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日本の「二大政党制」についての覚え書
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投稿者 月読 日時 2009 年 7 月 16 日 22:07:59: ydTjEPNqYTX5.
 

以下、http://watashinim.exblog.jp/9890958/ より
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日本の「二大政党制」についての覚え書(上)

1.

それにしても、日本の「二大政党制」というのはいったい何なのだろうか。私はここで、二大政党制を批判しているのではなく、もっと単純に、自民党と民主党の対立というのはいったい何なのか、不思議なのである。

繰り返すが、私は、自民党との政策の違いがないということで民主党を批判しているのではない。自民党と民主党は、確かに対立している。だが、なぜ対立しているのかはさっぱりわからない。少なくとも「政策」ではない。では、この対立の性格はいったい何なのか。

左派系の政治学者の主な説明としては、2つのものが挙げられよう。

一つは、山口二郎説である。大雑把に説明すると、二大政党制の下で、イギリスのような「政権交代可能な政党システム」が実現することは望ましいことだ。今の自民党と民主党の争いは、そうした段階まで達していないが、政策の違いは一応ある。だから、とりあえず民主党に勝たせて「政権交代」を実現させて、政界再編も視野に入れて、「保守対リベラル」のまっとうな二大政党制に近づけていかなければならない、といったものである。

もう一つは、渡辺治説である。渡辺も最近は混迷している(民主党評価が揺れている)ようなのだが、少なくとも少し前(小沢一郎の党首就任以前)までの渡辺の主張を大雑把に説明すると、日本の二大政党制というのは、保守二大政党であって、新自由主義政策推進政党であることには何の違いもない。新自由主義政策では日本社会の疲弊が必然的に亢進するから、その不満が共産党や市民運動に流れないために、その保守側の受け手が必要となる。それが民主党だ。

民主党が新自由主義政策の緩和を唱えて政権を握り、社会統合の破綻をある程度彌縫しながらも新自由主義を推進し、また世論の不満が高まれば、今度は自民党が、新自由主義政策の緩和を唱えて政権を握り、社会統合の破綻をある程度彌縫しながらも新自由主義を推進し・・・といった具合に、両方の保守政党が政権を半永久的にキャッチボールするのである。自民党や民主党という看板は政界再編の名のもとで変わるかもしれないが、財界をはじめとした日本の支配層こそが、二大政党制を必要としている、といったものだ。

私は、少し前までは渡辺説を支持していたが、最近、どちらも根本的な欠陥があると思うようになっている。

まず、山口説では、そもそも自民党と民主党の政策がなぜこれほど似ているのか、という単純な事実が説明できない。そのコロラリーであるが、両党の有力議員たちが、しばしば大連立に向けた動きを見せるのはなぜかも説明できない。山口の主張は、あってほしい「二大政党制」の願望を現実に投影しているだけなのではないか。

また、渡辺説では、今度は、自民党と民主党がなぜこれほど対立しているのかがうまく説明できない。渡辺理論は、少なくとも2005年のある時期までは、「自民党=新自由主義漸進派、民主党=新自由主義急進派」という図式であり、一応対立の構図は示せていたのである。ところが、2005年衆議院選挙においては、小泉自民党こそが、新自由主義急進派として圧勝したのだった。渡辺はこの選挙結果について、自民党が新自由主義急進派政党に脱皮した、と説明していたが、この時期以降、渡辺は、両党がなぜ対立しているかの説得的な図式を提示し得てないように思う。

また、渡辺説でも大連立の動きはうまく説明できない。最近の渡辺は、大連立成立の危険性を繰り返し警告しているが、渡辺の前記の理論から言えば、大連立は支配層の方策としては得策ではない、ということになるからである。この立場では、昔の左翼の「恐慌待望論」に似てきてしまい(実際に、「大連立成立は、共産党や市民運動の勢力拡大のチャンス」といった類の主張も出てくるだろう)、大連立の危険性が正当に認識できなくなってしまう。


2.

