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2009年7月13日 AERA
http://seiji.yahoo.co.jp/column/article/detail/20090713-01-0101.html
麻生総裁をおろすならおろすでいい。
だけど、次は誰のつもり?
俎上にあがるあの人もこの人も、
一長一短あるようで。
会合は不思議なほどに明るい雰囲気に包まれていた。
7月9日。東京都議選の投開票を前に、国会図書館でベテラン自民党議員が顔を合わせた。津島雄二、高村正彦という2人の派閥領袖に、加藤紘一元幹事長、船田元総務会長代理ら。出席者は一つの結論を確認した。
「都議選の結果が厳しければ、麻生首相に自発的にやめてもらうしかない」
ある出席者は言う。
「民主党が総選挙で勝つ流れは止められない。だったら、負けを最小限にするために動くしかないということだ」
落ちるところまで落ちた今、あとは上がるしかない。そんな開き直りにも似た明るさが、麻生政権を見限った出席者の中に生まれていたという。
麻生、支えるに及ばず。
野党の分裂にもかかわらず、民主党推薦候補に敗れた静岡県知事選を受け、その思いは自民党幹部から陣笠議員までが共有するところとなった。9日深夜、都内ホテルに塩崎恭久元官房長官ら解散前のマニフェスト策定を要求する若手・中堅議員が集まり、「都議選の結果を見て、速やかに対応を協議する」(世耕弘成参院議員)との行動方針を固めた。麻生おろしへの実力行使を視野にいれた動きだ。
■辞めない三木と一緒
「首相が自発的にやめてくれたらいいが、あの人はそんなことをする人じゃない」(出席者)
かつての三木武夫首相は、党内に吹き荒れた「三木おろし」に対抗、解散権を行使しようとしたが閣僚の反対にあって断念した。しかし、圧力にも屈せず衆院の任期満了まで、首相をやり続けた粘り腰首相でもあった。
翻って、麻生首相はどうだろう。いくら派閥領袖が麻生辞任で一致し、解散権を取り上げてしまったとしても、本人が同意しなければ事態は何も動かない。「三木」と一緒だ。
それゆえ、山本拓衆院議員を中心に、両院議員総会の開催→総裁公選規程を改定し8月上旬に総裁選を実施するアイデアまで出ている。切腹しないなら、強引に──そんな流れが水面下で進行しているように見える。
■ポスト麻生はABBA
だが麻生おろしと三木おろしには大きな違いがある。福田赳夫、大平正芳、中曽根康弘という派閥領袖が控えていた「三木おろし」時と違い、「麻生おろし」後の光景は誰にも想像できない。ある若手議員が語る。
「誰を立てるかという話になるとそれぞれの立場が出てきて、麻生おろしに向けての結束がなくなってしまう」
ポスト麻生は「ABBA」。そんな隠語が永田町で飛び交っている。かの有名ポップグループのことではなく「AnyBody But Aso」(麻生以外なら誰でもいい)。そんな中、ひそかにポスト麻生有力候補と囁かれているのが、舛添要一厚生労働相だ。
不祥事のオンパレードの厚労省トップを2年近く務め、年金問題は民主党の独壇場というイメージを変えた。豚インフルエンザ騒動で未明や早朝に記者会見をセッティングするなど発信力も強い。さらに、参院自民党のドン、青木幹雄元官房長官ら長老議員にも受けがいい。
ところが、総裁への道は容易ならず、と指摘する声が多い。第1のネックは、彼が参議院議員であることだ。解散権を行使しても自分はリスクを負わない立場で、指導力が発揮できるかは疑問符がつく。政治家としての資質にも、問題があるという。
厚労相就任時、年金記録問題について「最後の1人、最後の1円まで確実にお支払いする」と大見えを切った割には、その約束を守ることができなかった。豚インフルエンザ時の対応でも、「必要以上に騒ぎすぎ」という指摘も多い。
