務
・公務員の任命への影響力が党派的目的のために濫用されないようにする責務》
さらに「国家公務員規範」は次のように規定している。
《公務員は、
・自らの政治的信条がたとえ何であろうとも、政治的中立性を維持し、かつ、この規範の定める要請を遵守しつつ、いかなる政治的信念の政府にも自らの能力の限り奉仕しなければならない。
・大臣から常に信頼されるような行動をしなければならない。同時にそれは将来の政府において仕える大臣からも同様な信頼が得られるようなものでなければならない。
・政治的活動に対する制限にも従わなければならない。
公務員は、
・政党の政治的計算で定められた方針に沿って行動してはならず、政党の政治的目的のために公的な資源を使用してはならない。
・自らの個人的な政治的意見に基づいて助言や行動を決定してはならない。》
政治家と公務員の関係は、相互尊重が根本でなければならない。公務員の政治的中立性はあくまでも守られなければならない。最近、政界とマスコミで盛んに「官僚支配打破」が叫ばれているが、これはほとんどナンセンスである。政界とマスコミは自ら負うべき責任を負おうとせず、政治が混乱している責任を官僚に転嫁しているに過ぎない。反省すべきは政治家自身であり、マスコミ自身である。
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