では、お前はどう考えているのか、という話になるが、実証的・学問的に説明する用意があるわけではない。ただ、最近ようやく考えがまとまったので、思いつきとして笑われるのは甘受するとして、以下、仮説というか、一つの覚え書として示しておきたい。

自民党と民主党の対立とは何か。それは、何らかの政治的な争点や政策の違いによるものではなく、利権集団である諸アクターによる、利権をめぐる権力闘争である、というのが私の見方である。

ここでいう利権集団であるアクターとは、業界団体や経済集団、宗教団体、労働組合、人権団体などであり、行動様式としてはヤクザと大して変わらない、と私は見ている。

自民党対民主党という二大政党制が確立したのは、2003年の自由党の吸収合併、衆議院選挙を経た後の、2004年の参議院選挙だろう。この時期から現在に至るまでの期間を、私たちは、自民党対民主党の二大政党制時代として見ているわけである。

だが、事態を利権集団の諸アクターによる利害闘争として考えると、別の見方ができると思う。諸利権集団の同盟としての自民党からはじかれた利権集団が、巻き返しのために肩入れして拡大させてきたのが民主党であり、2005年の衆議院選挙で自民党内の「抵抗勢力」が大々的に放逐されたことで、「抵抗勢力」が民主党に肩入れすることで、ますますその傾向が強まった、と。

要するに、利権集団相互の対立で、「構造改革」推進という名の利権収奪戦に敗れた利権集団を中心として、諸利権集団が、捲土重来を企図してテコ入れしてきたのが民主党であって、その利権集団相互の戦争を、われわれはたまたま「二大政党制」と呼んでいるに過ぎないのではないか、と思う。

松岡利勝元農林水産大臣の死や、厚労省元事務次官殺害など、ここ数年で起こっている政治上の奇妙な事件も、こうした、利害集団間の闘争(多分、自民対民主、という図式を超えたものだろう)と関係があるように思う。

もう少し言うと、利害集団間の闘争は、絶えず妥協の方向性を孕み、特に、一方の敗北が明らかになるか、強力な外部からの介入によって、本格的な利害調整に入るだろう。そして、その調整が終われば、大連立が現れると思う。

つまり、私たちが今見ているのは、二大政党制の「健全な」政権交代劇というよりも、利権集団相互の「抗争→調整→連合」という、一連のプロセスの一部なのではないか。

山口説も渡辺説も、安定した二大政党制が成立しうると考えている点で、二人とも間違っていると思う。この二大政党制は、何らかの形で大連立に向かい、そこでまた利害集団間の抗争が激化してまた抗争期に入り、抗争を経て調整期、大連立に至り・・・・・・といったプロセスを繰り返していくと思う。その間に何度か「政界再編」が行われているだろうが、このプロセス自体と利益集団間の抗争という性格は、何ら変わらないと思う。

安部政権末期から、改憲の声は後景に退いてきているが、これは、日本国民の改憲反対の声が強くなったからというよりも、むしろ、利権集団相互の抗争が激化していた(いる)ことも大きな要因なのではないか。小沢党首時の民主党が「左傾化」したというのは、「保守」としては利害が一致するはずの「憲法改正」まで放り出して、利権獲得ゲームに邁進していたということだと思う。

こうした認識に対して、「欧米諸国の二大政党制も事情は似たり寄ったりで、日本の事例は特殊なものではない」という反論もあり得よう。私は、日本以外の国の二大政党制の実態についてよく知らないので、日本の二大政党制が世界的に見て特殊だと主張するつもりはない。ただ、現実に日本で展開されている二大政党制は、90年代初頭の「政治改革」論議で謳われた、理念を軸とした政権交代可能な政治システム、といったものとは異質であるということは言えるだろう。そして、前述したように、「政界再編」が何度起ころうがそのことは変わらないだろう。
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http://watashinim.exblog.jp/9895575/ 
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日本の「二大政党制」についての覚え書(下)

3.

ところで、「政治改革」以降、二大政党制は「自民党対民主党」が初めてではない。「政治改革」以降の最初の二大政党制は、これまた対立軸が不明であった、自民党対新進党である。新進党は、村山政権の誕生で下野した諸政党が合併して発足したわけだが、1996年の衆議院選挙の敗北をきっかけに、公明が離脱し、1997年末に消滅した。面白いことに、この後、1999年1月に自自連立政権ができ、10月には自自公連立政権ができる。小沢は新進党時代から自民党との連立である保保連合を唱えていたが、結局、この自自公政権というのは、実質的には自民党と新進党の「大連立」政権である。

この自自公政権の誕生後、『世界』は、「ストップ!自自公暴走 日本の民主主義の再生のために」というタイトルの緊急増刊号を出している(1999年11月発行)。当時の雰囲気を伝えるよい資料だと思うので、冒頭の文章から引用しておこう。


