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以下は「しんぶん赤旗記事情報/G-Search」から検索、貼り付け。
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<ルールある経済社会へ>社会保障財源と税のあり方(上)/不安が頭を離れない
2009.07.23 日刊紙 8頁 経済 (全1,230字)
自民・公明内閣が相次いで押し付けてきた社会保障改悪と増税は、庶民の家計から暮らしのために使える所得を奪うだけでなく、将来の展望さえ奪ってきました。社会保障と税はどうあるべきなのでしょうか。
家計収入減る
「これから先、大きな病気をしたら大変という不安が頭を離れない」。東京都東久留米市在住の福田良子さん(78)=仮名=はこう語りました。
自公内閣は、小泉内閣(当時)が初めて編成した2002年度予算から、高齢化の進展によって増加する社会保障関係費の自然増分を毎年2200億円(02年度は3000億円)抑制し続けてきました。
毎年の抑制額の累計は、09年度予算まで含めると年1兆8400億円。自公内閣の計画では、11年度までに庶民の家計にたいし、約12兆9000億円の影響(累積抑制額)を及ぼす見込みです。
「抑制方針」は、医療や年金、介護、生活保護など、相次ぐ社会保障制度の改悪として具体化されてきました。
良子さんの手取り収入は、02年と比べると月2万円近くも減りました。
受け取る年金そのものが減少。天引きされる医療や介護の保険料は増加しました。さらに、年金にかかる税金が増税されたからです。
「ただ年を重ねただけなのに、こんなに収入が減るなんて。一人暮らしだからなんとかやりくりできるけれど…」。良子さんはため息をつきました。
不足する施設
滋賀県内のグループホーム(集団生活型介護施設)に勤務する山下和江さん(60)=仮名=は、「最近まで利用料が滞っているお年寄りがいらっしゃいました」と話します。
この施設では、排せつや入浴、衣服の着脱など全般に全面的な介助が必要な「要介護4」のあるお年寄りの利用料は月額11万円です。ほとんどの利用者が年金収入だけでは賄えません。和江さんは、「多くの利用者が、家族からの拠出を頼りにしています」と語ります。
介護保険料は、3年ごとに値上げされ、すでに平均で月4000円以上となっています。06年の年金課税強化では、住民税増税に連動して、介護保険料が増加した高齢者も生まれました。
利用者と家族は、保険料を支払いながら、さらに「高い」利用料にあえいでいます。
施設不足も深刻です。入所待ちの高齢者は、この施設だけでも現在10人近く。「前に入っていた人が亡くならなければ、この施設には入所できないのが現状です」(和江さん)。
消費を冷やす
世帯主が60歳以上の無職世帯の実収入は月18万4977円(家計調査08年年報)と、前年に比べ2・3%減りました。約9割を占める社会保障給付が前年比で1・8%減少となったことが要因です。
一方、消費支出も前年に比べ0・4%減少しました。社会保障費抑制路線のもとで、高齢者世帯が消費を抑えている様子が浮かび上がります。
高齢者無職世帯の家計は、消費支出が可処分所得を約5万円上回る赤字状態が続いています。「不足分は金融資産の取り崩しなどで賄われている」(同年報)のが現状です。
(つづく)
しんぶん赤旗
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<ルールある経済社会へ>社会保障財源と税のあり方(中)/「抑制」限界の声広がる
2009.07.24 日刊紙 8頁 経済 (全1,570字)
「歳出削減をどんどん切り詰めていけば、やめてほしいという声が出てくる。増税をしてもいいから、必要な施策をやってくれという状況になってくるまで、歳出を徹底的にカットしないといけない」。かつて、小泉純一郎首相(当時)は2006年6月22日の経済財政諮問会議で、こう豪語しました。
命にかかわる
小泉内閣は同年7月7日に取りまとめた「骨太の方針2006」で、「過去5年間の改革(国の一般会計予算ベースで1・1兆円の伸びの抑制)を踏まえ、今後5年間においても改革努力を継続する」と明記。この方針の下で、安倍、福田、麻生内閣の歴代自民・公明内閣も、社会保障制度改悪を着々と進めてきました。
「低所得者の4割が、具合が悪くても病院の受診を控えている」。日本医療政策機構が昨年4月15日にまとめた調査結果は、社会保障費抑制路線のもとで、「経済力の低い人に医療費負担増による受診抑制が生じている」(同機構)現状を浮き彫りにしました。
もはや「抑制路線」は、国民の命と健康にかかわる事態をもたらしています。
日医など反対
日本医師会などの医療関係団体も、「抑制路線」への反対を表明。同会は5月18日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)に「医療崩壊から脱出するための緊急提言」を提出しました。
提言は、医療費抑制政策が、全国での病院・病棟の閉鎖や受診抑制、救急医療の受け入れ困難などを招いたことを告発。「社会保障費削減政策の撤回」を求めています。
“抑制は限界”という声が広がるもとでも、麻生内閣は依然、「社会保障費抑制路線」に固執しています。
しかし、そんな麻生内閣ですら、10年度予算の概算要求基準(1日、閣議了解)で、自然増を満額認めざるを得ないところまで追い込まれています。
