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7月13日(月) 都議選では共産党も得票を増やしていた [選挙]
都議選での民主党躍進の余波が政界を揺るがしています。今回の結果は、民主党の一人勝ちでした。
全42選挙区のうちの39選挙区でトップ当選(推薦1を含む)、1人区で6勝1敗の成績、58人の候補者のうち落選者はたったの4人などの事実は、「民主党ブーム」とも言える風の存在を示しています。同じ日に投開票された奈良市長選挙でも民主党推薦の新人候補が当選しました。
名古屋市長選、さいたま市長選、千葉市長選、静岡県知事選、そして今回の都議選に奈良市長選と民主党の連勝が続きました。強力な追い風が民主党に吹き、自民党にはそれ以上の逆風が吹いているということが分かります。
他方、都議選での公明党の全員当選と共産党の不振は予想外でした。しかし、それによって、公明党は支持され、共産党は批判されたと考えるのは早計です。
まず、事実を確認しておきましょう。前回の選挙と比較した各党の議席の増減と投票数の増減を下に掲げておきます。
民主党 +19議席 +122万7000票
自民党 −10 +11万8000
公明党 0 −4万3000
共産党 −5 +2万8000
その他 −4 −6万6000
これを見ると、民主党の一人勝ちだったのは、議席の上での話だということが分かります。民主党だけが19議席増やしているからです。
減らしたのは、自民党が10議席、共産党が5議席、その他が4議席(ネット1議席、諸派1議席、無所属2議席)でした。議席だけを見れば、負けたのは自民党と共産党だと言いたくなるのも無理はありません。
しかし、それを都民の選択の結果かと言えば、そうではありません。今回の選挙で都民が投じた票の数は、別の事実を示しているからです。
選挙は、議会での議席を決めるものですから、議席数の増減に注目するのは当然です。しかし、それを直ちに有権者の選択の結果であるというわけにはいきません。
選挙制度や候補者の擁立の仕方などによって、当選数が変わることがあるからです。この乖離は小選挙区で極めて大きくなり、定数が奇数の複数選挙区でも似たような現象が起きます。
したがって、有権者がどのような選択を行ったのかを見るためには、議席だけではなく、得票にも注目する必要があります。今回の選挙でも、得票数の増減を見れば、議席数の増減を見ただけでは分からない事実を読み取ることができます。
得票数では、民主党が123万票も増やし、共産党も2万8000票、自民党は11万8000票を増やしています。他方、公明党は4万3000票減らしています。
このことから分かるのは、第1に、今回の結果は、自民党が増やした票の10倍以上を民主党が獲得しており、したがって、自民党が敗北したという以上に民主党が勝利したというべきものであること、第2に、この民主党の増加分は、投票率を10ポイント以上押し上げた人々の票を吸収したもの(おそらくは、前回選挙に行かなかった無党派層)であるということです。
民主党の勢いは、これまで選挙に行かなかったであろうような人々の支持を新たに獲得することによって生じているということが分かります。つまり、次の総選挙でも、投票率が上がれば民主党に有利になるということになります。
そればかりではありません。共産党と公明党についても興味深い事実が分かります。この二つの政党は強固な支持基盤をもっている点では共通していますが、選挙の結果は対照的になりました。
共産党は得票を増やしたのに議席を減らし、逆に、公明党は得票を減らしたのに現状を維持しました。つまり、逆風が吹いていたのは共産党ではなく公明党の方に対してだったのです。
共産党は得票を減らしたわけではなかったけれども、当選を可能にするほどには増えなかったということになります。逆に、公明党は得票を減らしたけれども、落選するほどの減少にはならなかったということでしょうか。
別の言い方をすれば、「棒杭現象」の影響が共産党には大きく、公明党に小さかったということでしょう。強固な支持基盤(棒杭)があっても、投票率がアップして当選可能ラインが上昇(水面が上がる)すれば、「水没」する可能性が高まるからです。
その結果、共産党候補の何人かは「水没」してしまいました。公明党でも危ない候補は何人かいましたが、かろうじて「水没」を免れたというわけです。
その背景には、共産党の方が革新無党派に依存する割合が高く、これらの人々の一部が民主党支持に回った可能性があること、公明党が当選可能性の高い選挙区に限って候補者を立て、選択と集中による選挙戦を展開したことなどの事情があったように思われます。選挙戦術によって左右された部分が大きかったと言えるかもしれません。
さて、この都議選の結果を受けて、麻生首相はどうするのかが注目されています。もう、解散・総選挙に打って出るしかないでしょう。
解散に反対する閣僚が出たら、罷免して自分が解散詔書にサインすればよいのです。自民党が分裂しようと公明党が抵抗しようと、断固として自らの意志を貫けばよいだけです。
起死回生の勝負では、明確な決意を示すことが必要です。今が、その絶好のチャンスではありませんか。反対と抵抗が強ければ強いほど、首相の決断が際だつというプラス効果もあるのですから……。
なお、当初の文章での各党の得票数は確定したものではありませんでしたので、確定得票数にしたがって書き直してあります。
http://igajin.blog.so-net.ne.jp/2009-07-13
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