「1999年は、どのような年として歴史に記録されることになるのでしょうか。

長く続く経済の低迷とグローバル化による激変。生活と将来への不安。その中で生まれた、自民・自由・公明の巨大与党――。

今年、その自自公の数の力によって、噛み合った議論もないまま次々と成立した法律は、どれも戦後日本の基盤を揺るがすものでした。日米新ガイドライン関連法、通信傍受法、国旗・国家法、改正住民基本台帳法。

(中略)

暴走国会は、この憲法の改正を念頭においた、憲法調査会の設置も決めています。

この戦後史の画期を、私たちはどのように捉えたらいいのでしょうか。」

もう一つ、同号に掲載されている、ガバン・マコーマック「1999年の地殻変動」の次の一節も引用しておこう。


「何と言っても、99年の最たる一大事は5月のガイドライン関連法の成立でしょう。昨年8月のテポドン発射と今年3月の不審船事件の後は、特に世論は大きく揺れ、北朝鮮に対する恐れと敵意が異常なほど高まりました。いや高められたというべきかもしれません。周辺事態法への支持は66%という驚くべき高さで、反対はわずか22.7%でした。」


まとめると、新進党結党から自自公政権への過程というのは、以下のようにモデル化できる。

政権からの一部利権集団の排除(自社さ政権の成立)→ 排除された利権集団による連合、「二大政党制」の成立(新進党結党)→ 一方の勢力の大敗(1996年衆議院選、新進党解党)→ 利害調整→ 北朝鮮との緊迫関係(テポドン発射、不審船事件)→ 利害調和(自自公政権)→ 安全保障政策の抜本的な整備(ガイドライン関連法の成立等)

なお、このモデルのうち、「一方の勢力の大敗」は、「大連立」を促進するものの、必ずしも必須ではないと思う。仮にこれがなかったとしても、小沢はもともと保保連合構想を主張していたから、「北朝鮮との緊迫関係」の後、いずれ「大連立」に走っていたと思う。

現在の自民党対民主党という対立も、上のモデルを、より大がかりな形で反復している、ということなのではないか。次の衆議院選挙で、民主党が圧勝すれば、

一方の勢力の大敗(自民党大敗)→ 利害調整→ 北朝鮮との緊迫関係→ 利害調和(大連立)→ 安全保障政策の抜本的な整備(集団的自衛権行使容認、非核三原則見直し、その後に憲法改正)

となるだろう。

要するに、今回のケースは、自民党と旧新進党勢力の「大連立」当時は外にあった民主党系・社民党系の利益集団(労働組合、人権団体、宗教団体等)や、マスコミまで組み込むことによって、90年代の利益集団相互の抗争→利害調和を、より大掛かりな形で反復している、ということなのではないか。左派ジャーナリズムも、少なくとも当初は、「官僚支配を打破するためには民主党だけでは不十分」とか「まっとうな「保守対リベラル」という対立軸を作るため、一度融合する必要がある」とか適当な理屈をつけて、民主党から捨てられないように、支持するはずである。


4.

これまでの主張の欠陥として、なぜ利害集団間の利害の「調和」が成立するかの説明が不十分だ、という批判がありえよう。以下は「陰謀論」になってしまうので、妄想の一つとして読み捨ててもらってよいし、他人を説得する性格のものでもないのだが、アメリカの介入なんじゃないか、と私は思っている。

多分、諸利権集団やその代理人たる政治家たちは、自らの主張とは裏腹に、「国益」のことなど考えておらず、利権闘争のことしか考えていないと思う。放っておけば、延々と利権闘争を展開しているだろう。ところが、それではいつまでたっても「 安全保障政策の抜本的な整備」まで辿り着かないから、アメリカが困る。だから、朝鮮半島情勢の緊迫化を契機に、アメリカが日本の「国益」(もちろんアメリカの「国益」でもある)のために、諸利害集団を恫喝して調整させ、「調和」まで持ち込む。大雑把な図式としては、こんなところではないか。

このところ、読売新聞が、鳩山邦夫を持ち上げるなど「大連立」世論づくりに積極的だが(もちろん、2007年の大連立騒動の仕掛け人もナベツネであった)、これは、要するにアメリカが、「お前らいい加減にしろよ」と諸利権集団に恫喝しているということではないか。民主党が勝とうが、意外に接戦になろうが、衆議院選挙後、割と早い時期に大連立(前段階としては、民主+公明のような、その変奏も含めて)になる可能性が高いと思う。
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