「安定財源を」
麻生内閣が昨年12月24日に閣議決定した税と社会保障の「中期プログラム」は、社会保障制度の財源について、「必要な給付に見合った税負担を国民全体に広く薄く求めることを通じて安定財源を確保する」と明記しました。
「抑制路線」の破綻(はたん)が浮き彫りになるもとで、政府・与党は、社会保障制度の「安定財源確保」のための税制「改革」を声高に叫んでいます。
「安定財源」とは、「消費税を主要な財源として確保する」(中期プログラム)こと。そのために消費税増税を、「税制抜本改革の一環として実現する」(同)ということです。
「増税をしてもいいから必要な施策を」。かつて小泉氏が言ったような状況を、政府・与党はつくり出そうとしています。
麻生首相は、財政「健全化」や社会保障財源を口実に、「3年後に消費税の引き上げをお願いしたい」(昨年10月30日)と明言しています。
他方、民主党も同じ理由で、「いずれ消費税を上げるお願いをしなければならない」(直嶋正行政調会長、6月9日)という立場です。
(つづく)
自民・公明内閣による相次ぐ社会保障改悪 02年 70歳以上の医療費窓口負担1割、現役並み所得者は2割に引き上げ 雇用保険料引き上げ
03年 介護保険料引き上げ サラリーマン本人・家族の医療費窓口負担3割に 雇用保険・失業給付額削減
04年 生活保護の生活扶助基準等引き下げ 生活保護の老齢加算の廃止(3年間で段階的に廃止) 厚生年金保険料の引き上げ開始
05年 国民年金保険料の引き上げ開始 生活保護母子加算(16−18歳)の削減(3年間で段階的に廃止) 雇用保険料引き上げ 介護保険の食・居住費の自己負担導入
06年 介護保険料引き上げ 障害者自立支援法による自己負担増 「現役並み所得」高齢者の医療費窓口負担3割に
07年 雇用保険の給付抑制、国庫負担削減 生活保護母子加算(15歳以下)の削減(3年間で段階的に廃止)
08年 75歳以上の後期高齢者医療制度スタート 診療報酬引き下げ
しんぶん赤旗
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<ルールある経済社会へ>社会保障財源と税のあり方(下)/聖域メス入れ財源確保
2009.07.25 日刊紙 8頁 経済 (全1,250字)
社会保障財源を口実に消費税増税を狙う自民・公明両党と民主党。日本共産党は、大企業と大金持ちへのゆきすぎた減税をただせば7兆円以上の財源を確保できると訴え、消費税に頼らない社会保障制度拡充の方向を打ち出しています。
福祉か増税か
「消費税と社会保障を結びつける考え方は、“福祉を求めるなら消費税を上げる”“増税がいやなら福祉を求めるな”という結論をもたらします」。立正大学の浦野広明教授(税理士)はこう指摘します。
実際、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が6月に取りまとめた「2010年度予算編成の基本的考え方」は、「給付と負担は表裏一体であり、給付を抑制しないのであれば保険料・税負担といった国民負担は増加し、負担の増加を抑制するのであれば給付を削減しなければならない」と強調。このことを「十分踏まえ、国民的な議論の中で選択していく必要がある」と、社会保障財源としての消費税増税を促しました。
浦野氏は「憲法は、すべての税金が福祉社会保障など生存の確保に使われることを求めています」と指摘します。これに照らせば、「消費税を社会保障財源に充て、他の財源で軍事費や大型公共事業をまかなう考えは、憲法を侵すものです」と浦野氏。「そもそも、福祉破壊税である消費税を、福祉社会保障の財源に充てることは、論理的に矛盾しています」
福祉破壊税だ
なぜ、消費税は福祉破壊税なのか−。専修大学の唐鎌直義教授は、「消費税は、所得が少ない人ほど重い負担を強いられる税金だからです」と語ります。
07年版の「家計調査年報」(総務省)によれば、消費税負担率(唐鎌氏)は、所得階層が最も低い第T10分位で4・3%。所得階層があがるにつれて負担率は減少し、第]10分位では、3・3%となります。
唐鎌氏は、「所得が少ない人ほど生活必需品への支出が多くなります。容易に削ることはできない生活必需品にも課税されるのが消費税です」と指摘。「ぜいたく品の消費とは意味が違う。消費税が公平という考え方は、ここをまったく無視しています」と述べました。
「そもそも税と社会保障制度は、貧困と格差の縮小に結びつかなければなりません」。唐鎌氏はこう強調します。
ところが、格差を表す指標であるジニ係数(02年度所得再分配調査)を見ると、税によるジニ係数の改善度は年々小さくなる一方、社会保険料による同改善度が年々大きくなっています。
唐鎌氏は、「つまり、すでに労働者に“薄く広い”負担を求める社会保険料によって、所得の『再分配』が行われているのです」と指摘します。
「国家が、企業と大金持ちに応分の税負担を求め、その税収によって格差を縮小させていくという考えが欠けています」(唐鎌氏)
憲法に沿えば
財界の求めに応じて企業の税と社会保険料負担を軽減しようとしているのが自民・公明政権です。
浦野教授は、「能力に応じた負担こそ、憲法に明記された税のあり方」と指摘。「憲法に沿った税の集め方、使い方への転換こそ必要です」と強調しました。
(この項おわり)
しんぶん赤旗
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