「パフォーマンス過多と見る政治家は多い」(政治ジャーナリスト・角谷浩一さん)というのだ。
だが、本人は意に介さない。静岡県知事選の応援演説で、
「日本は舛添要一を中心に変えていきます」とぶち、翌週の閣議後に、「閣僚はそういう気概で仕事をやらないと(ということ)」と釈明する羽目になった。言葉がなんとなく軽いのだ。
■国算理社「平均点総裁」
中堅議員は冗談交じりに言う。
「舛添総裁が誕生するとしても、ネックは片山さつきでしょう」
片山衆院議員を含め2度の離婚を経験し、隠し子の存在もとりざたされた。彼が政治に目覚めるきっかけとなった介護問題にしても、著書『母に襁褓をあてるとき』には、実姉夫婦との間で警察沙汰まで起こした様が描かれた。「そんなことを本に書く時点で彼の人柄が知れる」(旧知の人物)という声もある。
世田谷区内にある、舛添氏の自宅。ポリボックスが立ち、早朝に舛添氏本人が家の真向かいのゴミ捨て場にゴミを出す光景が見られる。だがそんな邸宅は、不思議なことに改選ごとに衆参両院議員が提出を義務付けられている「資産等報告書」には記載されていない。土地、建物とも「舛添政治経済研究所」の名義になっているため、報告書には出てこない。もっとも、研究所に土地、建物を渡す際に取得した債権は報告書に記載しており資産隠しとは言えないと、舛添氏が週刊誌の取材に答えたという報道もあるにはあるが。
また、本人の資質以上に彼の総裁就任を阻む要因となりかねないのは、他ならぬ彼を推している自民党の長老議員の存在かもしれない。ベテラン議員が厳しく指摘する。
「大きく変わった自民党をアピールしなければいけない時に、これまでのように密室談合で総裁候補が絞られたという印象を国民に与えるような候補で支持は集められない」
派閥オーナーたちが舛添氏を支持する、そう報じられた時点ですでに「アウト」だというのだ。別の若手議員も語る。
「舛添さんみたいに、国算理社全部できる平均点総裁を選ぶようでは、自民党はおしまい」
では、それ以外に、と目を凝らしてみると、これがまた、人材払底の惨憺たる有り様なのだ。そうした状況を含み置きのうえで、名前を挙げるとすれば、やはり、野心を隠そうともしない小池百合子元防衛相は外せない。
今は麻生支持を明言して動きを封じているが、小池氏に近い議員は「前回彼女を推薦した中川秀直元幹事長が、今回も彼女を支持するかは不透明」。
■都議選が重荷の石原Jr.
ソフトなイメージで売る石原伸晃元国土交通相は「行革が腰砕けに終わったイメージの上に、都連会長として都議選の結果に責任を負うことにもなる」(中堅議員)というマイナス要因も。
前回総裁選で2位だった与謝野馨財務・金融担当相には献金問題や健康問題がつきまとい、かつて「もっとも女性首相に近い」とされた野田聖子消費者行政担当相も、郵政問題で一度離党した人間を総裁にしていいのかという党内意見が根強い。
そうなると、浮上してくるのが石破茂農林水産相だ。「キャラ立ちしているし、批判の多い麻生内閣でジッと耐えてがんばっている点で評価を上げている」(津島派の若手議員)
いずれにせよ、帯に短したすきに長し。そんな状況を、加藤元幹事長はこう指弾する。
「我々自民党の失敗は、テレビ政治に引っ張られてしまったこと。評判のよさだけを考えて何回か総理を作った結果、自民党への逆風はかつてないほどになった。足元を見つめる施策を打ち出し、地に足のついた政治をしなければいけないのです」
看板のかけかえに狂奔する自民党にあって、そんな言葉は届くのだろうか。
編集部 福井洋平、加藤勇介、井上和典
※各媒体に掲載された記事を原文のまま掲載しています。
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